[3~6年生向け]医師国試 新ガイドライン発表! 第7回:新ワード紹介(その4)
編集部Aです.
4年ぶりに改訂された「医師国家試験出題基準」に
新たに追加された用語を紹介しています.
今日は,『医学総論』「手術,周術期の管理,麻酔」の中の「術後合併症」の1つ
「多臓器機能障害症候群(MODS)」の紹介です.
◆多臓器機能障害症候群
(MODS;multiple organ dysfunction syndrome)
何かしらの重症傷病が起こると,それが原因で
多量のサイトカインが放出され,制御不可能な炎症反応が起こり,
将棋倒し的に2つ以上の臓器が障害を受けていく状態です.
多臓器不全(MOF;multiple organ failure)と呼ばれているものですが,
臓器機能が可逆的で正常に回復する可能性もあるとの観点から,
「多臓器機能障害」とも表現されるようになってきました.
例えば,膵炎や重度熱傷で
SIRS(多量のサイトカインが放出された状態)になりますよね.
それをコントロールできないと,ARDSという
呼吸器臓器,肺が障害を受けた状態になることがあります.
これは2つの臓器が障害を受けているわけで,MODSです.
他にも,何かしらの原因でショック状態となると,
腎不全を併発したりします.
多発外傷のように,一度に複数の臓器が損傷してしまうものとは
概念が異なります.
(もちろん多発外傷は重度の外傷なので,MODSにつながる可能性はあります)
重症な疾患を診ているときには,その臓器の診療だけではなく,
MODSという病態が起こりうることを念頭に置いた
全身管理,集中治療が重要です.
以前は,多臓器不全は死とほぼイコールでしたが,
医療の発展に伴い,重症傷病も救命されるようになり,
多臓器障害という状態で生存する期間が延長しました.
また,救命率も改善されていることから,
この概念の理解の重要性が増しているのでしょう.
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多臓器不全という言葉のほうがまだ一般的かもしれませんが,
MODSという言葉とその背景も知っておきたいところです.
(編集A)