[6年生向け]
注目したい感染症(その2)

みなさん,こんにちは.
編集部のA.Mです.
『注目したい感染症』2回目をお届けします.

 

今回は,次の感染症についてです.
●マイコプラズマ肺炎
●流行性耳下腺炎
●ジカ熱

 

◆◆◆若年層に多い感染症◆◆◆

 

●マイコプラズマ肺炎●

 

マイコプラズマ肺炎は,肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)による
非定型肺炎の1つです.
3~7年の間隔で大流行が起こることが知られています.
今年はこのマイコプラズマ肺炎が非常に流行しており,
一時期は前回流行した2011年~2012年の報告数を上回りました.

 

診断には血清抗体価の測定やDNAの検出が用いられますが,
特徴的な症状(聴診所見に乏しいわりに頑固な乾性咳嗽がみられるなど)や流行性から
臨床的に判断されることも多いです.

 

さて,マイコプラズマは細胞壁がないため,
β-ラクタム系抗菌薬などの細胞壁合成阻害薬は無効であり,
第一選択薬がマクロライド系抗菌薬となります.
ですが,近年,マクロライド耐性マイコプラズマが増加しています.
マクロライド系抗菌薬が無効,あるいは使用不可であれば,
レスピラトリーキノロン系抗菌薬が用いられることを覚えておきましょう.

 

●流行性耳下腺炎●

 

流行性耳下腺炎,いわゆるおたふくかぜは,
ムンプスウイルスによる急性耳下腺炎を伴う全身感染症です.
今年は5~6年ぶりに流行しており,それにつられてか,
無菌性髄膜炎も例年より報告数がやや多くなっている印象です.

 

流行性耳下腺炎の予後は比較的良好で,治療は対症療法のみです.
しかし,怖いのは合併症.
先に挙げた無菌性髄膜炎の他,精巣炎卵巣炎膵炎
感音難聴(片側性が多く,不可逆的)などがあります.
生ワクチンによる予防が可能ですので,予防接種の重要性を理解してください.

 

また,耳下腺,顎下腺,舌下腺の腫脹が発現後5日を経過し,
かつ,全身状態が良好になるまで登校禁止であることも覚えておいてくださいね.

 

◆◆◆輸入感染症◆◆◆

 

●ジカ熱●

 

ジカ熱は,ジカウイルスによる感染症です.
ネッタイシマカやヒトスジシマカがウイルスを媒介する他,
性交渉によっても感染することが知られています.
(ちなみに上記のカは,デング熱を起こす
デングウイルスを媒介するものと同じですね.)

 

ジカウイルス感染者の約80%は不顕性感染ですが,
ジカ熱を発症した場合,発熱,結膜炎,発疹などがみられます.
しかし通常,症状は軽度です.
ただ,まれにギラン・バレー症候群などの神経症状をきたし,
さらに,妊婦に感染した場合,胎児に小頭症をきたす可能性があるため,
注意が必要です.

 

中南米でのジカ熱の広がりを受け,今年初め,WHOが緊急事態を宣言したのは
みなさんの記憶にも新しいのではないでしょうか.
リオオリンピック時に感染拡大も懸念されていましたね.
現在,わが国では輸入感染者の報告のみとなっていますが,
今後の動向に気をつけなければならない感染症の1つです.

 

国立感染症研究所から今年7月,
『蚊媒介感染症の診療ガイドライン(第3版)』も発表されましたので,
時間があれば一読してもいいかもしれません.

 

今回は以上です.
次回もお楽しみに!

 

(編集部A.M)

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