〔分析〕データでみる109回国試(その6)
正答率が上がる,リベンジ問題!
こんにちは,編集部M.Tです.
「データでみる国試」も6回目となりました.
最終回の今回は,「リベンジ問題」をテーマにお届けします.
■「リベンジ問題」って?
さて,まずは「リベンジ問題」とはなにか,実際の問題をみてみましょう.
【109A14】
過去5年(平成20~24年)の自殺の動向で正しいのはどれか.
a 総数は増加し続けている.
b 40歳代女性の死因の第1位である.
c 男性の自殺数は女性の5倍を超える.
d 自殺率は40歳以降,年齢とともに単調に増加する.
e 判明した自殺者の動機で最も多いのは健康問題である.
正解はe「判明した自殺者の動機で最も多いのは健康問題である.」でした.
正答率は96.1%と高いのですが,
「受験生はなんで自殺に詳しいの?」と疑問に思いませんか?
実は【107E29】「我が国の自殺の現状」(正答率96.6%),
【106E12】「自殺による死亡者数の推移」(正答率93.7%)と,
自殺に関する問題は正答率がずっと高く推移しています.
その理由となる問題がこちら.
【104C1】
わが国の自殺について正しいのはどれか.
a 女性に多い.
b 独居者に多い.
c 手段としては縊頸が最も多い.
d 自殺率は九州地方が最も高い.
e 自殺者数は年間5万人を超えている.
それぞれの解答率は,
a 0.4%,b 44.3%,c 43.4%,d 0.1%,e 11.8%
となっており,正解はc「手段としては縊頸が最も多い.」です.
正答率も低く,必修問題として妥当ではないとされ,
採点除外となった問題です.
そこで105回では総論の範囲に移り,
【105B3】「最も多い自殺の動機」(正答率48.5%)が出題されました.
このように翌年以降に欠点が改善され再び出題されることがあります.
こういった問題は「リベンジ問題」と呼ばれ,
正答率は前年に比べ高くなり,落としづらい問題になります.
今年はそういった問題は少なかったのですが,
108回を例にすると,
【107I66】大腿骨近位部骨折を診断する問題(正答率45.5%)
→【108F22】大腿骨近位部骨折を疑わせて,股関節X線撮影を選ばせる問題(正答率78.3%)
【107G21】悪性リンパ腫のリンパ節の典型的所見(69.1%)
→【108H4】がんの転移によるリンパ節腫脹の特徴(99.0%)
などがありました.
リベンジ問題からいえることは,
前年度で正答率が低かったり,採点除外になったからといって,
次の年も捨て問になるとは限らないことです.
過去問で出たことは誰でも勉強してきますし,
第1回のメルマガでお話した「類似・プール問題」と同様に,
正答率が上昇するものが多いからです.
正答率が低かった,あるいは採点除外となったからこの問題の対策は必要ない!と投げるのではなく,
なぜ正答率が低かったのか,採点除外となったのか,
翌年以降に改めて出題されることはないか,見極めることが大事です.
過去問は近年3年分(できれば5年分)をしっかりと解きましょう.
本メルマガで紹介した問題の詳しい解説が読める
『109回医師国家試験問題解説』が4月29日(水)に発売されました.
110回国試に向けて,ぜひ手にとってみてくださいね!
それでは「データでみる109回国試」は以上になります.
これから国試を受験される皆さん,一緒に頑張っていきましょう!
お付き合いいただき,ありがとうございました!
(編集部M.T)