[分析]データでみる106回国試(その2)一般問題編
みなさんこんにちは!編集部のS藤です.
前回の,データでみる国試(その1)基本情報編では,
国試の合格率・合格基準と,問題の出題形式についてお伝えしました↓
http://web-informa.com/kokushi/data/20120416-2/
続いては,国試の出題内容について迫りたいと思います.
もうご存知の方も多いと思いますが,
国家試験は,必修問題,(必修以外の)一般問題,(必修以外の)臨床問題の3つに分けて採点されます.
今回はそのうち『一般問題』について,
どのような問題なのか,注意すべきポイントは何か,
また,106回ではどんな問題が出題されたのかを,お伝えしていきます.
◆一般問題とは◆
名前の通り,ある疾患や事柄についての一般的な知識を問う問題です.
実際に問題を見てみましょう.
106D6
多発性内分泌腫瘍〈MEN〉I型を構成しないのはどれか.
a プロラクチノーマ
b 原発性副甲状腺機能亢進症
c 甲状腺髄様癌
d Zollinger-Ellison症候群
e 副腎皮質腫瘍
【解説】
答えは『c 甲状腺髄様癌』です.正答率は86.6%でした.
MENI型(ちなみに,厳密にはMEN 1と表記するのが正しいようです)といえば,
PPP:Pituitary(下垂体腫瘍),Parathyroid(副甲状腺機能亢進症),Pancreas(膵内分泌腫瘍)ですね.
これに加え副腎皮質腫瘍やカルチノイドを合併することがあります.
MENを構成する疾患については,今までも何回も出題されていましたが,
副腎皮質腫瘍については初めて出題されたため,eを選んでしまった人も12.0%いました.
cの甲状腺髄様癌はMEN 2を構成します.
このように,一般問題は
なんとなくのイメージでは解けず,確実な知識が要求されます.
◆公衆衛生に要注意◆
公衆衛生は,国試全体で最も問題数の多い分野ですが,
特に一般問題においては,その割合が高く,
105回では,必修以外の一般問題200問中42問,
106回では,200問中40問が公衆衛生でした.
復習になりますが,一般,臨床,必修は別々に採点され,
それぞれの合格基準を満たさなければ合格できません.
一般問題をクリアするためには,
公衆衛生対策を万全にすることがとても重要です.
◆画像問題も出ます◆
画像問題といえば,臨床問題のイメージがありますが,
実は,一般問題でも出題されています.
106回では,一般問題のうち17問の画像問題がありました.
おおまかに分けると下記のような内容で問われています.
(1)画像上の解剖学的知識を問う問題
(2)画像を見て,診断名を問う問題
(3)画像で診断をつけた上で,関連した所見や治療について問う問題
(4)検査や手技に関する知識を問う問題
(※上記複数の要素がオーバーラップしている問題もあります.)
実際に問題を見てみましょう.
まずは(1)の「解剖学的知識を問う問題」です.
106B6
胸部エックス線写真と胸部単純CTとを次に示す.胸部エックス線上の異常陰影と一致した病変が認められる胸部単純CTはどれか.
a(1) b(2) c(3)
d(4) e(5)
【解説】
答えは『b』で,正答率は88.5%でした.
胸部エックス線上,右の下肺野に異常陰影がみられ,
心陰影とのシルエットサインが一部陽性であることがポイントです.
スペースの都合上,(2)「画像から診断名を問う問題」は割愛して(スミマセン)
次に,(3)「画像から診断し,考えられる所見を選択する」
やや高度な問題です.
106A16
胸部単純CTを次に示す.この患者の肺機能検査所見として考えられるのはどれか.2つ選べ.
a A-aDO2正常
b 拡散能低下
c 残気量増加
d 肺活量低下
e 1秒率低下
【解説】
答えは『b 拡散能低下』と『d 肺活量低下』で,正答率は66.6%でした.
すりガラス状陰影,小葉間隔壁の肥厚,蜂巣状陰影より肺線維症を考え,
間質病変による拡散能低下(b)と拘束性障害(d)を選択します.
ほとんど同じ問い方で,COPDの胸部エックス線写真の問題も出題されています(D14).
(4)「検査や手技に関する知識を問う問題」については,
少し毛色が違い,また,重要な問題なので,
次回以降のメルマガで改めてご紹介しようと思います.
以上,『一般問題』についてお伝えしてきましたが,いかがでしたか.
次回は,臨床問題について,せまっていきたいと思います.
お楽しみに!
(編集部S)