[分析]103回医師国試レポート(その2) 新形式
さて,少し時間が経ってしまいましたが,103回レポートの続きです.
1回目では新傾向の出題数など,基本的なデータを紹介しました.
きょうは“新形式”の問題がどんな出題のされ方をしたのか,
詳しくみていきましょう.
★ 新形式の出題数
● 6肢以上の選択肢から選ぶ問題 9問
● 正解肢数を指定しない問題 0問
● 計算問題 2問
結局いちばん難しいと言われた「正解肢数を指定しない問題」は
出題されなかったんでしたね.
では「6肢以上の選択肢」は,どんな問題が出たのでしょう?
【A58】
在胎30週0日.帝王切開で出生の新生児.出生後1分の自発呼吸は不規則で,心拍数92/分,整.鼻腔内吸引で顔をしかめるが,咳,くしゃみなどは出現しない.四肢の動きは認められるが筋緊張は低い.全身にチアノーゼを認める.
出生後1分のApgarスコアはどれか.
a 0点 b 1点 c 2点 d 3点 e 4点
f 5点 g 6点 h 7点 i 8点 j 9点
Apgarスコア,なにも10択にしなくても…
な感じの問題ですが,数字が離れていないと,戸惑いますね.
心拍数1点,刺激反応1点,筋トーヌス1点,呼吸1点.
合計「4点」で正解はe.
正答率は86.5%.(2/24集計時点:以下同じ)
3点(6.8%)や5点(4.7%)を選んでしまった人もいたようです.
【A60】
再生不良性貧血を引き起こすのはどれか.
a アスベスト b カドミウム
c クロム d トリクロロエチレン
e トルエン f ノルマルヘキサン
g パラチオン h ベンゼン
i マンガン j メタノール
こういう問題は,正しい組合せをちゃんと知っていれば,
当て馬がいくつ増えようが難しくはないですね.
多くの人が「h ベンゼン」を選べていました.(正答率90.4%)
それに比べて面倒なのは,こんな問われ方の問題.
【D60】
髄膜瘤で誤っているのはどれか.
a 発生頻度は出生250に対して1である.
b 葉酸摂取量と関連がある.
c 母体血清中AFPが上昇する.
d 脳室拡大は出生前診断の糸口になる.
e 分娩は帝王切開が望ましい.
f 排尿・排便障害の合併頻度が高い.
g 出生後早期の手術が必要である.
選択肢どうしを比較してワン・ベストを選ぶ形式と比べ,
1つ1つの選択肢に○×をしっかりつけていかないと
自信を持って答えられない問題は,
選択肢が増えるほど,アタマが混乱してきます(>_<)
この問題,答えは「a」ですが,正答率は51.9%.
c(19.2%),d(10.4%),g(10.8%)を選んだ人も多く,
解答率は分散しました.
計算問題は次の2問でした.
みなさんもチャレンジしてみてください.
【B62】
呼吸機能検査の結果を示す.
肺活量2.85l,機能的残気量1.80l,吸気予備量2.13l,呼気予備量0.35l
全肺気量を求めよ.
解答:①.②③l
【G68】
血液生化学検査の結果を示す.
血糖320mg/dl,総蛋白5.5g/dl,アルブミン2.9g/dl,Na 128mEq/l,K 3.2mEq/l,Cl 101mEq/l,Ca 7.3mg/dl.
補正カルシウム濃度を求めよ.
解答:①.②mg/dl
(①②③それぞれに0~9までの数字を選んでマークします)
—–
さて正解は…
【B62】 4.30 l
【G68】 8.4 mg/dl
でした.全肺気量は難易度が高かったようです.(正答率50.5%)
——
次回は分野ごとの話をしていきたいと思います.
また来週!
(編集部 R)
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