[4, 5年生]『レビューブック内科・外科』最新版 好評発売中!第4回:CBTで役立つ!研修医になっても役立つ!「鑑別!1st impression」(その2)

10月14日に発売した『レビューブック内科・外科』第9版.
前回に引き続き私,編集部Mが,
この第9版に新しく加わった新付録
「鑑別!1st impression」をご紹介します.

前回の記事はコチラ↓
http://web-informa.com/books/20111020-2/

さて,この「鑑別!1st impression」,
どういうものかを一言で説明すると
「CBT対策と国試対策に役立つだけでなく,
研修医になって必要になる“ヨコ切りの思考回路”をつくるのに役立つまとめ集」
というもの.

疾患各論というタテ切り中心の試験対策だけでは,
症候から鑑別を考える“ヨコ切り”の思考はできるようになりません.
しかし研修医になると当直や救急外来で,
いきなり“ヨコ切り”の思考が求められるようになります.

しかもこの「主要症候に応じて疾患を想起できる」“ヨコ切り”のシナプスは,
研修医になればすぐに身に着くというわけではありません.
でも,CBTや国試に直接関係ない鑑別診断の勉強をする時間は,なかなかない.
そこで,「鑑別!1st impression」を使い,CBT・国試対策をしながら,
“ヨコ切り”のシナプスをアタマの中に作っていこう!

…というのが前回の記事の内容でしたね.

では,この「鑑別!1st impression」が本当にCBTや国試対策に役立つのか?
今回はそれを見ていきましょう.


◆◆CBT対策で活躍!◆◆

まずCBTの問題.
「鑑別!1st impression」は臨床問題全般に役立ちますが,
ここでは主要症候がテーマになりやすい「多選択肢型2連問」をみてみましょう.

テーマ:胸痛
a 心房粗動
b 心房細動
c 心室細動
d 洞不全症候群
e 完全房室ブロック
f 狭心症
g 大動脈解離
h 発作性上室頻拍
i 気胸
j 胸膜炎
k 急性心筋梗塞
l 肺塞栓症

(1)40歳男性.坂道を登るときに胸痛を自覚し,1~2分で治まった.
  今朝は痛くなかったが,念のため来院した.
  安静時の心電図は正常だった.
  最も考えられる診断は(上記a~lのうちで)どれか?

(2)70歳男性.突然の胸痛を訴えて来院.
  痛みは移動性で左右上肢の脈圧に差があった.
  考えられる疾患は(上記a~lのうちで)どれか?

さすがに簡単ですかね… (^_^;)
でも,誌面紹介にちょうどいい問題なので,ご容赦くださいね.

答えを出す前に、まず
「鑑別!1st impression」の誌面と使い方を
「胸痛」を例にご紹介いたします.

◆STEP1:2つの軸でインプット!

●「Don’t miss it」「common」の2つの軸で鑑別疾患を考えるのが救急・総合診療のキホンです.
 ①Don’t miss it:見逃してはならない疾患.
 ②common:頻度の高い疾患.

※上記のどちらでもないが鑑別に挙げられる疾患は「others」
としてまとまっています.

 (画像をクリックして拡大)

初見のときは,まずはこの2つの軸を意識しながら,
疾患名を見ていき, introductionにも目を通しておいてくださいね.

◆STEP2:クイズのように疾患名を当ててみよう!

●「主訴」,「典型的な患者像」,「付随する症状」が整理されて,
左ページに掲載されています.
問診や身体診察などその場で得られる情報が中心となっています.
●このヒントから「第1に考えられる疾患」を思い浮かべてみましょう.
右ページに答えとなる疾患が載っています.
赤いシートで消しながら見ることもできます
●疾患名の下に本書『レビューブック内科・外科』の参照ページが載っていますから,
その疾患の詳しい特徴や国試での出題ポイントをすぐに確認できますね!

 

(画像をクリックして拡大)

もちろん,実際の臨床は典型例ばかりでないし,
ここに示した情報だけで必ずしも診断できるわけではありません.
しかし,将来,的確に問診や検査のオーダーをできるようになるには,
学生時代に典型例の特徴をしっかり抑え,
主訴別に整理しておくことが重要になると思うのです.

