合否を分けた問題に関する分析
識別値の高い問題の例
次に示す膠原病の診断を問う問題は,第117回国試での識別値が最も高かった問題です.
識別値が高い問題とは,正答できた学生ほど偏差値が高く,正答できなかった学生ほど偏差値が低い傾向にある問題ということです.つまり,合否を分ける問題だったといえます.
117回医師国家試験C50
ぜひ自分で解いた後に解説に進んでみましょう.また,有意差が高い問題としていますが,一問で一喜一憂ぜず,淡々と問題演習をこなすことが国試対策では大切です.今後の演習の参考になりましたら幸いです.
識別値とは
この国家試験分析では「上位25%群vs下位25%群」で比較して相関を検証しています.
横軸が受験者の偏差値で縦軸が問題の正答率になります.
成績優秀者と成績下位者の比較をしており,偏差値が高いほど本問題の正答率が比例して高くなっています(紫のグラフ).
本問題の識別値が高くなったと考えられる特徴
◆①特徴的な自己抗体の検査値の記載がない
この問題の特徴として
抗核抗体・抗dsDNA抗体などの自己抗体の検査値の記載がありません.
RF=関節リウマチ
抗Scl-70抗体=全身性強皮症
といった,一対一の対応でのみ暗記していた学生にとっては臨床症状から診断を推論する必要があり,難しい問題となっているものと思われます.
◆②身体所見でも国試的キーワードとなる所見が認められていない
本問題では「蝶形紅斑」といった顔面の紅斑は認めておらず,特徴的な皮疹は否定されています.しかし特徴的な所見がないからといってその疾患を否定できるというわけではありません.総合的に判断する必要があります.
これらの理由から,総合的に判断できるだけの正確な知識が必要とされたため,識別値の高い問題となったのだと考えられます.
本問題の正解について
正解は”e”の全身性エリテマトーデス でした.
皆さん解答できましたか?
抗核抗体などの膠原病特異的な検査がまだされていないような一般的なクリニックの初診を想定しているような問題でした.日々の実習などでこれらの感覚を掴んでいくことが大切です.
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