この春に知っておきたい!「医者1年目」をスマートに乗り切るTips集
みなさま,合格おめでとうございます!卒4の内科専攻医Y.Iです.
今回は,入職へむけて/入職すぐの時期に,「今思うとこれ知っておけばよかったな」と思うことを共有します.研修へ向けた準備についてはこちらの「研修が始まるまでにやること5選」も参考にしてください.
箇条書きで,メモのように記載します.ぜひ参考にしてみてください!
入職前~ひまなスキマ時間にやるといいかも系
▶
資料を移行しておく
国家試験で使った自分でまとめたノート等は手元に入れていつでも見られる状態にしておこう(だんだん使わなくなるけど心理的安全が得られる).
▶
自分なりのまとめを作れるアプリを整備する
研修中の気づき,疑問などのメモ,解決を残せるように整理しよう.検索がかけられるアプリだとなお良し.Onenote,Notion.
当時はEvernoteを使い,勉強まとめメモを研修同期と供覧できるようにしていた.Antaaの使えそうなスライドをお気に入り保存していた.
iPadは持ち歩く余裕がなくなってくるので,スマホでも閲覧できるようにしておくといいかも.
▶
計算機能アプリを整備
腎機能別投与量計算,eGFR計算,γ計算など,便利計算アプリをインストールしておこう.
▶
EPOC,UminIDのチェック
まずはログインできるかチェック.EPOCはどんな登録をすればいいのか,どのような症例で,どのような情報が必要になるのか.はやめに一度アクセスして確認してみよう,
▶
医師免許証をスキャン
病院異動,外勤先など,ことあるごとにコピーの提出を求められる.スキャンして持ち歩こう.原本を求められる機会はほぼない.
▶
医賠責保険加入の検討
よくわからないまま周囲の流れに乗って加入しがち.
研修医の間はリスクが比較的低いと判断して加入しない人もいたが,何があるかわからないので加入しておいて損はないと思う.保証ランクがいくつかあるが,研修中は守られているしなと,一番低いものにしていた.
▶
NISA,iDeCo,資産形成ポイ活系
4月の研修医室で話題になった.とりあえず入金積立派と,口座だけ作って放置派に分かれた印象.自分は前者で勝手に増えた.ポイ活を頑張る人もいた.タブレットをもらえたりする.頑張らなくても,登録だけでアマゾンギフト券数千円をもらえたりする.
▶
使えるAI,注意点
かなり精度が良くなった印象だが,何の責任もとってくれないのでchatGPTやGeminiなど使い方には注意が必要.視座を広げる壁打ち相手には良いが,ファクトチェックに時間をとられるので,研修中であれば書籍やmedLinkなどを参照したほうが結局早いと感じる.
▶
Quick Referenceを使ってみる,手技動画をみてみる
研修生活では暗記知識を試すのではなくどこに何が書いてあるのか,検索し,すぐに情報を取り出せることが重要.Quick Reference/研修Assistは自分が研修医の時はなかったが,パッとスマホで確認するのに向いてそう.自分なりの使い方を探ってみよう.
手技動画(研修Assist)は勝手に次の動画が再生されるので,作業用に流しておくだけでもいいかも.
Quick Referenceは目次を眺めておく.どうせ詳細を読んでも何も思い出せないので,こんな項目があるんだな,と思うだけでいい.くわしく読んで実践するしたいなら,まずは「ABCDEアプローチ」を.
あとは現場で出来なかった経験を通じて,該当箇所を読みこもう.
研修初期で時間に余裕があるなら,救急外来のカルテを拝借し,該当する症候を読みながらカルテを追って脳内シミュレーションすると次につながるかも.
入職したら
▶
病棟からの電話で困ったら「確認して折り返します」
かかってきた電話は出て,まずはこれ.耐えよう.電話を切って,落ち着いてから次の一手を考える.
▶
困ったら現場へ
色々なことを言われて混乱したり理解できなかったらとりあえず現場に出向く.指導医に相談する.
▶
最初はとにかくメモる
指示を受けたらメモを復唱して確認.例えば,薬剤ならmgか,mlか,単位までしっかり声に出して確認する(それでうっとおしがられても間違えるよりまし).
▶
物品の場所は積極的に知ろう
看護師さんの動きをみて.指導医のあれとってきて!に対応しよう.
▶
食堂を探検しよう
売店は24時間かどうか.売店が閉まって当直時の食事に困らないように.
▶
当直初日のバッグの中身
- 白衣/スクラブ
- 聴診器
- PHS
- ペンライト
- ボールペン(なくしてもいいもの,患者家族に貸すと返ってこないかも)
- ポケットサイズのメモ帳(患者家族の前でスマホは出しづらいので紙もいる)
- ポケットマニュアル,もしくはカンペ媒体,電解質や血ガス早見表
- 充電器
- メガネ
- 軽食,飲みもの
- 歯ブラシ
- ドライシャンプーなど
▶
カルテ記載のTips
①カルテは辞書登録から始める
(パソコンやカルテによるが)文章を選択して右クリックすると「辞書登録」「ユーザー登録」「ユーザー辞書」等と表示される.もしくは,カルテメニュー一覧の画面で,検索すると,「辞書登録」「ユーザー登録」などと出てくる.
