[6年生向け] 『イヤーノート』で直前対策★青字周辺の「黒字」を要チェック!(後編)

さて,昨日は『イヤーノート』の「黒字」(=国試で未出題)について,
特に以下の部分に注目して重要そうなポイントをチェックしましょう,
というお話をさせていただきました.

●頻出疾患やトピック的疾患の「黒字」
●検査・治療・対応に関わる「黒字」
●青字が集まっている付近の「黒字」

今日は,最近の例をいくつかあげながら,傾向をご紹介します.

◆例1:Parkinson病の治療薬◆

Parkinson病の治療薬といえばL-dopa
国試でも何度も問われていますね.
イヤーノートでも当然青字(しかも重要なので太字)です.

しかしここ数年で,問われる治療薬が増えてきました.
3年前の問題(106D53)ではエンタカポンが,
昨年(108A19)は「ドパ脱炭酸酵素阻害薬(DCI)」「MAO-B阻害薬」が問われました.

昨年の国家試験受験生が持っていた,最新の『イヤーノート(2014)』の
実際の誌面を見てみましょう.

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抗コリン薬アマンタジンエンタカポン青字の中,
MAO-B阻害薬はまだ黒字でした.
それが昨年ついに,国試で問われたのです.

こうした既出事項をおさえると同時に,未出題の薬もチェックしておきたいですね.
具体的には,ゾニサミド(L-dopa賦活薬).日本で開発された薬だけに,出やすそうです.

◆例2:強皮症腎クリーゼの治療薬◆

昨年の問題(108D47)です.
強皮症は膠原病の代表格.イヤーノートでも青字が多く,
皆さん基本の対策は十分だったと思いますが,
当時最新の『イヤーノート(2014)』の治療部分を見てみましょう.

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意外と青字がありませんね.過去問を解くだけでは触れられない領域になっています.
108回では,この部分から出題がありました.

108D47 61歳の男性.手のこわばりを主訴に来院した.4ヵ月前からRaynaud現象と手のこわばりとを自覚していた.意識は清明.体温37.3℃.脈拍72/分,整.血圧130/84mmHg.呼吸数16/分.SpO2 95%(room air).上肢と体幹に皮膚硬化を認める.心音に異常を認めない.呼吸音は両側の背下部にfine cracklesを聴取する.腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない.尿所見:蛋白1+,潜血(-),沈渣に硝子円柱1/数視野.血液所見:赤血球383万,Hb 12.0g/dl,Ht 35%,白血球9,200,血小板28万.血液生化学所見:総蛋白6.9g/dl,アルブミン3.5g/dl,IgG 1,686mg/dl(基準960~1,960),IgA 255mg/dl(基準110~410),IgM 70mg/dl(基準65~350),AST 20IU/l,ALT 12IU/l,LD 177IU/l(基準176~353),尿素窒素11.1mg/dl,クレアチニン0.9mg/dl,尿酸6.9mg/dl,血糖98mg/dl,Na 139mEq/l,K 3.9mEq/l,Cl 104mEq/l.免疫血清学所見:CRP 1.3mg/dl,抗核抗体1,280倍(基準値20以下),抗Scl-70抗体陽性.胸部CTで両側下葉に網状影を認める.皮膚硬化に対してプレドニゾロン30mg/日を投与した.1週後に血圧が180/100mmHgに上昇し,クレアチニン1.9mg/dl,尿酸9.0mg/dl,Na 138mEq/l,K 4.5mEq/l,Cl 106mEq/lとなった.

現時点での治療法として最も適切なのはどれか.
a 利尿薬の投与
b 免疫抑制薬の投与
c 尿酸排泄促進薬の投与
d 副腎皮質ステロイドの増量
e アンジオテンシン変換酵素〈ACE〉阻害薬の投与

★正解:e

正答率は71.3%(当社調べ)とやや低く,
知っているかどうか,が正誤を分けた問題でした.

◆例3:レビー小体型認知症の症状◆

2年前の問題(107A23)です.
レビー小体型認知症は,105回から連続して出題されていました.
当時最新の「イヤーノート2013」では,
認知機能の動揺」「抗精神病薬に対する過敏性」「SPECT検査」が
青字になっていました.

そして107A23では,その青字にはさまれるように書かれていた症状
「レム睡眠行動障害」が,新たに問われました.

107A23 78歳の男性.「誰もいないのに知らない人が部屋に見える」と訴え,来院した.妻によると,数年前から日中は眠そうでぼう然としていることがしばしばあり,徐々に物忘れが目立ってきたという.動作は緩慢で,小刻みに歩く.

この疾患でみられるのはどれか.
a 常同行動
b 滞続言語
c 言語蹉跌
d 全生活史健忘
e レム〈REM〉睡眠行動障害

★正解:e 

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近年重視されている疾患・近年出題されはじめた疾患では,
青字(既出事項)は少ないために,検査や治療だけでなく
病態や症状の黒字の知識も問われる可能性も高いです.

◆◆◆

直前期にキーワードを目に入れるだけでも,
それをしているのとしていないのとでは,試験結果は断然違ってくるはず.
「イヤーノート」の情報を膨大と考え不安に感じるのではなく,
必要に応じて「青字」「黒字」をさっと確認し,自信につなげてください!

皆さんの国試合格を心より願っています!

(編集部A)

 

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