[6年生向け]『QB必修問題2012』9月1日 3冊同時発売!必修特集★第2回:『必修落ち』3つの理由
みなさんこんにちは!編集部のS藤です.
9月1日
『クエスチョン・バンク Extra 必修問題2012』
発売に合わせての,必修対策第2弾をお送りします!
前回は,簡単なはずの必修問題で,55.5%もの人が不合格になっている!
ということをお伝えしました↓
★第1回:必修をあなどってはイケナイ!
http://web-informa.com/books/20110823/
今回は,実際に出題された問題をお見せしながら,
『必修落ち』の原因を解明していきたいと思います.
★第2回:『必修落ち』3つの理由~必修の“罠”にご用心!
ズバリ!大きな理由は3つ.
【1】絶対基準が8割
⇒難易度に関わらず,8割を下回れば不合格
【2】普段あまり勉強しないテーマの出題
⇒医療面接,手技,プライマリケアを問う問題など
【3】独特の出題傾向
⇒素直に考えれば解ける問題を深読みしてしまうなど
【1】と【2】については,そのままなので説明は不要だと思いますが,
【3】は実際に必修問題を解いてみないとわかりにくいと思います.
そして実は【3】が一番のくせ者なんです.
そこで,105回受験生の正解率が低かった問題を見てみましょう.
パターン1:現場では常識なのかもしれないけど…
[105C27]
40歳の男性.性格の変化を主訴に妻と実姉とに伴われて来院した.
現病歴:最近,すぐ怒り出すようになった.自己中心的に生活しており,常識的な対応ができなくなってきた.自閉症である8歳の長男の世話を頼まれても,飲酒し放置している.家族がアルコールの飲み過ぎを指摘すると否定し,隠れ飲みをしている.しばしば仕事を休んでは朝から焼酎を飲んでいる.患者本人は特別な症状では悩んでいない.家族に説得されてしぶしぶ一般内科を受診した.
既往歴:35歳時に痛風.
生活歴:会社員.夜勤が多い.飲酒歴は焼酎4合/日(本人の申告:2合/日)を15年間.喫煙歴はない.
家族歴:長男が自閉症.
現症:意識は清明.身長172㎝,体重82kg.体温36.4℃.脈拍72/分,整.血圧150/100mmHg.眼瞼結膜に貧血を認めない.眼球結膜に黄染を認めない.心音と呼吸音とに異常を認めない.腹部は平坦,軟で,圧痛を認めない.肝・脾を触知しない.まず行うべき対応はどれか.
a 運動療法
b 降圧薬の処方
c 嫌酒薬の処方
d 尿酸排泄促進薬の処方
e 専門医療機関への紹介
アルコール依存症の初診対応の問題です.
答えは『e 専門医療機関への紹介』ですが,
a,cを選んだ受験生も少なくありませんでした.
間違ってしまった人は,おそらく下のような思考回路だったのだと思います.
「アルコール依存症はすぐに断酒だから当然c」
「肥満と高血圧があるな…生活習慣病系はまずはaの運動でしょ」
「アルコール依存症で一般内科は微妙かな?でもせっかく来てくれたのにいきなり紹介するのもな…」
臨床の現場に出ている医師にしてみれば「常識」なのかもしれませんが,
学生からみると,考えてもわからない難しい問題といえますね.
しかし,実は過去問をたくさん解いて,『必修らしさ』がわかってきた人から見ると,
ああ,こういうパターンか!という『思わせぶりな問題』とも言えるんです.
どこが思わせぶりポイントかというと,
・問題文中の,「一般内科」というフレーズ
・選択肢のa~dはまとめるといきなり治療開始
必修問題では「プライマリケア」が重視されていて,
「プライマリケア」で大事なのは,
・緊急性のあるものを見分けて躊躇せず適切な治療
・緊急性がなければ患者背景や疾患に合わせて,より低レベルな介入から
・施設の特性にあった医療サービスの提供
などです.
もちろん,個々の事項について知識として知っていたほうがベターですが,
必修で求められる共通事項を意識する,独特の思考回路(『必修脳』と名付けます)
が身についていれば解ける確立が高くなる,ということです.
※ちなみに嫌酒薬ですが,服用時に飲酒すると大変危険なので,
本人の病識が生じ,断酒の意思が固まるまでは処方しません.
ではもう一問
パターン2:考えすぎなければ間違えなかったのに・・・
[105H9]
失神をきたす不整脈はどれか.a 完全右脚ブロック
b 完全左脚ブロック
c 完全房室ブロック
d Mobitz II型II度房室ブロック
e Wenckebach型II度房室ブロック
答えは,『c 完全房室ブロック』です.
必修以外の一般問題に比べると,簡単な問題な気がしませんか?
でも実際には,dのMobitz II型II度房室ブロックを選んだ人が
16.2%もいました.
これからお話するのは,実際にこの問題を間違ってしまった先輩に聞いた実話です.
1.「あれれ? cもdもどちらもペースメーカー適応だよね?」
~混乱~
2.「なんで答えが1つなんだ?さては罠に違いない.きっと何かある!」
~平常心を失う~
3.「普通に考えるとcだけど引っ掛けじゃないのか?dは高度房室ブロックに進展したり,突然死だって起こすし,失神しないとは言えないぞ」
~疑心暗鬼~
4.「cは補充調律が早ければ失神しないんじゃ」
~なぜか例外的事項を考え始める~
国試当日の中でも,必修問題は特に受験生のプレッシャーが大きく,
独特の空気が漂います.
絶対に落とせないと考えれば考えるほど,容易に平常心を失い,
上の先輩のようにまんまと必修の罠にはまってしまうというわけです.
この場合は,
「答えがいくつかありそうな場合は,深く考えずに最初にピンときたものを選ぶ」
「引っ掛けを疑いすぎず,ベストなものを選ぶ」
「迷ったらみんなが選びそうな答を選ぶ」(正答率が低ければ必修除外になる可能性がある)
ということに気をつけることが必要でした.
長くなってしまいましたが,今回の話をまとめると,
☆必修問題に特化した思考回路『必修脳』を鍛えることが必要
そして必修脳の能力とは,
・必修で聞かれやすいパターンを認識する.
・必修問題に慣れ,平常心を失う,考えすぎる,などの罠にはまらない.
ということです.
というわけで,第3回ではQB必修2012を用いて,
『必修脳の鍛え方』をお伝えしたいと思います.
(編集部S)