[分析]データでみる107回国試(その4)確実な知識が問われる!一般問題編
みなさんこんにちは!編集部のS藤です.
前回の,データでみる国試(その3)では,
“臨床医的な思考が試される”臨床問題についてお伝えしました↓
http://web-informa.com/kokushi/data/20130408-3/
続いて今回は,『一般問題』についてご紹介したいと思います.
◆107回国試での合格基準◆
一般問題の合格基準は65%前後と言われてきましたが,
107回国試の合格基準は69.5%と,過去5回のうち最も高くなりました.
◆確実な知識が問われる『一般問題』◆
一般問題は名前の通り,ある疾患や事柄についての一般的な知識を問う問題です.
シンプルな問題ですが,すなわち簡単で対策がいらない,というわけではありません.
今回は,得点のために必ず押さえておくべき性質,出題傾向をお伝えしようと思います.
まずは,実際に問題を見てみましょう.
107A8
わが国の成人の腸閉塞の原因で最も多いのはどれか.
a 大腸癌
b 腸重積
c 腸管癒着
d S状結腸捻転
e 鼠径ヘルニア嵌頓
【解説】
答えは『c 腸管癒着』です.
腸閉塞についての過去問(臨床問題)ではよく,
「開腹手術の既往がある」との記述がありますよね.
正答率は38.1%で,aを選んで間違った人が53.8%いました.
選択肢のどの病態も腸閉塞を起こしうるものですが,
aかcはよく見たことがあるな,というところまでは絞りこめても,
どちらか,といわれるとわからなかったようです.
臨床問題では,厳密な知識を問うというよりは,
その状態に対して総合的に考察するような問題が多く出題されます.
そのため“まさにその疾患”についての正確な知識がなくても,
頭の切れる医学生であれば検査データなどから病態を考えたり,
他の知っている疾患から類推して正答を得られることがありますが,
一般問題は「なんとなく知っている」だけでは解けない問題が多いので,
誰しも,地道な知識の積み重ねが必要です.
◆公衆衛生に要注意◆
公衆衛生は,国試全体で最も問題数の多い分野ですが,
特に一般問題においては,その割合が高く,
106回では,必修以外の一般問題200問中40問,
107回でも,200問中40問(20%)が公衆衛生でした.
復習になりますが,一般,臨床,必修は別々に採点され,
それぞれの合格基準を満たさなければ合格できません.
一般問題をクリアするためには,
公衆衛生対策を万全にすることがとても重要です.
◆画像問題も出ます◆
画像問題といえば,臨床問題のイメージがありますが,
実は,一般問題でも出題されています.
107回では,17問の出題がありました.
画像つきの一般問題の内容は,
画像から診断を問うもの,考えられる病態を答えるものなど様々ですが,
毎年のように出題され,注意しておくべきものとして
「画像上の解剖学的知識を問う問題」があります.
実際に問題を見てみましょう.
107G11
成人男性の胸部CTを下に示す.
各部位の解剖名で誤っているのはどれか.
a(1):右気管支
b(2):左上葉気管支起始部
c(3):左下肺静脈
d(4):食道
e(5):葉間胸膜
【解説】
答えは『c 左下肺静脈』が誤りで,正しい解剖名は左下肺動脈です.
正答率は88.5%でした.
同様に,107E7では腹部CTでの解剖名が問われています.
このように,読影の基本となる解剖学的な知識を問う問題は,
今後も継続して出題される可能性が高いです.
もう一つ,画像付きの一般問題で問われやすいテーマとして,
検査や診察・手技の画像があります.
これは必修問題での出題も多いのですが,
必修以外の一般問題でも毎年出題されています.
問題を見てみましょう.
107E8
眼科の診察器具とこの器具で得られる検査所見とを下に示す.
観察されている部位はどれか.
a 涙嚢
b 前房隅角
c 視神経管
d 視神経乳頭陥凹
e 網膜黄斑部中心窩
【解説】
答えは『b 前房隅角』で,正答率は92.9%でした.
マイナー科,特に眼科や皮膚科では,医療器具についての問題が頻繁に出題されます.
使われる器具はそれほど数も多くなく,特徴的でだいたい一度見たら覚えられるので,
以下のように,対策することをオススメします.
☆マイナー科「医療器具画像問題」対策
1.できれば実習で見るのがベスト
2.最低,過去問で出題された医療器具は確認しておく
3.『QB Extra必修問題』の「医療器具セレクション」で写真と説明文をパラ見する
以上,『一般問題』についてお伝えしてきましたが,いかがでしたか.
次回もお楽しみに!
(編集部S)