[分析]データでみる104回国試(その2) 問題編
「データでみる国試」,2回目は,
出題された問題を実際に見てみましょう.
◆ 新形式の問題 ◆
103回国試から出題されるようになった「新形式」.
104回では何問出たのでしょうか.
● 6肢以上の選択肢から選ぶ問題 7問(103回は10問)
● 計算問題 1問(103回は2問)
普通の問題は5肢択一なのですが,
これが6肢~10肢になったのが,いわゆる“多選択肢”問題です.
例えばこんな問題.
I78
長期間の摂取によって,求心性視野狭窄,難聴,構音障害,小脳性運動失調,
錐体外路徴候および四肢遠位部の感覚障害をきたすのはどれか.a 塩酸第2鉄 b 硫酸銅 c マンガン d タリウム e 有機水銀
f メタノール g エタノール h 有機リン i トルエン
正解は…
「e 有機水銀」ですね.
有機水銀化合物による中毒では,問題文のような症状をきたします.
これらの症状を“Hunter-Russell症候群”といいます.
どれも国試頻出なので,まとめて覚えておきましょう.
(『イヤーノート2010』 K-28)
I80
2歳の女児.4日前から続く発熱,下痢および血便を主訴に来院した.前日から尿回数が減少しており,今朝から排尿を認めない.意識は清明.顔色は不良で活気がない.眼瞼結膜に貧血を認める.眼球結膜に軽度の黄染を認める.眼瞼と下腿前面とに浮腫を認める.顔面と前胸部とに出血斑を認める.呼吸音に異常を認めない.腹部はやや膨隆し全体に圧痛を認める.腸雑音は減弱している.右肋骨弓下に肝を1cm触知する.脾を触知しない.
この患児の血液検査所見として考えにくいのはどれか.a 血小板 2.5万
b 尿素窒素 37mg/dl
c 総蛋白 4.0g/dl
d 総ビリルビン 3.6mg/dl
e Hb 6.8g/dl
f AST 356IU/l
g クレアチニン 2.1mg/dl
h LD 4,033IU/l(基準334~742)
i ハプトグロビン 246mg/dl(基準38~179)
ただ選択肢が増えただけでなく,
症状を読み取って検査所見をひとつひとつチェックしていくという,
臨床の現場に即した良問ではないでしょうか.
まず,溶血性尿毒症症候群(HUS)と診断して,
溶血が起こっているはずだから,a~hまでは症状に合っている.
「i ハプトグロビン」は下がるはずなのに,上がっているので,
正解は「i」ということになります.
ちなみに,103回で「出るかも」と言われて出なかった
「正解肢数を指定しない問題」(正しいのをすべて選べ問題)は,
104回も結局出ませんでした.
解くのも作るのも難しいんでしょうね…
◆ 医学英語問題 ◆
こちらも103回国試から出題されはじめた「医学英語問題」.
104回ではこんな問題が出ました.(2題とも必修)
F3
一般用語と専門用語の組合せで誤っているのはどれか.
a backbone・・・・・・・・spine
b belly・・・・・・・・・・abdomen
c chickenpox・・・・・・・・varicella
d forehead・・・・・・・・・・cranium
e sleeplessness・・・・・・insomniaH2
高齢者の基本的なADLの評価項目として誤っているのはどれか.
a bathing b dressing c driving d eating e toileting
F3は「d」の組合せが間違い.
「cranium」は“頭蓋”なので,一般英語に直すと「skull」でしょうか.
「採点サービス」現時点でのデータでは,
「b」を選んだ人が26.8%,「c」24.7%,「d」34.6%で,
非常に割れてしまいました.難しいですよね…
H2は「c driving」が正解.これは同じく「採点サービス」では
正答率99.7%でした.
ADL(日常生活動作)は「移動・排泄・入浴・食事・着衣など,
自立した生活を営むために必要な身体動作」でしたね.
ちなみに「driving」は,ADLを拡大したIADL(集団的日常生活動作)
に含まれる,ともいえます.
(『サブノート2010』 p.244を参照)
それから,“医学”英語とはちょっと違うかもしれませんが,
必修ではない各論で,こんな問題が出ました.
B3
WHO〈世界保健機関〉憲章前文に述べられている「健康」を定義する文章を示す.“Health is a state of complete( ),( )and( )well-being and not merely the absence of disease or infirmity.”
( )内に入る言葉はどれか.3つ選べ.
a physical b ecological c mental d social e economical
WHOの健康の定義,みなさん言えますよね?
「健康とは,身体的,精神的,社会的に完全に良好な状態である」
これは102B1でも日本語で問われました.
ということで正解は「a physical」「c mental」「d social」(正答率99.1%)
実はコレ,『クエスチョン・バンク必修問題』の予想問題にあったんです!
“Part 3”の371ページを開いてみてください.
正解数の設定は違いますが,同じ形式で作られています.当てました.
英語問題を落としてヒヤヒヤするのはもったいないですから,
『QB必修』の予想問題くらいは解いておきましょう.
“Part 3”には医学英単語帳「Doc-tan」も付いてますしね!
[関連記事] 『QB必修』で合格基準突破へ
http://web-informa.com/books/20090828/
次回をお楽しみに♪
(編集部 K)