 
◆STEP3:将来のために臨床的なポイントを確認!

研修医以降に役立つ実践的なポイントもあわせてチェックしておきましょう.
これらは国試必修問題にも出題されやすいため,今から見ておいて損はありません.
ちなみに大動脈解離の場合,こんなことが書いていますね.

(画像をクリックして拡大)

●最後にもう一度,「Don’t miss it」「common」の表を見直し,
記憶を定着させましょう.

このSTEPを繰り返すと,だんだんと
頭の中にヨコ切りの回路ができてくるわけです.

2回目以降は,先に答えを見ないようにするため,
STEP1を飛ばして,いきなりSTEP2からはじめるようにしましょう.

こうした学習でCBT対策・国試対策とからめながら,まずは
症候に応じて疾患名を想起し,各疾患の典型例の特徴をおさえておく」レベル
を目指していきましょう.
研修医になってから,さらに実践的な知識を身につけていくための
土台になってくれると思います.

…さて,CBT問題の答えでしたね.

(1)40歳男性.坂道を登るときに胸痛を自覚し,1~2分で治まった.
  今朝は痛くなかったが,念のため来院した.
  安静時の心電図は正常だった.
  最も考えられる診断は(上記a~lのうちで)どれか?

(2)70歳男性.突然の胸痛を訴えて来院.
  痛みは移動性で左右上肢の脈圧に差があった.
  考えられる疾患は(上記a~lのうちで)どれか?

どうでしょう?
「鑑別!1st impression」にバッチリ書いてありますね.
(1)は労作性狭心症,(2)は大動脈解離でした.

…え? 「鑑別!1st impression」でなくても解ける?
確かにそうかもしれません.
でも,こういった症候別の問題は,
「鑑別!1st impression」が一番対策しやすいと思いますし,
この問題は(1)(2)ともに循環器系の疾患が答えでしたが,
循環器以外の疾患が答えになる場合もあるわけです.
こういうときは,「鑑別!1st impression」でのトレーニングが活きてきますね.

そして何より重要なのは,
ヒントを見ながら診断名を考えるというトレーニングを
一気にできるということ.
その数,およそ320例です.

実はこういった本,今までになかったんです.

CBTにせよ国試にせよ,1-2時間で行う臨床問題対策としては
かなり効率がいいのではないでしょうか.

 
もう1問,CBTで出題された「胸痛」問題を見てみましょう.

28歳女性.5日前に帝王切開を行った.
術後に,突然胸痛と血痰が出現した.
診断として最も考えられるものはどれか.

a 肺動静脈瘻
b 肺塞栓症
c 肺線維症
d 気胸
e 肺膿瘍

こういった問題はCBTでも国試でも,わんさか出題されます.
答えはもちろん b)肺塞栓症

(画像をクリックして拡大)
 
同じような問題は国試で出ていますよ.

「鑑別!1st impression」,各疾患の特徴を極限までミニマムにしたまとめ集.

「鑑別!1st impression」では,主要症候別に,
疾患が約320例揃っています
(症候別なので,1つの疾患が複数の章に登場する場合もあります).
CBT/医師国試の直前チェックにも有用ですね.

加えてもう一つ.
Don’t miss it」「common」の2つの軸で鑑別疾患を表示する本は結構あるのですが,
「鑑別!1st impression」は「Don’t miss it」を赤字黒字でさらに二つに分けています.

(画像をクリックして拡大)

赤字の「Don’t miss it」疾患は,
ERでも総合診療でも直ちに処置が必要となる
緊急度がとても高い疾患
黒字の「Don’t miss it」は,
総合診療的に見逃せない重大な疾患ではあるが,
緊急度は赤字の疾患に比べれば低いものです.

担当編集者が監修の先生のやり取りから思いついたアイディアなのですが,
これも臨床的で分かりやすいですね.
「鑑別!1st impression」オリジナルの分け方です.

それでは今回はここまで.
次回,医師国試の問題を「鑑別!1st impression」で見てみたいと思います.
次回もよろしくお願い申し上げます.

(編集部M)



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