[6年生向け]○○から予想する110回国試 第5回:不適切問題から予想する,深部静脈血栓症
みなさん,こんにちは.
編集部のY.Fです.
今回,5回目となる
『◯◯から予想する110回国試』シリーズ
前回までの記事はこちら!
第1回:ニュースから予想する,今注目の感染症
https://informa.medilink-study.com/wordpress/web-informa/post9020.html
第2回:ポリクリから予想する,内視鏡検査の留意点
https://informa.medilink-study.com/wordpress/web-informa/post9026.html
第3回:注目疾患から予想する,IgG4関連疾患にはステロイドが有効!
https://informa.medilink-study.com/wordpress/web-informa/post9037.html
第4回:新ガイドラインから予想する,熱中症
https://informa.medilink-study.com/wordpress/web-informa/post9042.html
今回は,過去の国試の「不適切問題」から,110回の国試に出る問題を予想していきたいと思います.
■どうして不適切だった問題なんて着目するの?
「不適切問題」は翌年以降に欠点が改善され再び出題されることがあります.
こういった問題は「リベンジ問題」と呼ばれ,
正答率は前年に比べ高くなり,落としづらい問題になります.
過去の記事でリベンジ問題について解説されていますので,こちらもご参照ください:
https://informa.medilink-study.com/wordpress/web-informa/post8941.html
では,109回の不適切問題はどんな問題であったのかをみていきましょう.
【109C11】
妊娠中の深部静脈血栓症の発症に最も注意すべきなのはどれか.
a 妊娠悪阻
b 過期妊娠
c 妊娠糖尿病
d 羊水過少症
e 血液型不適合妊娠
それぞれの解答率は,
a 22.2%,b 35.3%,c 35.6%,d 0.6%,e 6.1%
で,正答のaは22.2%と低い数値になっています.
この問題で問われているのは「Virchowの3成因」です.
①血流停留:長期臥床,妊娠,長時間の座位,脱水
②血管内皮障害:手術,中心静脈カテーテル
③血液凝固能亢進:悪性腫瘍,炎症,膠原病,経口避妊薬
これらは血栓形成の重要な要因となります.
妊娠悪阻とは,つわりの症状が悪化し,食物の摂取が損なわれることによって栄養障害・体重減少・脱水などをおこし,治療が必要になった状態のことです.また,症状が重いと臥床時間が長くなります.
つまり,この問題は「Virchowの3成因」と「妊娠悪阻」の2つをしっかり理解していて、結びつけることができれば,解ける問題です.
ということで,この「不適切問題」を踏まえて,「予想問題」をどうぞ.
【予想問題】
妊娠中の深部静脈血栓症の発症に関して,最も関係のない選択肢はどれか.
a 妊娠悪阻
b 妊娠高血圧
c 帝王切開術
d 血液型不適合妊娠
e 多胎妊娠
答え d
他の選択肢の,血栓を作りやすくする要素をあげると,
a 脱水,安静臥床
b 血管内脱水,安静臥床
c 血管内皮損傷
e 安静臥床,血流うっ滞
などがあり,深部静脈血栓症のリスクがあると考えられます.
dの血液型不適合妊娠は胎児の貧血などを引き起こします.
では,今回はこのへんで.次回もお楽しみに.
それでは,また!
(編集部 Y.F)