[3~6年生向け]医師国試 新ガイドライン発表! 第13回:新ワード紹介(その10)
編集部Aです.
4年ぶりに改訂された「医師国家試験出題基準」に
新たに追加された用語を紹介しています.
今日は,『医学各論』「VIII 腎・泌尿器・生殖器疾患」
「慢性腎不全」の項に追加された「ミネラル骨代謝異常(CKD-MBD)」をとりあげます.
◆ミネラル骨代謝異常
(Chronic Kidney Disease-Mineral and Bone Disorder:CKD-MBD)
腎機能障害が進行することで,
多くの症例でミネラル代謝異常が進行することは
従来から知られていました.
これは腎性骨異栄養症(renal osteodystrophy:ROD)と呼ばれ,
慢性腎臓病に合併する骨軟化症や
二次性副甲状腺機能亢進症による繊維性骨炎などのことをいい,
骨の病気として扱われてきました.
近年,腎機能障害が
心血管イベントの発生率や死亡率に関与していることが明らかになり,
慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease:CKD)という概念が
一般的になっていますよね.
ミネラル骨代謝異常も,血管石灰化などを通して
心血管イベント,死亡率に影響を与えるため,
全身疾患としてとらえなおすことが必要となり,
『慢性腎臓病に伴うミネラル骨代謝異常(CKD-MBD)』という
新しい概念が作られたのです.
CKD-MBDは
①Ca, P, PTHなどの検査値異常
②骨の異常
③血管石灰化
の3つの要素から成り立ちます.
今年(2012年)の春には最新の診療ガイドラインが発表されています.
CKD-MBDを治療することで
骨折や心血管イベントを減らし,
腎臓病患者のQOLおよび死亡率を改善することが期待されています.
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この企画の初回にお伝えした『心腎連関』
(http://web-informa.com/benkyo/20120611-2/)
とも併せて,近年注目されているCKDをとりまく概念を
確認しておきましょう.
(編集A)