[3~6年生向け]医師国試 新ガイドライン発表! 第3回:新しく加わった内容は?
こんにちは,編集部Aです.
4年ぶりに改訂された「医師国家試験出題基準」について
紹介する企画をお送りしています.
今日はその3回目です.
前回は,ガイドラインの基本的な考え方について紹介しました.
国試受験生に求められるのは,まずは基本に忠実に,
学校の講義や実習で得られる基本知識を身につけ,
その上で臨床での思考過程に沿って問題を解く,
ということでしたね.
【前回記事はこちら↓】
http://web-informa.com/benkyo/20120522-2/
さて,今日からはもう少し詳しく,
新ガイドラインの改訂ポイントをみていきましょう.
受験生の皆さんが一番気になるのは
「今までと違う勉強をしないといけないの??」
ということですよね.
結論から言うと,今回の改訂で
新しく加わった疾患はほとんどありません.
新ガイドラインでは,項目が系統だてられて整理されたり,
出題事項を可能な限り明確化しようという方針になったりしたため(親切!),
見た目が旧ガイドラインと異なるところが多くありますが,
出題されうるテーマ自体はその前のガイドラインから
あまり増えていないのです.
◆◆新たに登場した「視神経脊髄炎」と「IgG4関連疾患」に注目!◆◆
このように新しい疾患知識が多く求められるようになったわけではない中,
新たに追加された疾患は以下の2つです.
これはおさえておきましょう!
●視神経脊髄炎
『神経・運動器疾患』(メディックメディア書籍の「J章」)の
「多発性硬化症」の備考として追記されました.
●IgG4関連疾患
『アレルギー性疾患・膠原病・免疫病』(メディックメディア書籍の「F章」)
の「膠原病と類縁疾患」の中に新たに登場しました.
これらは過去に出題されたことがないので,
過去問を解いているだけでは出会えない疾患です.
次の国試でさっそく出題される…という可能性は高くはなさそうですが,
ガイドラインに新たに加わったことはおさえておいたほうがよいかもしれません.
◆◆必修では特に「治療」が拡大!◆◆
『必修の基本的事項』に含まれている「治療の基本」.
ここに「リハビリテーション」「移植」「放射線治療」「栄養療法」
などが追加され,内容がより充実しました.
例えば移植の適応や拒絶反応については
これまでの国試でも出題されてきましたが,
必修問題として問われうることになった点が要注意です.
◆◆総論では在宅医療,緩和医療に注目!◆◆
『医学総論』でも,やはり注目すべきは「治療」の章です.
例えば,新ガイドラインでは以下のような変更がありました.
●「術中の疼痛管理」について,
これまでも「ペインコントロール」という言葉がありましたが,
新ガイドラインでは「ペインクリニック」「アロディニア」「神経ブロック」など,
より詳しく記載されています.
●「放射線治療の適応」では,根治的照射に加えて
「予防的照射」「緩和的照射」が追加されました.
放射線治療の目的が多様化しています.
●「血管系治療」では,
「動注リザーバーポート」「経皮的中心静脈ポート留置術」
などの言葉が追加されました.
いずれも在宅医療の拡大やQOL重視に伴い普及している治療法です.
●「緩和医療」については,苦痛の緩和が「全人的」と「身体的」に分けられ,
それぞれ「癒し環境の整備」や「悪液質の概念」など,
より詳しい言葉が入りました.
こうした傾向を見ると,在宅医療や緩和医療が
キーワードといえそうです.
———————————————–
実際のガイドラインを見てみたい!という方は,
厚生労働省のサイトをご覧ください.
PDFで公開されています.
http://www.mhlw.go.jp/topics/2012/05/tp0510-01.html
———————————————–
さて,今日お話したこと以外にも,細かいレベルで見れば
新しく加わった用語はたくさんあります.
でもあまり心配する必要はありません.その多くは,
これまで国試ガイドラインに載っていなかったとしても,
学校の講義や実習で皆さん自然と勉強しています.
とはいえ,聞いたことのない言葉もあるかも…
もし知らない言葉が国試に出てきたら,ちょっと焦りますよね.
例えば…
・高齢者総合機能評価
・心腎相関
・医療観察法
・ブラッグピーク
・レスパイトケア
・副鼻腔真菌症
・SPIKESモデル
・複合性局所疼痛症候群
・ヘプシジン
…あれ??と思った用語はありましたか?
これらはガイドラインにしっかり明記されているので,
いつ国試に出てきてもおかしくないわけです.
次回からは,最初に紹介した視神経脊髄炎とIgG4関連疾患も含め,
ガイドラインに新たに加わった用語をいくつかピックアップして
紹介していきます.
お楽しみに!
(編集A)