[5年生向け]国試からみる,臨床実習のポイント!(その4)イメージしにくい用語や症例

こんにちは,編集部のA.Mです.
今週もお届けします,「国試からみる,臨床実習のポイント!」
第4回の今日は「イメージしにくい用語や症例」についてお送りします.

■ 実習を通してイメージをつかめ!

実習中,回っている科の過去問を解くといいよ
こんなことを先輩から言われたことはありませんか?
それはなぜでしょう.

過去問演習でわからなかった用語などを調べたくて教科書をめくった際,
難解な言葉で説明されていてイメージが全然つかめず
理解できないということがときどきあると思います.
こんなとき,イメージをつかむためには実習がとても役立ちます.
見たことない,経験したことがないからわからないことでも,
実習で一度でも見聞きすればすぐに理解できることもあるはずです.

それを実感できる問題を111回から1問紹介します.

【111D39】
22歳の男性.まとまらない言動を主訴に家族に連れられて来院した.2ヵ月前に大学卒業後就職して普通に働いていたが,1ヵ月前から突然,言動がまとまらなくなった.「何か大変なことが起こりそうな不気味な感じがあり,不安で落ち着かない」「命令する声が聴こえ,誰かに操られている」などと言うようになり自宅で療養していた.診察には素直に応じるが「自分は病気ではない」と言う.身体所見に異常を認めない.
まず導入すべきなのはどれか.
a 心理教育
b 行動療法
c 芸術療法
d 催眠療法
e 自律訓練法

精神科の臨床問題を1問紹介しました.
疾患としては統合失調症であることはわかりますね.
各選択肢の解答率は,
a 32.8%,b 50.8%,c 4.0%,d 1.2%,e 11.3%でした.
みなさんはどれを選ぶでしょうか.

答えはa「心理教育」です.
心理教育とは,病識の欠如した患者に対してまず行う,
いわゆる疾病教育のことです.

では,選択肢の中で最も選ばれたb「行動療法」とはなんでしょうか.
行動療法は,現在は認知療法とあわせて
「認知・行動療法」として行われることが多いです.
この認知・行動療法,名前は聞いたことがあっても内容は詳しく知らない,
そんな人が多いのではないでしょうか.

認知・行動療法とは,簡単にいうと認知の歪みを自覚し,
行動を直していこう,というものです.
うつ病や不安症に用いられます.
一方,統合失調症で生じるのは認知の歪みではなく,妄想・幻覚です.
統合失調症の患者さんにとっては妄想が真実です.
精神科の救急外来で「自分は病気じゃない!」と叫んでいる
急性期の患者さんに認知・行動療法をやるでしょうか.
実習でそんな場面に遭遇した人ならば,
行わないであろうことは簡単に想像がつくと思います.

症状,所見,検査から治療まで,
実習中はイメージがつかめずあやふやだったものをちゃんと確認できるチャンスです!
それを逃さないためにも,
実習で回っている科の過去問は解くようにしてみましょう!

今日はここまでです.
次回は「実習と画像問題」をお送りします.
それではまた来週.

(編集部A.M)

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