特定の単語を入力した際に,表示される文章をカスタムすることができる.下記は自分が登録していた例.
日々の診療録
sop →
S: Subject(主観的情報)
O: Object(客観的情報)
A: Assessment(評価)
P: Plan(計画・治療)
よく使う文章
へいい →
平易な言葉で説明し同意を得た.(これは造影CTの説明のときとか)
りすく →
治療に伴うリスクについて説明した.(これはあまり研修医では使わないかも)
診察テンプレ
しんさつ →
意識清明 呼吸音 心音 腹部平坦軟 下腿浮腫
ぞうえい →
アレルギー:無し 内服:メトホルミン Cre:● eGFR:● 妊娠反応:陰性
同意書取得:済
ほかにもカルテ,紹介状,コンサル文,手技の内容記載などを登録していた.
研修Assist講師 矢野先生によるアドバイス
ウィザード的に使いたい辞書登録は、読みを「$」から始めるのがおすすめです.読みの文字数を短くしても,普通の文章を打っているときには呼び出されにくいので便利ですよ.
- $1 → 1錠分1 朝食後
- $ね → 1錠分1 就寝前
- $2 → 2錠分2 朝夕食後
- $3 → 3錠分3 毎食後
- $た → □退院オーダ□退院時療養計画書作成□紹介状作成□退院処方…(退院時ToDoリスト)
※電子カルテの種類によっては,読みに記号を登録できない場合もあります.
②オーダーセットを知る
入院時に必須の検査などは,漏れがないようにセット登録することが可能.
また,特定のセットがすでに用意されている場合もある.
入院時検査,術前採血,貧血精査,化学療法入院時など.
自分のオーダーの参考にして勉強することもできる.あくまで時短の方法であり,必要な項目は都度自分で判断する.盲目的にセットを利用するのは厳禁.
検査だけでなく,治療や指示も登録できる.入院時指示セット,喘息治療セット1,2など応用可.
用法用量,禁忌など都度要注意.
■オーダーセット関連の操作方法
<登録時>
新規カルテを開いて,登録したいオーダー内容を入力する
ex.「採血(生化,血算,血糖,凝固)/胸部Xp/心電図」
カルテ保存せずに,カルテ上で右クリック,「セット登録」
名前を付けて保存することが可能
<使用時>
新規カルテを開いて,カルテ上で右クリック
「セット展開」,展開したいセット名を選択する
カルテ保存してオーダー完了
③DI参照機能はよく使う
薬剤を調べたい時はブラウザよりも早いかも.カルテ内のDI用量,腎機能別投与量,禁忌,相互作用などはかなり使いやすい.
Uptodateや今日の臨床サポートが使える病院も多い.カルテパソコン内デスクトップを確認しよう.
④検査値のトレンド表示
入院患者の採血結果はトレンド表示でも確認してみよう.Hb,Cre,CRPなどグラフ表示の方が状態を理解しやすいことも.
科によっては症例プレゼンのときに「検査値はグラフで出してね(慣習)」と言われることも.
採血検査結果一覧の画面で,「推移」→「トレンド表示」などと押すと温度板のように折れ線グラフが表示される.検査項目を複数選択して,それらの値のみ表示することも可能.
▶
経験症例のメモ
EPOC,J-osler,標榜医等の登録のため,経験症例をあとから振り返る機会はたくさんある.
症例メモを作っておくと楽かも.
患者ID,担当期間,年齢,性別,主病名,簡単な病歴をExcelなどでまとめておく.
情報管理については各病院の規定に従って.院内だけで閲覧できる個人フォルダが用意されている場合や,ロック付きUSBが指定配布される病院など様々.
▶
+αの症例メモ
自分の症例だけでなく,同期や上級医の症例も貴重な経験に.珍しい疾患,典型的な症例,教科書的な経過もなど記録しておくと勉強になる.
キーワードや疾患名のメモ.カルテ内に症例登録(お気に入り登録)のような機能があるものも.カルテメニュー一覧で,「登録症例」などと検索すると,自分の登録した症例が見られる(他人や上級医のも見れてしまう).
▶
病院図書館を活用しよう
オリエンテーション中に院内図書館になにがあるか確認してみよう.最新のガイドラインが閲覧可能か.論文検索や診療補助ツールはどんなものを契約しているか.
Uptodateや今日の臨床サポートなどは,図書館で登録すれば外部でアクセスできるようになる場合も.研修中の抄読会や症例発表にも備えられる.
最後に
いかがでしたか.
研修医生活のスタートは,覚えることや慣れないことの連続で,時には圧倒されてしまうかもしれません.今回ご紹介したような「ちょっとした準備」や「カルテの工夫」の積み重ねが,現場での心の余裕に繋がれば何よりです!
皆さんが現場で自分らしく成長していけるよう,専攻医の立場から,心から応援しています!
研修Assistでは入職前から役立つ動画を配信中!
病棟業務の流れの全体像がわかる「はじめての病棟業務」を配信中!2026年3月には「トレーニング編」を追加リリースしました.入院時サマリやプレゼン,紹介状などを事例をもとに添削する動画です.
一度視聴しておくと,入職時にスムーズに研修を始めれますのでぜひ使ってみてください!


