[6年生向け]104回国試 不合格原因大分析! その2

◆不合格者の60%は必修で落ちている!
そのうち65%は必修だけが原因で落ちている!

前回は,医師国試の直前対策には5つのポイントがあるというお話をしました.
http://web-informa.com/benkyo/20101005/
今回は,その中の最重要課題,必修問題編です!

まず,メディックメディアが予備校MECと提携して行っている国試採点サービス
通称「TAKE OFF」の104回データをみてみることにします.
(ちなみに正答率業界No.1ですよ!)

104回は,全受験者8,447人中4,616人が登録
このうち合格者は4,382人,不合格者は234人でした.

データ分析と受験生の声を徹底重視するメディックメディア.
私たちは,当然この不合格者234人の落ちた原因を分析しました.
禁忌肢選択数は禁忌肢として採点された問題が発表されないため,
分析したのは必修,一般,臨床の3基準です.
 
さて,この3基準のうち,
どの基準が一番受験生にとって厳しかったのでしょう….

104回国試の不合格原因の分布をベン図に示すとこうなります.どん!

必修が80%未満で不合格となった人が一番多いですね.
もう少しよく見てみましょう.
「必修のみで不合格」の人数に注目してください.85人.
 
つまり,必修が80%未満だった人(必修で落ちた人の総計)のうち,
約6割(56.4%)は,
一般・臨床は合格レベルに達していて,
必修だけがクリアできなかったために不合格となっているんです.

つまり,医師国試において最大の不合格原因は,必修.

ということは,
「落ちない」ようにするには,必修対策がこそが最も重要!
ということになりますよね.

 
◆必修は「ギリギリで合格」「あと一歩で不合格」が多い!

ところで,国試受験者の平均レベルってどのくらいでしょう?

大まかな目安でいえば,一般と臨床は得点率が75%前後くらいです.
104回でいえばボーダーラインよりも13~14%分高い得点率になります.

これに比べて必修は平均得点率は86%
合格ラインより6%分高いだけなのです.

細かくなりすぎるので,ここでは詳しく紹介しませんが,
得点率分布を示すグラフでも,必修は,一般や臨床に比べ,
合格基準より少し高い位置に多くの受験生が分布しているのが分かります.

必修問題は,必修一般が1問1点(50問),
必修臨床が1問3点(50問)で計算され,
その合計200点満点での80%突破が絶対基準となりますが,

あと1問間違えたら不合格というようなスレスレで合格した人,
逆にあと1問分取れなかったばかりに不合格となった人が,
一般や臨床に比べてとても多かったわけです!

 
◆救済策がなければ膨大な人数が必修で落ちていた!

まず,下の表のうち,最終結果である「必修救済後」(右側)をみてください. 
(救済前,救済後って,ちょっとわかりにくいですが,あとで解説しますのでまずは進んでください)
これは前のベン図の内容を示します.

では,左側の「必修救済前」は何を示すのか?
それを説明する前にまず,「必修除外」を説明しましょう.
じつはこれがなければ大変なことになっていたんです!!
(必修救済も必修除外も,私たちメディックメディアが勝手に付けた呼び方です)

「必修除外」とは,
「問題としては適切であるが,必修問題としては妥当でないため,正解した学生は採点するが,不正解だった学生については採点対象から除外する」
という厚生労働省の特殊な対応を指します.

実は104回では,
「必修除外」となった問題が6問(必修一般4問,必修臨床2問),
計10点分もありました.

例えばこの「必修除外」扱いになった問題を全問正解していた人は,
200点満点で80%を超えたかどうかが判定されますが,
「必修除外」となった問題のうち,必修一般1問(1点),必修臨床2問(6点),
合計7点分が不正解だった人の場合,
200点満点ではなく193点満点で80%基準を超えるかどうか
判定されるということになったのです.

よって,この対応によって,
本来必修で不合格となるはずだった人(「不合格レベル」の人)のなかから,
一定数の受験生が救済されることになったのです!
これが「必修救済」です.

ここで,先ほどの表の左側にある「必修救済前」をみてみましょう.

採点サービスに登録した学生の方々のうち,
必修救済前に「不合格レベル」だった人数は,478人.
このうち必修80%未満だった人(必修で「不合格レベル」になった人)は
412人にものぼります.

つまり,「必修80%未満」が「不合格レベル」に占める割合は,
この段階ではなんと86.2%にも上るのです.

さらにこの中で「必修だけで落ちた人」は329人でした.
これは必修80%未満の人のなかの,
さらに80%は必修だけがダメで「不合格レベル」になっていた,
俗にいう「必修落ち」であったということを示します.

