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【体験記】在学中の出産育児と実習国試の両立

病院でも「働き方改革」が進み,出産育児と仕事を両立しやすい職場が次第に増えているところですよね.

今回お送りするのは【在学中の出産育児と実習国試の両立】の体験記…!
僕自身は109回国試を受験したのですが,当時は自分ひとりの炊事洗濯と国試対策を並行するだけでも
「んがー!もう国試まで時間ないのに!家事なんてやってられるかー!」
となっていたのに….
出産育児と実習国試の両立って…,どんな生活だったのか気になりませんか?

もし同じようなシチュエーションで,学生生活を送る上で不安に思うことがある方には,ぜひ参考にしていただければと思います.

「自分の生活には直結しないなあ」という方も,
「クラスメイトがもし同じような悩みを抱えたときにどういったサポートができるだろうか?」
と考えるきっかけにしてみてください!


体験記 在学中の出産育児と実習国試の両立


私は大学4年5月に彼氏との間に妊娠が発覚し,家族とも話し合いの末,8月に結婚しました.そして翌年1月に無事出産し,子育てと両立させながら医学部を卒業しました.

今回はこの間の妊娠,出産,育児と医学生生活の両立についてお話します.

● 4年生5月~8月(つわりと戦いながらのCBT)

コロナウイルスの影響で授業は基本的にリモートで行われていため,出席すること自体はそれほど負担でありませんでした.
しかし,つわりで慢性的に気持ち悪さがあり,全く集中できない日もあり,この時期に並行する必要があったCBT対策の勉強は,大変つらい思いをしました.

そんなときでも「何か勉強を進めないと…」と思い,ソファで寝転がりながら,Q-Assistの講義を見るようにしていました.
また,私の年からQB CBTがオンラインに一本化されていたので,机に向かわず,横になったままiPadで問題演習できたのがとても大きかったです.

このように勉強の仕方を工夫し,休む時間も十分に作り,なんとか勉強と妊娠を両立させました.
3年までに積み上げた知識の貯金もあったので,CBTは無事合格することができました.

しかし,この時の私はまだ知らないのでした….
まだ一人の時間として過ごせているだけ,余裕があったのだと…!

● 4年生9月~12月(妊娠中での実習開始)

臨床実習が始まるにあたって,大学に妊娠の報告をしました.
学校からは休学を勧められましたが,私は
「休学しない選択肢があるなら,ギリギリまで頑張りたい」
と伝えました.
理由としてはやはり休学した場合はお金が余計にかかりますし,ストレートで進級できるならそれに越したことはないと考えたからです.

実際に実習が始まるころは不安な気持ちでいっぱいでしたが,
この時期にはつわりが治まっていたこともあり,想像していたほどの大変さはなく過ごせました.
困ったことといえば,放射線科の実習で放射線室に入れなかったことくらいでしょうか.

むしろいずれ来たる子育てでお金がかかることが気になるようになっていました.
かなり体調も安定していたため,この頃,メディックメディアでのアルバイトを始めました.

● 4年生1月(いよいよ出産!)

そんなこんなで慌ただしく過ごしているうちに,出産予定の1月が迫ってきました.
この時期は班員の配慮もあって,比較的楽な診療科のローテートにしてもらっていました.

また,先生にもレポートを産前に課してもらうなどご配慮いただき,実習を休むことなく出産を迎えることができました.
このことには本当に感謝しています.

そしてついに出産…!
分娩時間4時間半というスピード出産で,元気な赤ちゃんが産まれました.
初産ということで少し不安だったのですが,結果としては順調すぎてあまりここに書くエピソードがないくらいでした.

● 4年生1月~3月(産褥期での実習)

出産後は学校にレポート,リモートでの実習など1ヵ月間代替処置をお願いしました.
「皆がしている経験を積めないのは,やはり不安だなあ」と思っていたのですが,
この時期にちょうどコロナウイルスの感染者数がピークを迎え,登校禁止に伴い学年全体が病院内での実習の代わりにレポート提出やリモート実習を課され,結果的にみんな同じことをすることになりました.

それでも出産後は出産前と比べ圧倒的に両立が大変でした.
授乳の必要もあり,睡眠時間も3,4時間となり,体力的な限界を感じつつありました.

