[4~6年生向け]『レビューブック 内科・外科』(第10版)発売中! 第5回:鑑別力を鍛える3つのステップ
編集K子です.こんにちは.
ついに『レビューブック 内科・外科』(第10版)が,
9月26日に発売になりました! 絶賛発売中です!
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第5回:鑑別力を鍛える3つのステップ
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新発売の『レビューブック内科・外科』第10版.
今回の改訂版で,巻末ページに収載している付録が,
「鑑別!1st impression」!
前回は,この「鑑別!1st impression」について,
どういうもので,何に役立つか,ご紹介しました.
今回は,その具体的な内容や使い方をご紹介します.
さて,この「鑑別!1st impression」を一言で説明すると,
「CBT対策と国試対策に役立つだけでなく,
研修医になって必要になる
“ヨコ切りの思考回路”をつくるのに役立つまとめ集」
というものでした.
疾患各論というタテ切り中心の試験対策だけでは,
症候から鑑別を考える“ヨコ切り”の思考は鍛えにくいものです.
しかし,研修医になると当直や救急外来で,
いきなり“ヨコ切り”の思考が求められるようになります.
「主要症候に応じて疾患を想起できる」“ヨコ切り”のシナプスは,
研修医になればすぐに身に着くというわけではありません.
でも,CBTや国試に出にくい鑑別診断の勉強までする余裕がない.
そこで,「鑑別!1st impression」を使い,CBT・国試対策をしながら,
“ヨコ切り”のシナプスをアタマの中に作っていこう!
…というのが前回の記事の概要でしたね.
では,この「鑑別!1st impression」が,
本当にCBTや国試対策に役立つのか?
今回はそれを見ていきましょう.
◆◆CBT対策で活躍!◆◆
まずCBTの問題.
「鑑別!1st impression」は臨床問題全般に役立ちますが,
ここでは主要症候がテーマになりやすい
「多選択肢型2連問」をみてみましょう.
テーマ:胸痛
a 心房粗動
b 心房細動
c 心室細動
d 洞不全症候群
e 完全房室ブロック
f 狭心症
g 大動脈解離
h 発作性上室頻拍
i 気胸
j 胸膜炎
k 急性心筋梗塞
l 肺塞栓症
(1)40歳男性.坂道を登るときに胸痛を自覚し,1~2分で治まった.
今朝は痛くなかったが,念のため来院した.
安静時の心電図は正常だった.
最も考えられる診断は(上記a~lのうちで)どれか?
(2)70歳男性.突然の胸痛を訴えて来院.
痛みは移動性で左右上肢の脈圧に差があった.
考えられる疾患は(上記a~lのうちで)どれか?
簡単かもしれませんが,
誌面紹介にちょうどいい問題なので,ご容赦くださいね.
答えを出す前に、まず
「鑑別!1st impression」の誌面と使い方を
「胸痛」を例にご紹介します.
◆STEP1:2つの軸でインプット!
(紙面画像はコチラ↓)
https://informa.medilink-study.com/wordpress/wp-content/uploads/old/imp-031.pdf
●「Don’t miss it」「common」の2つの軸で鑑別疾患を考えるのが
救急・総合診療の基本です.
1)Don’t miss it:見逃してはならない疾患.
2)common:頻度の高い疾患.
※上記のどちらでもないが鑑別に挙げられる疾患は「others」
としてまとまっています.初見のときは,まずはこの2つの軸を意識しながら,
疾患名を見ていき, introductionにも目を通しておいてくださいね.
◆STEP2:クイズのように疾患名を当ててみよう!
(紙面画像はコチラ↓)
https://informa.medilink-study.com/wordpress/wp-content/uploads/old/impression-032_033.jpg
●「主訴」,「典型的な患者像」,「付随する症状」が整理されて,
左ページに掲載されています.
問診や身体診察などその場で得られる情報が中心です.
●このヒントから「第1に考えられる疾患」を思い浮かべてみましょう.
右ページに答えとなる疾患が載っています.
●赤いシートで消しながら見ることもできます.
●疾患名の下に本書での参照ページが記載されていますので,
その疾患の詳しい特徴や国試での出題ポイントをすぐ確認できます.
もちろん,実際の臨床は典型例ばかりでないですし,
ここに示した情報だけで必ずしも診断できるわけではありません.