一般や臨床で不合格となった方を合わせた合計でみても,
必修だけが「不合格レベル」だった方は68.8%を占めています.
つまり,必修救済がなければ,
必修だけが基準を超えられなかった人が「不合格レベル」全体の約70%を占めていたんです.

では必修救済が行われた後,どのようにかわったのでしょう.
必修だけで落ちた人」は329人から85人にまで低下しました.
つまり「必修だけで落ちるはずだった人」のうち,244人,
75%もの方が救済されたことになります.

このため,478人いた「不合格レベル」の人は,
この244人が復活したために,234人になりました.
これが「採点サービス」に登録された方のなかで,実際に不合格になった人数です.

必修救済によって,必修が80%未満だった人の総計
(必修だけでなく一般や臨床も基準を下回った人を含む)は
412人から132人にまで低下しました.
よって「必修で不合格」が不合格に占める割合は86.2%から56.4%にまで低下しました.

救済された方,ほんとによかったですね!
でも逆にいうと,もし「必修救済」という後付けの救済策が取られなかったら,
必修のみで不合格になった人の数は約4倍になっていたということでもあるのです.

これって怖くないですか?

104回国試は,自己採点(救済前)では「不合格レベル」となり,
諦めかけていて,不安な1カ月を過ごしていたのだけれど,
救済によってギリギリでセーフで合格になった受験生が
とても多かったというわけですね.

これ自体は,救済された学生にとっては良いことです.
でも,重要なのは
自分が間違えた問題が「必修除外」になるとは限らないということなんです.
厚生労働省は,合格率がちょうどよいパーセンテージになるように,
除外する問題を選んでいるのです.

実際,私たちは,
自分たちからみれば悪問で必修除外になってもいような問題でも,
必修除外にならなかったということを何回も経験しています.

今後別の担当者が書きますが,必修問題は対策しにくい.
模試が良くても本番は点が取れないことなどザラです.
たまたま知らないことが出題されれば,誰しも間違えてしまうこともある.

実際,浪人になってメディックメディアのアルバイトに応募される方に
話を聞かせてもらていると,
「模試では必修の成績は悪くなく,まさか必修で落ちるなんて思わなかった」
という方が毎年何人もいらっしゃるんです.

それだけでなく,必修問題は,先に解説したように
合格者と不合格者の差が少ないために1~2問の正解数で合否が分かれたり,
「必修除外」のように厚労省のさじ加減で大きく合否が変わってしまう.
つまり必修問題は,受験生にとって,とても不安定な要素を含んだ課題なのです.

だからこそ「落ちないため」には,模試の成績に関係なく,
「受験生全員,必修対策は徹底し,1点でも多く点を取っておく」
これが正解なんだと思います.

できれば,調子が悪くても,知らない「常識」が問われても,
必修除外という不確定要素が加わっても,
それに左右されずに合格レベルを確保できる,そういう状態にしておきたい.
目標は「必修は最低でも90%確保」

「必修だけで不合格」が不合格原因の中で最も多い以上,
これを目指して勉強すれば,
不合格となる確率をかなり下げることができるのではないでしょうか.

必修対策は,臨床実習を含む普段からの勉強が一番重要ですが,
それでも『クエスチョン・バンク必修問題』が発売されるのが秋口なため(もう発売されてますよ!),やはり本格化するのは秋以降になります.
過去のアンケートをみても,多くの受験生は必修対策を行うのは冬.
ここからが必修シーズンなわけです.

じゃあ,実践編,すなわち具体的な必修対策の方法は何か?
ここでは,必修対策の重要性を説明するのに,ウェイトを置いたので,
実践編は下記に簡単に紹介するにとどめます.

ポイントは,
後半戦から直前までに『QB必修』で過去問と予想問題を一気に解いて
「必修脳」ともいうべき,必修問題を解くときのセンスを磨くこと.
そして,11月2日に発行される最終兵器,
『レビューブック必修・禁忌』で必修と禁忌肢対策を万全にしておくことです.
詳細は別の担当者が記事を書きますのでお楽しみにしておいてください.

◆必修対策の極意 受験生全員,万全の大勢で挑め!
その一 『QB必修』3冊の過去問+予想問題で「必修脳」をつくれ!
その二 新刊『レビューブック必修・禁忌』ヘビーローテートで全分野を叩きこめ!
その三 1問でも多く演習したい!模試の問題も総復習せよ!

では,次回は公衆衛生対策について触れますね.
長い文章を最後まで読んでくださってありがとうございました.

 
(編集部 M)

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