〔分析〕データでみる108回国試(その2)選択肢の形式は?
こんにちは!編集部のA.Mです.
「データでみる国試」第2回の今回は,
「選択肢の形式」についてお話ししたいと思います.
■選択肢の形式
国試で最も多いのはA形式と呼ばれる五肢択一ですが,
101回からはX2形式と呼ばれる“2つ選べ”問題,
103回からはX3形式と呼ばれる“3つ選べ”問題や
“6肢以上の選択肢から選ぶ”多肢選択問題,“数値を組み合わせて解答する”計算問題も出題されています.
ここで,108回国家試験の出題形式の内訳をみてみましょう.
X形式はA形式や多肢選択の問題(つまり正解を1つだけ選ぶ問題)よりも正答率が低くなっていますね.
これはどうしてなのか,108回の問題をみながら考えていきましょう.
◆A形式◆
【108A1】
先天性風疹症候群でみられないのはどれか.
a 大頭症
b 白内障
c 感音難聴
d 胎児発育不全
e 動脈管開存症
108回国試の初っ端の問題です.
先天性風疹症候群では小頭症となるので,みられないのはaの大頭症ですね.
解答を1つ選ぶ最もスタンダードな問題であり,正答率も98.1%と高いです.
◆X2形式◆
【108A19】
Parkinson病の治療に用いられるのはどれか.2つ選べ.
a ドパミン
b ドパミン受容体遮断薬
c ドパ脱炭酸酵素阻害薬
d アセチルコリン分解酵素阻害薬
e モノアミンオキシダーゼB阻害薬
こちら,答えはcとeですが,正答率は54.4%でした.
eのモノアミンオキシダーゼB阻害薬は選べても,
cのドパ脱炭酸酵素阻害薬は自信をもって選ぶことができず,
aのドパミンを選んでしまう人が多かったようです.
このようにX2形式の問題では,
「1つだけならすぐに選べるのに,もう1つがわからない!」
という悔しい思いをすることが多いようです.
◆X3形式◆
【108D19】
神経性食思不振症について正しいのはどれか.3つ選べ.
a 強迫行為を示すものが多い.
b 安静時にも頻脈であることが多い.
c 過食・嘔吐を伴うものは含まない.
d 抑うつの合併が高率に認められる.
e 我が国では10年以内に約10%の患者が死亡する.
正解はade,正答率は50.9%でした.
X3形式は裏を返せば「誤っているものを2つ選べ」,ということなのですが,
108回では平均正答率が最も低かったです.
■X2,X3形式問題への対策
1つだけなら正解選択肢を選べるのに,もう1つの正解がわからないから
この問題は点数を落とすかもしれない!
そんなプレッシャーは意外と大きいと思います.
このプレッシャーに打ち勝つためには,
1つ1つの選択肢が正解か不正解か,きちんと考えられることが重要です.
『QB』を解くだけでは1つ1つの選択肢をゆっくり吟味することは難しいこともあります.
そこで活用していただきたいのが1問1答形式の『データマニュアル』です.
『QB』でうろ覚えだった部分の再確認に使ってみてください.
◆多肢選択◆
【108G40】
全身倦怠感,発熱および咳嗽を主訴に来院した成人男性の胸部の写真と口腔内の写真とを示す.
この疾患での症状の出現順で正しいのはどれか.
a カタル症状→全身の発疹→口腔粘膜疹
b カタル症状→口腔粘膜疹→全身の発疹
c 全身の発疹→カタル症状→口腔粘膜疹
d 全身の発疹→口腔粘膜疹→カタル症状
e 口腔粘膜疹→全身の発疹→カタル症状
f 口腔粘膜疹→カタル症状→全身の発疹
麻疹の症状出現時期を問う問題ですね.
正解はb カタル症状→口腔粘膜疹(Koplik斑)→全身の発疹の順で,正答率は84.6%でした.
このように選択肢の都合上,6肢以上になっている場合が多く,
特に難しい問題というわけでもありません.
全くわからないから勘で選ぶ!という場合の正解確率は下がりますね.
ちなみにこの麻疹ですが,最近流行しているというニュースを耳にする方も多いのではないでしょうか.
来年の国試で注目される疾患の1つかもしれませんね!
◆計算問題◆
【108 B62】
慢性腎臓病の食事・生活指導のため,1日蓄尿検査を行った.尿量2,000ml,尿中Na 128mEq/l,尿蛋白70mg/dl,尿クレアチニン50mg/dlであった.
1日塩分排泄量から1日食塩摂取量を求めよ.
ただし,NaCl 1gはNa 17mEqに相当する.
また,小数点以下の数値が得られた場合には,小数点以下第1位を四捨五入すること.
解答:①②g
① ②
0 0
1 1
2 2
3 3
4 4
5 5
6 6
7 7
8 8
9 9
答えは15gです.
計算問題は毎年3問程度出ますが,
計算式を知らないと全く歯がたたずに悔しい思いをします.
そこで,計算問題は授業や実習で使った式をノートにまとめておいたり,
過去問に関連することは確認しておくといいと思います.
『レビューブック必修・禁忌』と『QB必修』には「国試に出る!重要公式」として
主な計算式を掲載しています.
こちらも参考にしてみてくださいね!
出題数は多くはないですが,研修医になってから使うことが多い知識なので,
覚えておいて損はない!
それでは今回はここまで.
次回は「不合格者の内訳」をみていきたいと思います.
お楽しみに!
(編集部A.M)