[新5年生・新6年生]QBの特徴分析:国試問題集は「科目別」に分冊化がよい?「正答率」で分冊化がよい?

編集部のMです.こんにちは.
今日は,新5年生・新6年生の方向けの記事です.

毎年,国試対策委員の方からよくいただく質問があります.

それは『クエスチョン・バンク』と他社の問題集,何が違うの?
…というもの.

毎年毎年,メールや電話でお応えしているのですが,
それならはじめからメルマガの記事で解答しておこうと思って書きました.
今回は,昨年のお送りした記事を106回国試バージョンにリニューアルしてお届けします.

国試対策委員の方,お読みいただけましら幸いです.

◆『QB』は科目別!達成感得やすく,実習・勉強会でも便利.

さて,『QB』といえば国試対策問題集の定番.
過去10年分と,それ以前でも解いておいてほしい過去問をセレクトし掲載しています.

分冊の仕方は,「循環器」「呼吸器」というように科目別です.

もともと8割近いシェアを維持していましたが,スピーディに国試の全体像をとらえる勉強法を可能にさせる「1周目問題」が大好評,「1周目問題」導入以降,
さらに売り上げを伸ばし,現時点では86.2%のシェア率を達成できています.

[アンケート結果発表]
あなたはどっち派?国試問題集を買う時期,使う時期

『QB』が「1周目問題」システムをはじめた2009年まで,他社から別のシリーズが出ていたのですが,
翌年,つまり2010年に,このシリーズがなくなってしまい,正答率で問題を分冊化した新しいシリーズが出ました.

このシリーズは,科目よりも上位の概念で正答率を導入し,正答率別に過去問を「Level I」「Level II」「Level III」の3系統に分冊化しています.

このうちの「Level I」が,『QB』における1周目問題のような位置づけとされているようです.

おおざっぱにいえば,

『QB』

●科目別で分冊化

●1冊1冊のなかで,1周目問題を選んで解くとスピーディに全体像がつかめる
逆にいえば,スピーディに全体像をつかむには,1周目問題以外の問題を飛ばして演習する必要がある.

●その科目を完全に習得するのに1冊で済む.

 

『他社の問題集』

●正答率で分冊化

●「Level I」で,問題を飛ばさず『QB』の1周目問題に相当するような問題を解ける.

●その一方,各科目の全体を習得するのに,1冊では済まず3分冊解く必要がある.

という感じでしょうか.
どちらがよいか,というのは極論「好みの問題」ですが,毎年毎年,新5・6年生の方に相談いただくことなので,今年はここでお答えします.

 

結論からいいます.

正答率は重要な要素かもしれませんが,私たちは,循環器,呼吸器,神経といった「科目」よりも上位に行くほどのものだとは考えていません.

〈1〉
循環器なら循環器1冊を,1周目は「1周目問題」だけ解き
問題を飛ばしながらスピード重視で終える.

〈2〉
まずは1つの科を細かくやるより,他の内科外科・小児産婦・マイナーなど
全科目に一度目を通すことを優先する.

〈3〉
2周目で1つ1つの科全体を塗りつぶし,弱点を無くす.

 

という方法が,小社の勧める勉強法です.

どちらの問題集を使っても、この〈1〉~〈3〉はもちろんできるのですが,
科目別に本が分冊化されていたほうが,「1つの科を塗りつぶす」感覚を持ちやすい.

「リンカクをつかんだが,まだ制覇していない」→「リンカクをつかめた!制覇した!」という実感が得られやすい.
そしてそういう感覚が,国試対策に向いていると思うのです.

1つの科目が難易度別に分冊化されていると「全体の何割終わった」とか
「全部制覇した!」という実感がもちにくいと思うのです.

さらに臨床実習に沿って解いたり,勉強会で使ったりするときも,科目別分冊の方が便利と考えます.
実習や勉強会のとき,問題集は,循環器なら循環器,神経なら神経と,1冊で持ち歩きたくないですか?

