[3~6年生向け]医師国試 新ガイドライン発表! 第12回:新ワード紹介(その9)
編集部Aです.
4年ぶりに改訂された「医師国家試験出題基準」に
新たに追加された用語を紹介しています.
今日は,「Wegener肉芽種症」の備考欄に追記された
『GPA』の紹介です.
(Wegener肉芽種症は『医学各論』の
「IV 呼吸器・胸壁・縦隔疾患」の「血管炎関連疾患」,
「VIII 腎・泌尿器・生殖器疾患」の「膠原病に伴う腎病変」,
「XI アレルギー性疾患・膠原病・免疫病」の「血管炎を主とする類縁疾患」
に記載されています.)
◆GPA;granulomatosis with polyangiitis
~Wegener肉芽種症の新名称~
Wegener肉芽腫症の新しい名称です.
系統的血管炎の疾患名称と定義がまとめられるCHCC分類の改訂に伴い,
Wegener肉芽腫症はgranulomatosis with polyangiitis(GPA)に
名称変更されることが提案されました.
その理由として,ACRなどの欧米の学会から,
名前の由来であるDr. Friedrich Wegener が
第二次世界大戦前~戦時中にナチ党員であったため,
病名として不適切であることが指摘されています.
これを機に,他の血管炎についても,報告者などの名前を冠した病名は
病因や病態生理に基づいた,より記述的な疾患名称へと変更する方針が打ち出されました.
(Churg-Strauss症候群→eosinophilic granulomatosis with polyangiitis(EGPA).)
しばらくはWegenerの名前も併記することになっていますが,
急な名前の変更に戸惑うかもしれません.
しかし,これで全身性のANCA関連血管炎すべてが
“angiitis”という名前を冠することになるので,
同じ疾患概念であることが強調されるというメリットもあります.
この国際的な変更に伴い,厚生労働省研究班では
GPAの日本語病名を「多発血管炎性肉芽腫症」,
EGPAを「好酸球性肉芽腫性多発血管炎」と提案しています.
国際的な診断基準(DCVAS)も作成中ですが,
現状では日本の診断基準に変更はないので安心してください.
– – – – –
国試ガイドラインには「Wegener肉芽種症」と示されていますから
国試ではまだしばらくはこの名称で出題されるでしょう.
しかし数年後には,「GPA」が一般的な名称になっている可能性があり
国試でも「GPA」という言葉が登場するかもしれません.
今回の追記は,その可能性を暗示しています.
(編集A)