しかし,将来,的確に問診や検査のオーダーをできるようになるには,
学生時代に典型例の特徴をしっかり抑え,
主訴別に整理しておくことが重要になるでしょう.
◆STEP3:将来のために臨床的なポイントを確認!
●研修医以降に役立つ実践的なポイントもチェック!
これらは国試必修問題にも出題されやすいため,
今から見ておいて損はありません.
(ちなみに大動脈解離の場合,こんなことが書いています↓)
https://informa.medilink-study.com/wordpress/wp-content/uploads/old/8eaad52ffc4052bce0ea4397f8ec5
feb2.jpg
●最後にもう一度,「Don’t miss it」「common」の表を見直し,
記憶を定着させましょう.
この3つのSTEPを繰り返すと,だんだんと
頭の中にヨコ切りの回路ができてくるわけです.
2回目以降は,先に答えを見ないようにするため,
STEP1を飛ばして,いきなりSTEP2から始めましょう.
こうした学習でCBT対策・国試対策とからめながら,まずは
「症候に応じて疾患名を想起し,各疾患の典型例の特徴をおさえる」
このレベルを目指していきましょう.
研修医になってから,さらに実践的な知識を身につけていくための
土台になってくれるはずです.
さて,ここで,CBT問題の答えを発表します.
(1)40歳男性.坂道を登るときに胸痛を自覚し,1~2分で治まった.
今朝は痛くなかったが,念のため来院した.
安静時の心電図は正常だった.
最も考えられる診断は(上記a~lのうちで)どれか?
(2)70歳男性.突然の胸痛を訴えて来院.
痛みは移動性で左右上肢の脈圧に差があった.
考えられる疾患は(上記a~lのうちで)どれか?
どうでしょう?
「鑑別!1st impression」にバッチリ書いてありますね.
(1)は労作性狭心症,(2)は大動脈解離でした.
こういった症候別の問題は,
「鑑別!1st impression」が一番対策しやすいと思います.
この問題は(1)(2)ともに循環器系の疾患が答えでしたが,
循環器以外の疾患が答えになる場合もありますし,
「鑑別!1st impression」でのトレーニングがいきてくるでしょう.
そして何より重要なのは,
ヒントを見ながら診断名を考えるという思考を一気にできる!
ということです.
その数,およそ320例も記載しています.
実はこういった本は,なかなか今までなかったのです.
CBTにせよ国試にせよ,1-2時間で行う臨床問題対策としては
かなり効率がいいのではないでしょうか.
もう1問,CBTで出題された「胸痛」問題を見てみましょう.
28歳女性.5日前に帝王切開を行った.
術後に,突然胸痛と血痰が出現した.
診断として最も考えられるものはどれか.
a 肺動静脈瘻
b 肺塞栓症
c 肺線維症
d 気胸
e 肺膿瘍
こういった問題はCBTでも国試でも,たくさん出題されます.
答えはもちろん b)肺塞栓症.
(impressionの肺塞栓症の紙面画像はコチラ↓)
https://informa.medilink-study.com/wordpress/wp-content/uploads/old/bf73deaef56ba7a6124247d1e7b1a
d211.jpg
同じような問題は国試で出ています.
「鑑別!1st impression」は,
各疾患の特徴を極限までミニマムにしたまとめ集.
「鑑別!1st impression」では,
主要症候別に,疾患が約320例そろっています.
(症候別なので,1つの疾患が複数の章に登場する場合もあります).
CBTや医師国試の直前チェックにも有用ですね.
「Don’t miss it」「common」の2つの軸で
鑑別疾患をする本は結構あるのですが,
「鑑別!1st impression」は,
「Don’t miss it」を赤字と黒字でさらに二つに分けています.
(紙面画像はコチラ↓)
https://informa.medilink-study.com/wordpress/wp-content/uploads/old/f264c233083440e669ad414274a51
8f3.jpg
赤字の「Don’t miss it」疾患は,
ERでも総合診療でも直ちに置が必要となる緊急度が高い疾患です.
黒字の「Don’t miss it」は,
総合診療的に見逃せない重大な疾患だが,
緊急度は赤字の疾患に比べれば低い疾患です.
臨床的で分かりやすい,オリジナルの分け方です.
ぜひご覧になって体感してみてくださいね.
◆次回予告◆
次回は,医師国試の問題を,
「鑑別!1st impression」で見てみたいと思います.
(編集部K子)