[6年生向け]○○から予想する109回国試第1回:ニュースから予想!【危険ドラッグ】
みなさん,こんにちは.
編集部のA.Mです.
夏休みをいかがお過ごしでしょうか.
社会人になると,長期休暇なんて夢のまた夢・・・
という現実が待っているので,学生生活最後の夏休み,
国試に向けての勉強やマッチングなどで忙しいとは思いますが,
満喫してくださいね!
さて,今回から夏休み企画として,
「○○から予想する109回国試」シリーズをお届けしたいと思います.
昨年,「医療ニュースから予想する国試」と題して,
話題となったニュースから,国試に出題されそうな情報をお届けしました.
(詳しくはコチラへ↓ 総集編でまとめてチェック!)
http://web-informa.com/kokushi/20130802-2/
今年は更にパワーアップして,医療ニュースに限定せず,
次の国試にはこんな問題が出るんじゃないか…と各方面から大胆予想しちゃいます!
第1回目の今回は,2014年上半期で話題となったニュースの中から,
【危険ドラッグ】をテーマにお話ししたいと思います.
第1回:ニュースから予想!【危険ドラッグ】
警察庁によると,危険ドラッグによる交通事故で摘発された人は,
2009~2011年まではゼロでしたが,
2012年には19人,2013年には40人と急増しました.
今年に入ってからも危険ドラッグによる交通事故の報道が立て続けにありました.
特に,6月に東京・池袋で起きた事故は,8人もの死傷者を出し,
みなさんの記憶にも新しいのではないでしょうか.
また,元神奈川県議や警官が所持の疑いで逮捕されるなど,大きな社会問題となっています.
さて,その「危険ドラッグ」の名称ですが,元々は「脱法ドラッグ」などと呼ばれ,
「脱法」という響きからその危険性を認識せずに,
特に若年層での安易な使用が指摘されてきました.
(麻薬や覚醒剤に比べ,危険ドラッグは使用者の年齢層が低いんです.)
そこで,「危険な薬物であるという意味合いの呼称を募集したい」,という考えのもと,
一般公募の中から決まったのが「危険ドラッグ」という名称.
この変更によって危険なものであることをどれくらい認識できるようになるのかはわかりませんが,
厚労省の調査ではすでに推計40万人が使用経験ありと答えており,
今後,危険ドラッグを使用して救急外来に運ばれてきた人に遭遇する可能性がないとも限りません.
それでは,「危険ドラッグ」が危険な理由はなんでしょうか.
そもそも危険ドラッグとは,麻薬や覚醒剤の化学構造を少しだけ変えた物質であり,
規制されるとまた化学構造を少し変えて売り出すことを繰り返しているものです.
(麻薬や覚醒剤は,「麻薬及び向精神薬取締法」および「覚せい剤取締法」で,
定められたものをいいます.)
麻薬や覚醒剤など,使用によってどんな症状が出現するのかわかっているものに対し,
未知の成分が含まれているため,どれだけ危険で,どのような症状が現れるかは,
危険ドラッグを製造している人にもわかりません.
実際に,使用によって横紋筋融解症から多臓器不全を起こして死亡した例などもあります.
また,中毒症状を起こして病院に運ばれてきても,症状の多様性から原因がわからず,
処置が遅れる可能性もあります.
「危険ドラッグを使用しました」と,自己申告してくる人はほとんどいないと考え,
問診や症状などで不審なことを感じたら,もしかして・・・と疑い,
症状に応じて対症療法を行っていく必要性がありますね.
では,このニュースから国試問題を予想していきましょう.
危険ドラッグそのものが国試に出題されることはまずないと思います.
(原因不明のある症状から,その対症療法を選べ,
という危険ドラッグを匂わせる出題はあるかもしれません.)
しかし,麻薬や覚醒剤,あるいはそれ以外の薬などに関しても,
使用による中毒症状,副作用とそれに対する治療法がわかるものに関しては,
きちんと理解していないといけません.
そこで,予想問題です!
【問題】
次の患者への治療法で正しいものはどれか.
a モルヒネの慢性中毒・・・ナロキソン投与
b ジアゼパム中毒・・・腎透析
c アセトアミノフェンによる肝障害・・・N-アセチルシステイン投与
d 急性アルコール中毒・・・胃洗浄
e パラコート中毒・・・酸素投与
【解答】
正解は,「c アセトアミノフェンによる肝障害・・・N-アセチルシステイン投与」でした!
モルヒネにはナロキソンじゃないの?!と思った方もいるのではないでしょうか.
確かに,モルヒネなどのオピオイドに対して,急性中毒による呼吸抑制の解除には,
ナロキソンが拮抗薬として用いられます.
しかし,慢性中毒,つまり,麻薬依存者に対して使用すると,
離脱症状が生じやすくなるため使用しません.
ちょっと細かいポイントですが,覚えておいてくださいね.
これを機に,モルヒネの慢性中毒者や,他の選択肢の正しい対処法について,
ぜひ勉強してみてください!
★イヤーノート2015をチェック!:K-3~37
★QBオンラインで関連問題をチェック!:
http://qb-online.com/#/list/101H31
http://qb-online.com/#/list/108G18
(QBオンラインに登録している方は,ログインしていれば問題にとべます!)
また,医師という職業柄,麻薬や覚醒剤を扱う場面に遭遇することもあるはずです.
麻薬の保管方法や,廃棄方法を誤ると,大変なことになります.
(以前ニュースで取り上げられていました.)
「麻薬及び向精神薬取締法」および「覚せい剤取締法」に記載されている,
これらの取り扱い方法も正しく理解しておきましょう!
(こちらも出題の可能性あり!)
「○○から予想する109回国試」第1回目,いかがだったでしょうか.
みなさんも,こんな問題が109回国試で出そう!と予想していることがあれば,
ぜひ,(voice@medicmedia.com)までお送りください!
次回もお楽しみに!
(編集部A.M)