[5年生向け]国試からみる,臨床実習のポイント!(その2)実習で経験したことは出題される!Part.1
こんにちは,編集部のA.Mです.
「臨床実習のポイント!」シリーズ,2回目の今回は,
「実習で経験することを問われた問題」をテーマにお話したいと思います.
■実習は見どころ満載!■
では早速ですが,問題です.
【108B21】
成人男性の背面を次に示す.
脊髄下端の位置に最も近いのはどれか.
a ①
b ②
c ③
d ④
e ⑤
正解は「a ①」で,正答率は57.0%と低くなりました.
この問題の出題者の意図,わかりますか?
解剖として単純に脊髄下端の位置を聞いているのではなく,
脊髄くも膜下麻酔などをする際の解剖学的指標である,
「ヤコビー線(左右の腸骨稜を結んだ線であり,L4に相当)」の重要性を
理解しているか問われた問題だと考えられます.
成人の脊髄下端はL1,あるいはL2上縁付近にあり,
脊髄くも膜下麻酔では,脊髄損傷を避けるために,下端よりも低い位置で穿刺を行います.
ヤコビー線(L4)は穿刺部位の目安になりますね.
このことをきちんと理解していれば,ヤコビー線よりも上にある①が正解だとわかります.
麻酔科などを回っている際に,絶対に1度は見るはずの脊髄くも膜下麻酔.
先生にも,「穿刺部位をどうやって決めるかわかる?」と質問されるのではないでしょうか.
研修医になれば,自分で穿刺を行うこともあります.
絶対に知っていなければならない基本的知識ですね.
同じく麻酔科からの出題ですが,
【108B28】では「全身麻酔導入時の経口気管挿管を行うのに最も適した体位」が問われました.
気管挿管での頭位は「嗅ぐ姿勢(sniffing position)」であることを知っていれば解ける問題です.
研修医はもちろんのこと,気管挿管は学生の間に経験すると思います.
実習中に見たこと,経験したこと,そして研修医にとって常識であることは
国試で問われる可能性があることを意識して,実習に臨んでくださいね.
では最後の問題です.
【108G21】
集中治療室で撮影されたポータブル胸部X線写真を次に示す.
認められるのはどれか.
a 右側に気胸がある.
b 胃管の留置位置が深い.
c 左下葉に無気肺がある.
d 気管チューブの留置位置が深い.
e 中心静脈カテーテルの留置位置が深い.
正解は「d 気管チューブの留置位置が深い.」でした.
人工物の挿管・留置後は,位置の確認を行わなければなりません.
ポータブルX線を用いた撮影は,ICUや手術室などでよく見かける光景です.
X線撮影は,放射線防護に気をつけるとともに,
なぜ,わざわざ撮影を行ったのか,どんな写真を撮ったのか,
先生たちが確認しているポイントはなにか,といったことを確認して下さい.
今回はここまで.
次回も「実習で経験すること」をテーマにお届けしたいと思います.
お楽しみに!
(編集部A.M)