[分析]データでみる111回国試(その2)医師国家試験の選択肢の形式は?

こんにちは!編集部のA.Mです.
先週からスタートいたしました
「データでみる111回国試」シリーズ.
2回目の今回は,
「医師国家試験の選択肢の形式は?」
というテーマでお届けします.

■ 選択肢の形式

国試で最も多いのはA形式と呼ばれる五肢択一ですが,
101回からはX2形式と呼ばれる“2つ選べ”問題,
103回からはX3形式と呼ばれる“3つ選べ”問題や
“6肢以上の選択肢から選ぶ”多肢選択問題
“数値を組み合わせて解答する”計算問題も出題されています.

ここで,111回国家試験の出題形式の内訳をみてみましょう.

この表からもわかるように,A形式が圧倒的に多く,
次いでX2形式が65問,X3形式が21問出題されています.
多肢選択,計算問題はそれぞれ2問,4問と,
出題の比率としてはごくわずかになります.

また,平均正答率については
A形式がX2形式,X3形式と比べると少し高い特徴はあれど,
どの形式もさほど大きな差はないというのが現状です.

それでは,それぞれの問題形式について,
111回国試の実際の問題を通してみていきましょう.

◆A形式◆
【111A1】
両側乳房の疼痛を主訴とする乳腺疾患で最も頻度が高いのはどれか.
a 乳癌
b 乳腺症
c 線維腺腫
d 葉状腫瘍
e 乳管内乳頭腫

111回国試一発目,乳腺疾患についての問題です.
よく国試で出題される乳腺疾患の症状を理解できているかがポイントですね.
この場合bの「乳腺症」が正解になります(正答率95.6%).
乳腺症では両側に疼痛が出現しやすいことが特徴でした.

このように答えを1つ選ぶ最もスタンダードなものを「A形式」といいます.
医師国試のほとんどを占めており,
必修問題においては全てがこの形式となります.

◆X2,3形式◆
【111I34】
低血糖をきたすのはどれか.2つ選べ.
a 大量の飲酒
b 乳糖不耐症
c 胃全摘術後
d インターフェロン投与
e 非ステロイド性抗炎症薬〈NSAIDs〉投与

今度は低血糖の問題です.
答えはa,cで,正答率は34.1%でした.
選択肢cは78.9%の受験生が選べたのですが,
a,bを選択した受験生がそれぞれ52.2%,57.2%と,もうひとつの選択肢を
選ぶことが難しかったようです.

aはアルコールの代謝に肝臓が利用されるために糖新生がされにくくなることで,
cは食後にダンピング症候群が起きることで,それぞれ低血糖をきたします.
受験生の中には,「大量の飲酒」の「大量」という言葉から
aを選べた方もいるかもしれませんね.

このように答えを2つ選ぶ問題を「X2形式」といいますが,
X2形式の問題では,
1つだけならすぐに選べるのに,もう1つがわからない!
という悔しい思いをすることが多いようです.

X3形式はお察しの通り5択のうち3つを選ぶ形式です.
選ぶものが多い方が難しくなりそうですが、
X3形式は裏を返せば「誤っているものを2つ選べ」ということなので,
実質,X2形式と同じと考えてよいでしょう.

■X2,X3形式問題への対策
1つだけなら正解選択肢を選べるのに,もう1つの正解がわからないから
この問題は点数を落とすかもしれない!
そんなプレッシャーは意外と大きいと思います.
(実際毎年,X2,X3形式の方が正答率はやや低いです.)

このプレッシャーに打ち勝つためには,
1つ1つの選択肢が正解か不正解か,きちんと考えられることが重要です.

『QB』を解くだけでは1つ1つの選択肢を
ゆっくり吟味することは難しいこともあります.
そこで活用していただきたいのが1問1答形式の『データマニュアル』です.
https://informa.medilink-study.com/wordpress/book/post8635.html
『QB』でうろ覚えだった部分の再確認に使ってみてください.

また,『QBオンライン』をご利用の方は,
『データマニュアル』のオンライン版,『クイックチェック(QC)』が便利です!
ぜひご活用ください!

◆多肢選択◆
【111E39】
A地区とB地区の生命表を基に作成した生命曲線を示す.

正しいのはどれか.

このように「乳児死亡率が高い/低い」,「平均寿命が長い/短い」,「70歳平均余命が長い/短い」
といった組み合わせの都合上,6つ以上の選択肢を並べて出題するケースが多いようです.
本問ではcが正解となります(正答率77.7%).
実質A形式と同様のものですが,勘で選ぶ場合の正解確率は下がりますね.

しかし,組み合わせの都合のみで多肢問題となっている場合,
判断すべきポイントはむしろ5つより少ないこともあるはずです(本設問であれば,3つ).
選択肢の数に惑わされることなく,落ち着いて解答することを心掛けましょう.

◆計算問題◆
【111B62】
体重65kgの心不全患者にドパミンを5μg/kg/分で静脈内投与する.
ドパミン100mg/100mLの注射薬を用いて投与する場合,微量輸液ポンプに設定する注入速度を求めよ.
ただし,小数第2位以下の数値が得られた場合は,小数第2位を四捨五入すること.
解答:①②.③mL/時間
(①②③それぞれに0~9までの数字を選んでマークする。)

注入速度の計算ということで,
単位に気を付けて計算すれば正答できるシンプルな問題でした.
(答えは19.5,正答率は82.1%.)

計算問題ではこのように実際に計算する必要が出てきます.
近年,計算自体は簡単なものが多いのですが,
与えられた検査データの中から必要なものを正しく選び出せるかどうか,
というところで詰まる受験生が多いように思われます

計算問題は授業や実習で使った式をノートにまとめ,
過去問に関連することは確認しておくのが重要になってきます.
また,『レビューブック必修・禁忌』と『QB必修』には
「国試に出る!重要公式」として主な計算式を掲載しています.
式の暗記と計算の練習に,こちらも参考にしてみてください!

また,もう1つの計算問題であった
111G69「人口寄与危険度割合の算出」は,正答率12.4%の問題でした.
公衆衛生分野に関しての計算問題は今まであまり出題されておらず,
言葉の定義をしっかりと覚えていなかった受験生が多かったようです.
これを機に,各指標の意味合いだけではなく,
その定義や計算式まで覚ええていくようにしましょう.

それでは今回はここまでです.
次回は「不合格者の内訳」についてです.
お楽しみに!

(編集部A.M)

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