[分析]データでみる104回国試(その3) 割れ問編
104回国試,受験生のみなさんが悩んだのは
どんな問題だったのでしょうか?
メック&メディックメディアが行っている「採点サービス」.
ここで集計されたデータから,受験生の答えが割れた問題がわかります.
どんなポイントで受験生が迷いやすいのか,実際に見ていきましょう.
104B25
治療薬物モニタリング〈TDM〉を行うのはどれか.3つ選べ.
a ヘパリン b テオフィリン c シクロスポリン
d バンコマイシン e 副腎皮質ステロイド
受験生の選択率は,
a 62.6%,b 78.9%,c 88.0%,d 59.8% でした.
bcは選べるけれど,aとdで迷ったようです.
正解はbcdとなります.
心筋梗塞の患者さんにへパリンを投与しているときや,
気管支喘息の患者さんに副腎ステロイドを投与しているときを思い出せば,
「そういえばモニタリングしていなかったなぁ」
と解答できたのかもしれません.
ですが,へパリンを選択した人が62.6%と,意外と多かったようです.
3つを選んで正解した人の率(正答率)は34.4%でした.
104B33
内視鏡写真を別に示す.部位はどこか.
a 食道 b 胃 c 十二指腸
d 回腸 e 大腸
受験生の選択率は,c 46.1%,e 41.9% の2つで割れました.
画像上部に突起してみえる部分,これはVater乳頭です.
なので正解は「c 十二指腸」.
実習中にVater乳頭を見たことのある人は,
自信を持って解答できたのではないでしょうか.
104B44
37歳の初産婦.妊娠26週時に交通事故で腹部を打撲し,
常位胎盤早期剥離をきたした.
緊急帝王切開を行い800gの男児を娩出したが,
児は生後9日に多臓器不全のため死亡した.この事例について正しいのはどれか.2つ選べ.
a 周産期死亡として扱われる.
b 新生児死亡として扱われる.
c 乳児死亡として扱われる.
d 出産育児一時金は給付されない.
e 産後の休業は認められない.
選択率は,a 30.7%,b 90.4%,c 45.6%,d 29.4% と割れました.
正解はbc(正答率は40.3%).
a周産期死亡は「妊娠満22週以後の死産と早期新生児死亡(生後1週未満)」
なので,生後9日ではもう過ぎていますよね?
b新生児死亡が生後4週未満で O となりますが,
c乳児死亡(生後1年未満)にも内包されます.O
deは,もう出産しているので×です.
周産期死亡~乳児死亡の定義をしっかり理解しておこう,という問題でした.
104C1
わが国の自殺について正しいのはどれか.
a 女性に多い.
b 独居者に多い.
c 手段として縊頸が最も多い.
d 自殺率は九州地方が最も高い.
e 自殺者数は年間5万人を超えている.
b 43.5%,c 44.5% で割れました.
これは難しい.こんなこと普通知りません.
厚生労働省の「人口動態統計特殊報告」によると,
自殺の手段としては,縊頸(首吊り)が過半数を占めています.
よって正解はc.ではbはどうか?
実は「配偶者のいる者のほうが多い」という統計があるのです.
104F5
寝たきりの患者に浮腫がないか確認したい.
軽度の浮腫を見逃さないために診察する部位はどれか.
a 前額部 b 手背部 c 仙骨部
d 前脛骨部 e 足背部
選択率は,c 8.8%,d 81.8%,e 8.2%.
でも実は,正解は「c 仙骨部」です.正答率8.8%.
“浮腫といえば前脛骨部”と反射的にdとした人が多かったですが,
問題文に「寝たきりの患者」とありますね.
浮腫はどの部位でも起こりえますが,
一般に長時間最も低く位置する場所にできやすいということを考えれば,
「c 仙骨部」が正解となります.
難度の高い問題となりました.
今日はこのへんで.次回をお楽しみに!
(編集部 K)