第114回 医師国家試験【体験記】デジタルデバイスで合格!フル活用法!
こんにちは.編集M.Dです.
本日は,先日発行になりました『INFORMA vol.68』より,
デジタルデバイスを駆使した国試体験記をお送りします.
『INFORMA vol.68』はWebでも公開しておりますので
ぜひチェックしてみてくださいね.
第114回 医師国家試験【体験記】デジタルデバイスで合格!フル活用法!
(T大学 Oさん)
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部活と国試の両立に
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私の学生生活は基本的に部活ファーストだったため,6年生の東医体はもちろんのこと,11月まで部活をしていました.
「テストとか受かればいいでしょ!」というスタンスで過ごしてきたので,学校の成績も基本的に下位1/3でした.
東医体が終わった時点で,メジャー科のビデオ講座を一通り見終わっていたものの,『クエスチョン・バンク』(以下『QB』)は一切触れていない状態でした.
一から知識をまとめる時間はなく,10月に行われた卒業試験も,過去問暗記で切り抜けました.
Evernote活用法のブログ記事をみつけたのは,卒業試験が終わった丁度その頃でした.
「これだ!」と思い,すぐにEvernoteを使い始めました.
結果的に国試では,必修で94%・一般臨床で90%,得点することができました!
皆さんもせっかく知識をまとめるのなら,余裕で国試に受かって,さらに卒業後も役立つような知識のまとめ方をしたいと思いませんか?
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忘れるものと認める
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意見が割れるところだと思いますが,記憶するという作業自体は,“今の”国試の性質上,コスパが悪いと思います.
極端な話,国試では〇か×が分かればよいわけです.
出題される可能性の低い“薬の名前”や“マイナー科の疾患”を必死に暗記する必要はほぼないと思います.
世の中には,覚える必要のない〇〇リストやゴロが溢れています.
国試はあくまでも選択式のテストです.
枝葉末節を暗記するなら,100回より前の問題を気分転換に解くのがおすすめです.
問題として不適切な印象を持つ場合もありますが,出題意図を考えるだけで勉強になりますし,最近の問題とは違った切り口で,疾患の理解に役立つこともありました.
ゴロを覚えて満足することよりも,病態を理解することのほうが国家試験後も役立つはずだと信じています.
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確認するハードルを下げる
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とはいえ,試験ですから,暗記から完全に逃げ切れないことも事実です.
そこで,自分は,とにかく問題を解きました.
「当たり前じゃないか!」と思われるかもしれませんが,1周目問題(*1)だけでよいという風潮を無視して,『QB』全問はもちろん,非掲載問題まで手を出しました.
実際のスケジュールとしては,
・東医体(8月上旬)から卒業試験開始(10月上旬)
『QB』の前書き通りに,まずメジャー科の1周目問題を紙媒体で解きました.
この時点では,産婦人科と小児科,マイナー科は「Q-Assist」を視聴しただけでした.
この時からデジタルデバイスを活用していればよかったなと後悔しています….
(*1)編集注:近年5回+近年5回で出題されていない疾患
・卒業試験終了後(11月上旬〜)
「QBオンライン」の全問題をシャッフルし,100〜300問/日のペースで解きました.
これをベースに「Q-Assist」の冬季・必修講習,各社模試の復習を組み合わせて,対策を進めました.
結果的に,直前期には「QBオンライン」に掲載されている全問題と,直近10年分の国試問題まで解くことができました.
難問は捨て,みんなが解ける問題を解き,直近3年を完璧にするという“一般論” からは逆行していたと思いますが,予想講座を受けるより有意義だったと思います.
問題から学んだことはとりあえずEvernoteにまとめることにしていました.
具体的には,臓器別ごとにノートブック,疾患ごとにノート(*2)を作り,内容の重複がないように修正しながら,
片っ端から「QB online」の解説のまとめを,Evernoteにコピペしていきました.
(*2)編集注:Evernoteのノートブックは各ノートをまとめたもの.
勉強のベースは『QB』でしたが,その他に利用した講義動画などの内容もすべてノートに統合しました.
画像・問題を解く上で特に必要な知識・思考プロセスはもちろん,間違い選択肢の解説も全て保存しました.
『QB』の演習中は,正解選択肢を選べたとしてしても,iPadのSlideOver(*3)を使用して,その都度Evernoteで確認していきました.
確認作業のハードルを下げるにはEvernoteがベストでした.
優秀な先輩も,とにかく周回スピードを上げることが重要と仰っており,やはり,繰り返し「自分のEvernote」に触れたことがよい結果に繋がったのだなと思います.
(*3)編集注:SlideOverはiPad上で2画面表示をする機能.
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Evernoteの活用法
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1.リンクの活用
疾患⇆鑑別診断,解剖生理⇆病態生理,治療⇆疾患,治療薬⇆副作用といったように,各ノートに対応するノートの内部リンクを貼りました.
調べたい内容に関連する自分のノートをすぐ確認することができ,便利でした.
また,一回でもネットで調べたらEvernoteにURLを貼り,根拠となったサイトにすぐに飛べるようにしておきました.
これによって,「確認のハードルを下げる」ことができました.
例えば,「汎血球減少をきたす疾患リスト」を「QB online」からコピペし,そこに各疾患の内部リンクを貼っておけば,一枚一枚ページをめくる手間はもちろん,検索する手間も省くことができました.
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2.タグ分類
勉強していると「あれ,模試で見た気がするけど,なんだっけ…?」「113回で解いた気がする…」となることがあると思います.
そんなときに,使ったのが「タグ」です.
私はノートにまとめるとき,#模試 #113 #手技 #必修 #TOPICSといったような「タグ」をつけていました.
科目別の分類とは別の切り口からまとめたい場合に有効でした.
また,タグをこまめに付けていくと,高頻度で出題されている疾患や,模試や予想などその年でhotなテーマが浮き彫りになるのも便利でした.
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3.Ankiへの添付
USMLEを勉強しているひとであればAnkiをご存知なのではないでしょうか.
Ankiというアプリは簡単にいうと単語カードをつくれるアプリです.
私は,どうしても覚えられない事項(例えばてんかんの脳波,サイトカインの役割と薬の関係,肝臓の病理像etc.),
何度も間違える画像などの定着に利用しました.
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4.複数端末での共有
Evernoteを複数の端末にインストールしておけば,データを同期して閲覧・編集ができます.
この機能は,電車の移動中などスキマ時間で確認する際に重宝しました.
加えて,特に使った機能は通知機能とショートカットです.
通知機能は,本来であればスケジュール管理に利用するものかと思いますが,私の場合は忘れたころに通知がくるように設定することで,定期的にノートの重要事項を見返すようにしていました.
期間はAnkiに準じて設定していました.(*4)
また,模試の前や本番前に確認したいノートをショートカットに設定し,確認リストをつくりました.
(*4)編集注:Ankiでは忘れた頃に単語帳を表示させる独自のアルゴリズムを採用しているようです.
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以上が自分の具体的なEvernote活用法です.
Evernote以外にもMicrosoftのOnenoteなども有用だと思います.
自分にあったものを選択して,ぜひ勉強に役立ててください.
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デジタルデバイスが普及している昨今,
積極的に取り入れて,勉強法を効率化していきたいですね!
(編集部 M.D)