[3~6年生向け]医師国試 新ガイドライン発表! 第11回:新ワード紹介(その8)
編集部Aです.
4年ぶりに改訂された「医師国家試験出題基準」に
新たに追加された用語を紹介しています.
今日は,『医学各論』「IX 神経・運動器疾患」の「多発性硬化症」
の関連事項として新たに明記された「視神経脊髄炎(NMO)」をご紹介します。
◆視神経脊髄炎(NMO;neuromyelitis optica)
重い視力低下(重度の視神経炎)と両側下半身麻痺(横断性脊髄炎)を繰り返す
炎症性脱髄性疾患で,
以前Devic病と呼ばれていた疾患の再定義ということになります.
欧米に比べて日本人に多い病型ですが,
これまで日本では,こうした病態のうち
単相性の経過をとるものをDevic病,
再発寛解型のものを多発性硬化症(MS)の一病型
(視神経脊髄型多発硬化症;OSMS)ととらえてきました.
ところが,Devic病と一部のOSMSとされてきた患者の血清中に,
抗アクアポリン4(AQP4)抗体あるいはNMO-IgGという
特異的な抗体が存在することがわかり
(この抗体は一般的なMS患者ではみられないものです),
血清中抗AQP4抗体あるいはNMO-IgG陽性の患者さんについて
NMOおよびNMO関連疾患という形で再定義を行いました.
抗体の他にも,NMOの脳MRI所見がMSの診断基準を満たさないなど,
NMOと通常のMSでは異なる特徴が多く,
近年ではNMOはMSと別の疾患であるという考え方が確立してきています.
こうした流れをふまえ,
2006年にはNMOの改訂診断基準も発表されています.
以前の流れを汲み,特定疾患としてはMSと同じ書類で申請をしますが,
MSとは異なるNMOの病態が明らかになってきたことは,
近年の大きなトピックです.
治療方針が異なる可能性もあるため
(例えば,MSの再発予防に用いられるIFN-βが
NMOには有効でないという報告もあります),
適切な診断が重要です.
– – – – –
NMOの概念や病態については議論が続いていますが,
MSと鑑別するための抗AQP4抗体測定は
優れた方法として広く認識されているようです.
その他のポイントについても
最新の『イヤーノート2013』『病気がみえる vol.7 脳神経』に載っているので
確認してくださいね.
(編集A)