また,リモート授業中に赤ちゃんが泣き出してしまったときは大焦りしました.
しかし,泣いてしまったときの面倒を夫婦で分担するなど,お互いに協力しあうことで,2人とも無事に進級することができました.

また,とにかく産まれたばかりの我が子は可愛かったです.
原始反射の確認などもしながら,成長を確認していました.(笑)

● 5年生前半(子育てと実習の両立)

私たちの場合,4月に運良く保育園に入園することができました.

出産のタイミングがよく,その年の4月入所にギリギリ間に合った,というのが大きかったです.
基本的に保育園は4月でないと入園できないため,間に合わなければ翌4月になっていました.

また,住んでいる地域が保育園激戦区でなく,そこまで保育園探し(いわゆる保活)を頑張らなくても入れたことも大きかったです.

このような幸運に恵まれ,4年生に続き,5年生の実習もまた休学せずに続けることができました.
ただ,保育園に入園できたからこそ起こる苦労もありました.

まず,送り迎えの時間と実習のスケジュールが合わない場合があることです.
家から遠い実習先のときは,保育園が開く7時ちょうどに子供を預け,ダッシュで登校する必要がありました.
また,外科系の実習のときは,終了時間が遅くお迎えに間に合うか不安で,実習に集中できないでいました.

しかし,こういった平日の送り迎えも,夫婦で分担することでなんとかこなせました.
土日は家族の時間を過ごせていましたし,今振り返ると大変ながらも充実した生活だったと思います.

● 5年生後半(進級試験と子育ての両立)

5年生を通して意識していたのは,やはり試験勉強との両立です.
子育てのために時間の制約があったため,スキマ時間を見つけ,早め早めから進級試験や国試の対策をしていました.
コロナの影響でリモートやレポートになる実習も多かったため,それで出来た時間は自主学習に充てていました.

5年12月までには臓器別の講義動画を1周見終わり,QBも1周目問題を終わらせていました.
その甲斐もあって,進級試験は無事通過.コツコツ進めた成果が出て,学年でも上位でした.

● 6年生(国試と子育ての両立)

6年生の選択実習は,自身の将来のことや子育てとの両立のしやすさを意識し,麻酔科や眼科などを選択しました.
結果的に5年生の頃と比べると負担が減り,肉体的には楽になりました.

しかし,周りと比べるとやはり,国試対策の時間は取りにくかったように思います.
友人のなかには8時から23時まで…のように長い時間学校にこもって勉強している人もいましたが,私の場合は子育てがあり,子どもを保育園に預けている9時~18時の間しか勉強に充てられませんでした.
また,土日は保育園に預けられないため,勉強は一切できませんでした.

そのため私は,とにかく限られた時間で効率よく勉強することを意識しました.
事前に勉強の計画を立て,QBを解くときはダラダラしないよう時間を計りながらノルマをこなしたり,苦手分野は講義動画を見直したり,まとめノートをつくって子どもが眠っている間に復習したりしました.

結果として,国試は必修93%,一般臨床85%と,ある程度余裕をもって合格することができました.
4月からは夫婦揃って研修医のため,今度は研修と子育ての両立を目指し引き続き頑張っていきます.

● まとめ

妊娠出産や育児と医学生としての生活の両立で重要なのは,とにかく諦めないことだと思います.

私の場合は,コロナによるリモート化や出産時期など運が良かった点もたくさんありましたが,
何よりも「やればできる!」というマインドが,1番大きかったと思います.
また,家族や友人のサポートももちろんこの両立を成立させる上でありがたかったです.本当に感謝の気持ちでいっぱいです.

自分の人生は,自分のしたいようにしかなりません.
今これを読んでいる人の中に,妊娠中の医学生や,医学生のうちに妊娠出産をしたいと考えている方がいたら,いきなり休学を考える前に,ぜひ今一度「自分がどうしたいか」と考えてみてもらえるとうれしいです.


方法や場所の選び方で,うまく勉強時間を確保することで,妊娠出産と学生生活を両立させた.という体験記でした.

妊娠に限らず,「何かと国試対策を両立させたい」ときに,
「やればできる!」というマインドや,達成するための具体的な方法の検討が重要になってくる
と思います.
ぜひこういった考え方なども,皆さんのお役に立つとうれしいなと思います!

それでは,また次回の記事で!

(編集部 M.T)

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