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[分析]データでみる105回国試(その5) 新傾向問題編

今日は,データでみる国試(その1)でも少しだけ触れた,
新傾向問題をご紹介しようと思います.

(データでみる105回国試(その1) 基本情報編はこちら)
http://web-informa.com/kokushi/data/20110406-3/

◆6肢以上の選択肢から選ぶ問題◆

103回から出題されるようになった形式の問題です.

105回では11問出題されましたが,その正答率は,

80%以上   ⇒ 6問
70%~79%  ⇒ 3問
60%以下   ⇒ 2問

となっています.
選択肢が多い分難しそうに見えますが,
思ったより難易度は高くないですね.

*ちなみに…
正答率80%以上はだいたい誰でも反射的に解答できる問題で,
70%~80%は,国家試験対策をしていれば解答できる標準的な問題です.
国試は計算上,正答率70%以上の問題を正答できれば合格ラインに達します.

また,公衆衛生から2問(感染症統計B62,一般診療医療費統計G68)
出たことにも注目です.

では実際に問題を見てみましょう.

まずはブルーゾーン☆80%以上の問題.

I78 正答率98.4%
Cushing症候群でみられないのはどれか.
a 多毛  b 高血圧  c 低血糖
d 易感染性  e 骨粗鬆症  f 精神障害
g 中心性肥満 h 満月様顔貌

【解説】
答えは『c 低血糖』です.Cushing症候群では,
糖質コルチコイドの抗インスリン作用により,高血糖になります.

次は70%~79%のイエローゾーン.
これが解くことができるかどうかが,合否を分ける領域です.

I79 正答率79.3%
68歳の男性.進行する下腿の浮腫を主訴に来院した.
2ヵ月前から両側下腿の浮腫を自覚していたが,次第に増悪するため紹介されて受診した.
10年前から高血圧症で降圧薬を服用している.
6年前から関節リウマチで自宅近くの診療所にて薬物治療中である.
脈拍76/分,整.血圧138/86mmHg.尿所見:蛋白3+,糖(-),潜血(±).
血液生化学所見:総蛋白5.5g/dl,アルブミン2.6g/dl,総コレステロール368mg/dl,尿素窒素22mg/dl,クレアチニン1.1mg/dl,尿酸7.4mg/dl.
腎生検の蛍光抗体IgG染色標本を次に示す.

この腎病変をきたす原因として可能性が低いのはどれか.

a 金製剤  b 大腸癌  c B型肝炎
d 高血圧症    e 関節リウマチ
f 悪性リンパ腫  g D-ペニシラミン
h 全身性エリテマトーデス〈SLE〉

【解説】
糸球体係蹄に沿った顆粒状のIgG沈着から膜性腎症を考えます.

膜性腎症を来す可能性が低いものを考えると,答えは『d 高血圧症』です.
膜性腎症は成人のネフローゼ症候群の原因として頻度が高く,
2次性に発症することが多い糸球体腎炎としても知られているので,
チェックしておきましょう.

最後に,60% 以下のレッドゾーン.解けたら偉い!

I77 正答率54.5%
放射線治療中に静脈栄養・経管経腸栄養管理の必要性が最も低いのはどれか.
a 上咽頭癌  b 中咽頭癌  c 舌癌
d 歯肉癌   e 口腔底癌  f 下咽頭癌
g 声門癌   h 頸部食道癌

【解説】
答えは『g 声門癌』ですが,『a 上咽頭癌』を選んだ人が33.9%いました.
選択肢の中で,上咽頭は食物の通過に直接関係がないからだと思います.
(声門の背側には下咽頭があります.)

しかし,上咽頭癌は,高率に頸部リンパ節転移を起こすので,
照射範囲は上咽頭だけでなく,頸部リンパ節が含まれます.
そのため治療時には食道にも放射線があたり,炎症や浮腫を起こします.

声門癌の治療においても,嚥下困難を生じ得ますが,
軽度で一過性のものが多いそうです.

実際の経過を見る機会の少ない学生には,難問でした.

◆一般教養・医学英語◆

今年は,3問出題されました.

F15 正答率63.4%
疾患と診療分野の組合せで適切でないのはどれか.
a gall stone・・・・・・gastroenterology
b glaucoma・・・・・・・oncology
c renal stone・・・・・・urology
d stroke・・・・・・・・neurology
e thyroiditis・・・・・・endocrinology

【解説】
答えは『b(緑内障・・・腫瘍学)』です.
-omaには“○○腫”という意味があるので,
緑内障を知らない人は引っかかってしまいますね.

必修に出るような疾患は特に,英語の疾患名も,
日頃から気をつけて見ておきましょう.

次に,英語というより医師としての常識を問う問題.

H20 正答率77.0%
医学原著論文において通常最初に置かれている項目はどれか.
ただし,タイトル,著者名および所属を除く.
a Abstract  b Conclusion  c Introduction
d Methods  e Results

【解説】
答えは『a Abstract(要約)』です.
普段から論文を読んでいた人には,簡単でしたね.

わかってはいたのに,変に深読みをして,他の選択肢を選んだ人もいました.
必修の恐ろしいところです.

◆計算問題◆

こちらも,103回から出題されるようになった,計算問題です.

103回からの出題数と内容は,

103回⇒呼吸機能検査,低Alb時の血清Caの補正 の2問
104回⇒呼吸機能検査 1問
105回⇒A-aDO2 1問

となっており,今のところ呼吸器がよく狙われていますね.

対策としては,今まで出された問題の復習とともに,
色々な公式をリストアップしてまとめておくといいかもしれません.

(例えば,腎⇒浸透圧,アニオンギャップ,Ccr,循環⇒平均血圧,出血量,など)

それでは,いよいよ今年の問題を見てみましょう.

I80 正答率54.0%
慢性呼吸不全患者の動脈血ガス分析(自発呼吸,room air)の結果を示す.
pH 7.41,PaCO2 44Torr,PaO2 57Torr,HCO3- 27mEq/l
FIO2 21%,大気圧761Torr,飽和水蒸気圧47Torr,呼吸商(ガス交換率)が0.8であるとき,A-aDO2を求めよ.
ただし,小数点以下第1位を四捨五入すること.
解答:(1)(2)Torr   *(1),(2)それぞれに0~9の数字を選択

【解説】
A-aDO2=PAO2-PaO2
={(大気圧-飽和水蒸気圧)×FIO2-PaCO2/呼吸商}-PaO2
=37.94Torr

で,小数点以下第1位を四捨五入して,答えは『38Torr』になります.
正確に理論式を覚えていた受験生が少なかったようで,
正答率は54.0%と低かったです.

——

新傾向問題,いかがでしたか?

出題数も少なく対策をしづらい為か,正解率は低めですが,
難問ばかりでは決してありません.

特に医学英語や計算問題は,実習中に出会った時に,
「国試に出るかも」と意識して,
覚えたりメモを残したりしておくと良いと思います.

さて次回は,105回受験生を一番苦しめた,
難問・割れ問をご紹介しようと思います.

それでは今日は,このへんで.

(編集部S)

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