[分析]データでみる104回国試(その5) 実技編2
データでみる国試,実技編の2回目です.
医療器具や検査手技の画像がたくさん出ました.早速いってみましょう!
104D45
24歳の男性.皮疹と口腔内の違和感とを主訴に来院した.2ヵ月前からバナナやメロンを摂取後10分位で口腔内に違和感が生じ,時々息苦しくなっていた.昨日,バナナを摂取後,同様の症状に加えて体幹と四肢とに多数の膨疹が生じた.検査手技と関連した写真(1)~(5)を別に示す.
診断に有用なのはどれか.
(1) 紫外線照射装置です.最小紅斑量や最小光毒量を測定します.
(2) 神経学的診察で用いる検査用具.反射や知覚をみます.
(3) 皮膚科のKOH法(苛性カリ法)で用いる検査用具.
検体にKOH(水酸化カリウム)を加え,角質を誘拐させて鏡検します.
(4) プリックテストの様子.注射針をアレルギーの被疑物質に指し,
そのまま皮膚を単刺することで発赤や膨疹を観察する,
即時型アレルギーをみる検査です.
(5) パッチテストの様子.接触皮膚炎などの遅延型アレルギーの検査法です.
問題文を読み取ると,解答は (4) だとわかりますね.
正答率は50.7%と低い数字でした.
(5) を選んだ人が47.7%と割れた問題でした.
104F1
頭頸部の診療で用いる器具を別に示す.
声帯の観察に用いるのはどれか.
(1) 鼻鏡.鼻腔の観察に用います.
(2) 間接喉頭鏡.咽喉頭の観察に用います.
(3) 耳鏡.外耳道や鼓膜の観察に用います.
(4) 長鼻鏡.鼻中隔などの手術に用います.
(5) 舌圧子.口腔や咽頭の観察に用います.
ということで正解は (2) .正答率84.9%.
マイナー科目の実習も疎かにしてはいけません.
104H15
染色の手順を別に示す.
この染色はどれか.
a Gram染色
b H-E染色
c May-Giemsa染色
d Papanicolaou染色
e Ziehl-Neelsen染色
これは先に答えを言いましょう.「a Gram染色」ですね.
正答率は84.4%とやや低めでした.
(「b H-E染色」を選んだ人が11.0%)
(1) まず,濃い紫色の液体(クリスタル紫液)で染色します.
すべて紫色に染めてしまいます.
(2) 水洗いをした後,オレンジ色の液体(ルゴール液)で媒染します.
グラム陽性菌を紫色に染まりやすくするためです.
(3) 再び水洗いをした後,アルコールで脱色します.
このとき,グラム陽性菌は紫色のままに,
グラム陰性菌は紫色が溶け出して透明になります.
(4) さらに水洗いの後,
赤色の液体(サフラニン液もしくはパイフェル液)で染色します.
グラム陽性菌は紫色のままですが,グラム陰性菌は赤色に染色されます.
「紫→黄→赤」と覚えましょう!
104I14
眼科検査の写真を別に示す.
この検査が診断に有用な疾患はどれか.
a 斜視
b 白内障
c 糖尿病網膜症
d 網膜色素変性
e 加齢黄斑変性
写真は“Goldmann定量視野計”を用いた,動的量的視野検査の様子です.
指標を周辺から中心に動かしていったときに見える点の軌跡を調べ,
等感度曲線として記録します.
ということは,典型的な視野パターンを示す疾患を選べばよいわけです.
正解は「d 網膜色素変性」.正答率は51.5%と低い数字でした.
(aが10.3%,eが26.3%)
実技編はこれでおしまい.
次回は分野別に難易度を比較します.
(編集部 K)