[Dr. Yの研修医日記] 感染標準予防策

今月は救急を回っています.
内科とはまた雰囲気が違っていて,気分一新で研修中です. 

【9月×日】

救急外来の当番中,40歳代男性が救急搬送されてきました.
来院時は暴れっぷりがものすごくて,明らかな“不隠状態”でした.

若い患者さんが異常な精神状態にあるときは,
国家試験的に考えても,まず疑うのは“髄膜炎”です.

私たちもまず髄膜炎を疑い,抗菌薬を投与してから(←これが大事!)
頭部CTや髄液検査を行いましたが,その間も患者さんは大暴れ….
採血中に返り血を浴びせられたりしていました.

あわただしい中で,やっとのことで患者さんの家族に連絡をとり,
話を聞いていたところ,実はこの患者さんが免疫不全症候群(AIDS)で
内服加療中だったということが判明しました.

手袋をせずに患者さんに接触していたスタッフは,
みんな「えーー!!!」と衝撃を受け,しばらく立ち直ることができず….

うっかり患者さんの血液を触ってしまった人もいて,
感染率は低いとはいえ,手をよくよく洗っていました.

この患者さんは見た目には健康そうでしたが,
それでもどんな病気を抱えているか,分からないものです.

これを読んでいるみなさんも,実習で患者さんに接触するときには
必ず!感染の標準予防策は忘れないでくださいね!

 
【9月×日】

国試で“血球貪食症候群”というと,私にとっては
マクロファージが血球を食べている病理像が載っていて,
“血球貪食症候群”という診断名が選択できればまあOKかな,
というくらいの「点取り疾患」でした.

しかし,臨床で血球貪食症候群に遭遇したときは,
疾患の重症度によっては生死に関わる,とても大事な疾患です.

私がこのとき体験した血球貪食症候群の患者さんは,
最初は単なる感冒様症状で耳鼻科にかかっていたんですが,

あっという間にICU管理になり,
尿が出なくなり,
透析でも助けられず,
1週間ほどで亡くなってしまいました.

マクロファージがどんどん血球を食べてしまうために
汎血球減少が進み,多臓器不全によって死に至ったのです.

国試の「点取り問題」としか思っていなかった疾患が
生死を左右する状況を目の当たりにして,衝撃を受けた症例でした.

 
(研修医 Y)

【関連記事】
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