[6年生向け]『QB必修問題2014』9月3日 3冊同時発売!必修特集★第2回:実は奥が深い必修問題
みなさん,こんにちは.
編集部のA.Mです.
本日ついに『クエスチョン・バンクExtra必修問題2014』Part1~3が発売となりました!
前回からお送りしている必修特集の第2回.
今回は必修問題の意外な落とし穴についてお話したいと思います.
題して,「実は奥が深い必修問題」
その前に,第1回の内容について簡単に復習です.
前回は「必修問題って何?」というテーマで,
必修の合格ラインが絶対基準で8割ということをお話しました.
前回の記事はコチラ.
第1回「必修問題って何?」:http://web-informa.com/books/20130829/
実は意外といる必修落ちの不合格者・・・
なぜ必修落ちしてしまうのかというと,その理由は大きく以下の3つ.
1.80%の絶対基準
2.必修特有の出題範囲
3.必修独特の問い方
前回のメルマガで1について触れたので,
今回は2と3について,実際の国試の問題とともに詳しくみていきましょう.
◆甘くみられがちな必修問題◆
ところでみなさん,先輩からこんな話を聞いたことはありませんか?
「必修対策なんか必要ないよ,一般・臨床問題の勉強で十分.」
でも,これって受かった後になって言えること.
人間誰でも喉元過ぎれば熱さ忘れる.
先輩も直前期は必死に対策していたのではないでしょうか.
また,残念ながら不合格になってしまった先輩は,
「勉強しなくていい」なんてアドバスをしないのでは?
前回お話したように,必修問題で気をつけなければならないのは,
「8割基準の基本的事項しか聞いてこない」=「簡単に解ける!」と,
勘違いをしやすいこと.
確かに,疾患について基礎的なことを聞かれることもあります.
そういった問題は,一般・臨床問題の知識で解くことはできますね.
しかし!
必修問題の中には,一般・臨床問題対策だけでは解けない問題があるんです.
それが前回のメルマガの最後にお話した下記の2つの理由です.
2.必修特有の出題範囲
3.必修独特の問い方
◆“必修ならでは”の問題って?◆
では早速,2と3について説明していきましょう.
2.必修特有の出題範囲
必修ガイドラインには,医療面接,終末期ケア,診察や手技,一般教養などの項目が含まれます.
これは座学だけでは勉強しづらいテーマであり,受験生を悩ませます.
これらのテーマから出題される問題にはどのようなものがあるのか,
具体例として107回の国試をみてみましょう.
【107F10】
凍結切片による迅速診断時の組織の取扱いで適切なのはどれか.
a アルコール固定液につける.
b ホルマリン固定液につける.
c ドライヤーでよく乾燥させる.
d 生理食塩液で湿らせたガーゼで包む.
e グルタールアルデヒド固定液につける
組織を傷つけないために取り扱わなければならないので,
正解はd「生理食塩液で湿らせたガーゼで包む.」です.
オペに入る研修医なら,凍結切片を取り扱うチャンスもあるのですぐに分かるかと思われますが,
学生には難しかったようで,正答率は54.7%でした.
さて,次の問題.
【107C15】
適切に管理され感染徴候のない中心静脈カテーテルの入れ替え時期について正しいのはどれか.
a 48時間ごと
b 96時間ごと
c 1週間ごと
d 2週間ごと
e 定期的な入れ替えは不要
感染徴候がないので,答えはeの「定期的な入れ替えは不要」となります.
この問題,受験生の声を聞いてみると,「eを選ぶ勇気がなかった」という人もいました.
確かに,カテーテルの入れ替え時期を聞いているのに,「入れ替えなくてよい」という選択肢を
実際の受験会場で選ぶのは,なかなかの勇気が必要ですよね.
そんなプレッシャーもあってか,正答率はなんと45.5%と,
受験生の半分以上が間違えた問題でした.
これらの2問はそれぞれ,ガイドライン「9.検査の基本」「14.基本的手技」からの出題です.
どちらも「基本」という言葉がついていますが,“学生にとっての基本“ではなく,
実は“出題者(臨床医)にとっての基本”.
つまり,臨床の常識が必ずしも学生にとって常識とは限らないんですね.
3.必修独特の問い方
必修問題では疾患各論のテーマからも出題されます.
一般・臨床問題の知識があれば大丈夫なのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが,
実際はクセのある問い方のために,思わぬところで点数を落とすことがあるんです.
クセの強い問い方とは,どんな問い方なのでしょうか.
実際の問題をみながら考えてみましょう.
【106H23】
10ヶ月の乳児.腹部膨満と血便とを主訴に来院した.7日前から,不機嫌になって嘔吐しては急に機嫌が良くなるという状況を繰り返しみられたため,4日前に自宅の診療所を受診したところ,急性胃腸炎の診断で整腸剤を処方された.その後,次第に嘔吐が頻繁になってきたため,3日前に再び同診療所を受診し,点滴を受けて帰宅した.本日になって血便も伴うようになり,ぐったりしてきたため同診療所から紹介されて受診した.意識は傾眠状態で刺激への反応が弱い.体温35.9℃.心拍数128/分,整.血圧74/48mmHg.呼吸数24/分.顔面は蒼白である.腹部は膨満している.黄色の液体を頻繁に嘔吐している.
現時点の対応として適切なのはどれか.
a 浣腸
b 便培養
c 急速輸液
d 注腸造影
e 抗菌薬の投与
問題文から,この児が腸重積を起こしていることはわかりますね.
ということは,正解は「浣腸」か「注腸造影」でしょうか.
実はこれ,「浣腸」でも「注腸造影」でもなく,正解は「急速輸液」.
正答率は75%と,受験生の4人に1人が間違えた問題でした.
注目すべき点は,設問内の「現時点の対応」という言葉.
現時点で児はどういう状態かというと,ショック状態なんですね.
その対応が最優先のため,なによりもまず「急速輸液」を行います.
こんなふうに,出題者がなにを聞いているのかを理解できないと,
ただの腸重積の対応だと思って,間違った選択肢を選んでしまうんですね.
しかもこの問題,経過の長さや腹部膨満から消化管穿孔を起こしているかもしれないので,
「注腸造影」は禁忌である可能性があります.
臨床問題で3点落としたうえに,禁忌まで踏んでいたら・・・
と,考えると恐ろしいですね.
特に臨床問題で,「まず初めに」「現時点で」「次に必要な」といった言葉が出てきたら要注意.
3点を落とさないためにも,何を問われている問題なのかということを,
しっかりと読み取るようにしましょう.
必修問題はみんな8割以上解けるものばかり,と思いきや,
必修ならではの問題では正答率が8割を切るものもあります.
本番ではさらにプレッシャーがかかり,必修対策なしに本番に臨むのはとても怖いことです.
必修問題の落とし穴に怯むことなく,国試を乗り切るためにはどんな勉強をすればいいのか・・・
そこでオススメしたいのが,『QB必修』!
次回のメルマガでは『QB必修』を使った必修問題対策についてお話したいと思います.
それでは今回はこのへんで.
(編集部A.M)