[研修医体験記] 臨床現場で使えた!!『Quick reference for Resident』

こんにちは.編集部Wです.
今回は,『イヤーノート2012』の新付録『Quick reference for Resident』
実際に研修医のK先生に使ってもらい,感想を送ってもらいました.

6年生のみなさん,来年の自分の姿を思い浮かべながら読んでみてください.

『Quick reference for Resident』がどんな書籍なのかは,コチラをどうぞ.


(クリックしてサンプルを表示)

臨床現場で使えた!!『Quick reference for Resident』

6年生のみなさん.こんにちは.
卒試に追われているころでしょうか.
卒試に追われつつも,来年から始まる研修医生活も気になるころですよね.

かくいう僕も臨床研修医1年目.
ようやく地に足ついて仕事ができるようになってきたはずか!?
いえいえ,まだまだテンパりながら仕事している毎日ですm(_ _)m

まあそれはさておき,このコーナーでは,“実体験”を基に,
臨床現場で役に立った知識などをお伝えしていきたいと思います.
お時間があるときにぜひぜひ最後まで読んでいただけると幸いです!

みなさんご存知かと思いますが,書店に足を運ぶと,
臨床研修医向けの優れた書籍がたっくさん並んでいます.

『研修医当直御法度症例帖』
『ERの哲人』
『当直医マニュアル』などなど…

どれもこれも完成度が高く,一冊でもあれば,
かなり有意義な研修医生活が送れるのではないでしょうか.

僕は自称勤勉(臆病者なだけ!?)ですので,上記書籍を全部持っていますが,
現在,白衣に携帯しているのは,メディックメディアで働いた経験もあることから,
2012年版『イヤーノート』より付録になった『Quick reference for Resident』です.

この『Quick reference for Resident』の特長といえば,3つ.

★胸ポケットに入る(かなり小さい.文字の大きさはイヤーノートと同じ)
★症候別(胸痛や頭痛など)に,初期診療で最低限必要な知識が見開き1頁に凝縮
★救急の先生達が実際に参考にしているスコア,計算式がズラリと並ぶ

簡単に言ってしまえば,当直の時に力を発揮する書籍なんですね.

ということで,実際に当直時に『Quick reference for Resident』が
どのように役立ったかを簡単にお伝えしていきますね.

【症例1:咽頭痛の基本の基本!?】

2011年○月×日,
初めての当直業務….

といっても,僕の病院の場合(ほとんどがそうでしょうが),
指導医の先生の下で当直に入りますから,
本当の意味では初めての当直業務でないかもしれません.

でも指導医の先生から
「患者がきたらまずは一人で診察してみてね.
診察が終わったら,どういう検査が必要か,
どのように対応するかをアセスメントした上で,電話するように.
もう学生じゃないんだから.でも本当にやばそうなのが来たらすぐに電話して」
と言われたりすると,やはり一人身構えてしまうもんです.

研修医室でPHSが鳴るのをじっーと待ったり,お茶を飲んだり,
医学書を開いたりしながら時間を潰していると,ピピピーと救急外来から電話が!!

K:はい,研修医のKです!(深夜でも元気よく)
救急外来:先生,“咽頭痛”の患者さんが来ていますよ.診察お願いします.

いよいよ初めての一人診察.
主訴は“咽頭痛”…

ほとんどがウイルス性咽頭炎でしょうから,救急処置が必要でないかもしれませんが,
なんせ初めて自分で診る“咽頭痛”,決して油断はできません.

救急外来に向かう途中,歩きながら94頁の“咽頭痛”をチェック!


(PDFを表示)

15秒くらいで“Don’t miss it(見逃してはいけない疾患)”と
common(頻度の高い疾患)”をさっと頭に入れてから,いざ,診察室へ!

【症例】
42歳女性.4日前より39℃台の発熱と咽頭痛.近医にて感冒薬を処方され,様子をみていたが,症状が治まらず,心配になって救急外来受診.血圧125/60mmHg,脈拍97回/分,体温38.6℃.

看護師さんから問診票にバイタルサインが書かれたものを渡され,診察を始める僕.
心の中では,「国試であれば,検査データまで出してくれるのに…」と思いながらも,
臨床現場では自分で診察して,考えたうえで検査をオーダーしなければいけません.

まずは絶対に見逃してはいけない急性喉頭蓋炎を疑わせる所見がないかをチェック!

百戦錬磨の指導医の先生方なら患者の印象から,
「重篤な疾患or帰しても問題ない疾患」を鑑別できるかもしれませんが,
なんせ医師になったばかり…,なかなか自分の眼に自信がもてません.

だからこういった“疑うポイント”をあらかじめ頭に入れておくと,
ある程度自信をもって診察していくことができます.

どうやらこの患者さん,急性喉頭蓋炎ではなさそうでしたので,
次に“頻度の高い咽頭炎”を念頭に頭の先からつま先まで!?を診察してみると…

頸部のリンパ節腫脹(+),咽頭に白苔を伴う発赤(+)
やはり咽頭炎の可能性大!!

では抗菌薬を処方すべき咽頭炎か,すべきでない咽頭炎か…

そんな時に“Centor criteria”!!


(PDFを表示)

有名なcriteriaですので,知っている方も多いとは思いますが,
これはA群溶連菌による咽頭炎が疑われるときに,
抗菌薬が必要かどうかの指標となってくれます.

この患者さんの場合,
熱が38.6℃,
咳なし,
頸部診察でリンパ節に圧痛(+),
喉の中を見せてもらうと咽頭に白苔を伴う発赤!
そして42歳.
Centor criteriaで4点!

つまり,“抗菌薬を経験的投与してOK”ということになります.

もちろん施設や先生によって考え方が異なるでしょうが,
救急の第一線で活躍されている先生方が参考にしているスコアや思考過程は
研修医の僕にとっては非常に心強いもんです.

ということで,指導医の先生に電話.

K:先生,42歳,女性.主訴は咽頭痛です.
4日前より…(中略).Centor criteriaで4点でしたので,抗菌薬処方してもよいと思うのですが…
指導医:なるほど.確かに細菌性咽頭炎が疑わしいね.
じゃあ,念のため僕も見に行くから帰さずに待っててね.

その後,指導医の先生も患者を診てくれて,
抗菌薬,解熱鎮痛薬を処方し,患者さんを帰すことになりました.

最終的に指導医の先生に診ていただいたとはいえ,
自分でアセスメントして自分で治療方針を決定すると,すごく充実感に満ち溢れました.
医師として一歩前進できたような気がしました.

研修医になった時,どの書籍を白衣に携帯すべきかを悩んだら,
白衣の胸ポケットに『Quick reference for Resident』を携帯してみては!?
きっと役立つことも多々あるはずです.

長々と駄文を重ねてしまいましたが,最後までお読みいただいた方,ありがとうございました.
では今回はここまで!

(研修医K)

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