[Dr. Yの研修医日記] はじめての“死”
【5月×日】
当直をしていたら,吐血の患者さんが来たと連絡が入りました.
急いで駆けつけると,廊下で待っている患者さんはぐったりしていました.
見た瞬間「これはやばい!」と思って,
第一印象でバイタルをとると…
手が冷たい,脈も速く,意識もはっきりしない.
出血性ショックになる可能性を考えて,
すぐに急患室へ入れてライン確保し,
ラクテックの投与を始めました.
次の日,上部消化管内視鏡を行うと
デュラフォイ潰瘍(イヤーノートで確認してみてね)
の病変が見つかり,この出血による吐血と考えられました.
救急外来では,第一印象で患者さんのバイタル所見をとることが重要です.
これが「できる研修医」に近づく第一歩です.
こういった“臨床で役立つコツ”は,
病棟実習などでないとなかなか学べないことですから,
臨床実習はまじめにやっておかないといけません.
皆さんも救急実習のときは,
患者さんの第一印象とバイタルに注意するようにしてみてくださいね.
【5月×日】
はじめて,担当した患者さんが亡くなりました.
悪性腫瘍転移の終末期で,
最後はずっとドルミカムで鎮静をかけていたので,
家族の方の受け入れは自然に進んでいた…ように思います.
それでも家族の方の涙にたびたび遭遇し,
「苦しくないように最善を尽くします」としか言えず,
そばにいることしかできませんでした.
予想されていた死だったため,お看取りは静かでした.
死に抵抗できないこと,そのあっけなさを,初めて味わった朝でした.
【5月×日】
低カリウム血症の方を受け持つことになりました.
心電図上では上室性期外収縮があり,
詳しく問診すると四肢の脱力もあった様子.
服薬歴を聞くと…なんと,
グリチルリチンを服薬していたとのこと.
偽性アルドステロン症でした.
国試ではありがちですが,実際にあることなんだなぁ,
とびっくりしました.
グリチルリチンは肝障害に対して処方されていたのですが,
入院中に何もせずにAST・ALTは低下していき,
ALPは入院時の半分に激減しました.
断定はできませんが,アルコール性肝障害があり,
それでグリチルリチンが投与され,
低カリウム血症になったと考えられました.
まさに「国試っぽい症例」で,とても勉強になった患者さんでした.
【5月×日】
コントロール不良のSLEの患者さんを受け持ちました.
SLEの診断基準を確認したり,
全身の病態確認のために行うべき検査を一気にオーダーしました.
…が,オーダー直前に『イヤーノート』を見ていたら,
心病変も重要だということに気づき,
あわてて心エコーもオーダーしました.
全身疾患の患者さんでは,全身をくまなく網羅することが必要です.
そのためには,一度でも疾患について理解しておけば,
研修医としてその疾患を受け持つことになっても
「こんなこともあったなー」と
すんなり患者さんの状態を理解することができるようになります.
SLEは,語呂などを使って一回は症状や診断基準を覚えるといいです.
でないと,
私のように心エコーをオーダーしそこないそうになります…(苦笑)
ではでは,また次回♪
(研修医 Y)
【関連記事】
Dr.Y の研修医日記 (4月)