[5年生向け]国試からみる,臨床実習のポイント!(その1)OSCEで学んだことは実践で復習!
こんにちは,編集部A.Mです.
ゴールデンウィークも終わり,
5年生のみなさんは臨床実習にも段々と慣れてくる頃ではないでしょうか.
そこで今回から数回にわたって,国試と臨床実習の関係についてお話したいと思います.
第1回目のテーマは,「OSCEと国試の関係性」について.
■座学中心から臨床実習重視の国試へ■
国試対策といえば,過去問を解いて,教科書に書いてあることを端から端まで頭に詰め込んで,
ひたすら机の前で勉強!というイメージが強いですよね.
確かに,過去問を解くことも,教科書を読んで足りない知識を補うことも重要です.
ただし,近年増えてきているのは臨床実習を重視した問題.
OSCEレベルから,研修医レベルまで,様々な問題が出題されます.
今回は「OSCEレベル」の問題に焦点を絞ってお話したいと思います.
OSCEはみなさんもご存知の通り,臨床実習(ポリクリ,クリクラなんて呼ばれていますね)が
始まる前に行われる実技型の試験のことです.
実習前だけでなく,実習が終わった6年時や,学校によっては実習の合間に行うところもあります.
「OSCEレベル」の問題では,診察などの基礎的なことを問われており,
必修問題で出題されやすいです.
比較的に正答率は高くなりそうですよね.
しかし,受験生を悩ませる問題も出題されました.
108回ではどんなことが問われたのか,実際に問題をみてみましょう.
【108C6】
聴診法による血圧測定について正しいのはどれか.
a マンシェットの中に聴診器のチェストピース全体を差し込んで測定する.
b 上腕動脈の上に聴診器を置き,血管雑音を確認してから加圧を開始する.
c 70mmHgまで速やかに加圧し,その後10mmHgずつ加圧しながら測定する.
d Korotkoff音の第1点が確認できない時は,一度完全に減圧してから再度測定する.
e 減圧を進めてKorotkoff音が消失したら,すぐにバルブを全開にして急速に減圧する.
血圧測定はOSCEを受ける前に必ず練習しているはず!
そのときのことを思い出してみてくださいね.
正解は「d Korotkoff音の第1点が確認できない時は,一度完全に減圧してから再度測定する.」です.
正答率は,なんと48.7%!
必修問題ということを考えると相当低い正答率です.
では次の問題.
【108H13】
肢位の写真を次に示す.
異常所見を見出すためにこの肢位が最も適しているのはどれか.
a 肝性脳症
b ラクナ梗塞
c Parkinson病
d 甲状腺機能亢進症
e 良性発作性頭位眩暈症
羽ばたき振戦をみるための診察法のため,正解は「a 肝性脳症」になります.
こちらもOSCEを受ける前に練習していたはず.
振戦がみられる疾患ごとに,診察時に患者さんに指示する姿勢は異なりますね.
正答率は86.8%と比較的高いですが,90%には届いていません.
実習が終わったあと,座学としては「羽ばたき振戦=肝性脳症」と覚えてはいても,
実際にどんな姿勢をとってもらうのか,忘れてしまった人もいたのかもしれません.
これらの問題で問われるのは,OSCEのためだけに診察手技を覚えていたのではなく,
その後の臨床実習で繰り返し実践していたか,ということです.
「OSCE前の練習でお作法だけ習ったけど,
結局実習では1回もやらなかったし忘れちゃったなー・・・」
「診察のやり方は知ってるけど,なんの意味があってやってるのかわからない~」
では,せっかく1年以上もかけて行う実習がムダになってしまいます.
臨床実習はとても貴重な時間です.
担当になった患者さんの診察を通して,OSCEの内容を何度も復習しましょう.
その際に,患者さんに「なんのための診察か」を説明しながら行うことができるといいですね.
患者さんへの配慮は絶対に忘れずに!
OSCEはただの試験ではなく,その先の臨床実習,国試,研修医生活に繋がることを意識して,
覚えたことは必ず繰り返し実践してみましょう!
とはいうものの・・・実習が終わってから国試本番を迎えるまでに時間があると,
どうしても記憶が薄れるため不安になります.
OSCEレベルの問題に対して国試直前期にどのような対策をしたのか,
108回国試受験直後の学生さんに聞いてみました.
1.レビューブック必修・禁忌の「診察と手技」の章を見直す.
2.診察と手技がみえるvol.1・2で国試に出題されそうな部分に絞って見直す.
参考にしてみてくださいね.
これで第1回は終わります.
次回もお楽しみに!
(編集部A.M)