 

◆プール問題・リベンジ問題に対応するには正答率別よりも科目別がよい.

そしてもう一つ大きな理由があります.

それはプール問題や過去問との類題がかなり出題される国試において,正答率が低い問題が,
今後も正答率が低い=「合否を分けない問題」ということにならないからです.

 

実例をみてみましょう.
2009年の103回国試で出題された問題です.

103E25

IgE抗体の産生を促進させるのはどれか.

a IL-1   b IL-2   c IL-3

d IL-4   e IL-5

このとき,この問題の正答率は25.4% でした.(正解はdです)

国試は「プール問題」といって過去に出題された問題と同じ問題が毎年一定量出るのですが,
過去に一度出題された問題は,正答率が跳ね上がります.

103E25の場合,3年後の2012年,先日の106回国試に再び出題されました.

106B22

IgE産生に関連が深いのはどれか.

a インターロイキン1〈IL-1〉 b インターロイキン2〈IL-2〉

c インターロイキン3〈IL-3〉 d インターロイキン4〈IL-4〉

e インターロイキン5〈IL-5〉

読んでみると,ほぼ同じ問題ですね.さて,正答率はどれだけだったでしょう…

なんと91.8%!! 66.4ポイントもアップしているのです!
合格率が90%前後の医師国試において,
この問題は絶対落としたくない「合否を分ける」問題に変わっていました

つまり,103E25のように低正答率の問題は,正答率で分冊化する問題集の場合,
「Level III」(超難解問題)や「Level II」(難解問題)のように,購入する人と購入しない人が分かれそうな巻に分類される可能性が高いですよね.

QBの場合,科目別で分類されるので,「1周目問題」として掲載されるかどうかは問題の内容や出題年にもよりますが,
基本的にはその科1冊をきちんと演習すれば1回解いています.
(もちろん他社の問題集も全巻買って解いていれば問題はないですよ)

さらにもうひとつ.
国試では,「問われた知識は基本的だけど問題の作り方が下手で正答率が低い」っていう問題もよくあります.
そういう問題は,2~3年後に欠点が改善され再び出題されることがあります.
こういう問題をメディックメディアでは「リベンジ問題」と呼んでいます.

この手の問題も,当たり前ですが,初回の出題は正答率は低く,
リベンジ問題として出題されたあとは正答率が高くなります.
一昨年の105回の問題がその1例です.

103回国試の必修問題F27は正答率25.4%
必修としては難易度が高すぎるという判断で,正解した人は採点され間違った人は採点されない “必修除外”となりました.

この問題が改善されて,今年は105G52として出題されたのですが,
今回の正答率は75.4%
やはり急激に上がっています.

つまり,国試勉強において,正答率は絶対的な指標にはならないのです.

ちなみに『QB』では,過去5年の問題は難易度や正答率にかかわらず,悪問・奇問でなければ「1周目問題」としています.

その理由の1つが,「プール問題」「リベンジ問題」ともに,過去5年以内に再出題される可能性が高いからです.
例えば106回国試では,プール問題(ほぼ過去問と同一だが少し変更が加わった問題含む)26問のうち14問,半数以上が過去5回の国試からの再出題でした.

過去5年の問題は,正答率が低い問題も含め来年・再来年の国試に出やすい!
だからこそ,過去5年の問題は,問題の難易度を越えて,先に解いておいた方がいい問題(1周目問題)にしておいた方が受験生のためだと思うのです.

これまで挙げてきた理由や国試の出題傾向から,私たちは,「正答率」に必要以上の重要性を見いだせません.正答率で分冊することがいいように思えないのです.

ただ,これはあくまで私たちの考え方にすぎません.別の考え方もあると思います.
実際に書店で手にとって自分に合うと思った方を選べばいいのではないでしょうか.

◆科目別編集以外の『QB』の特徴

最後に,もう一つ『QB』の特徴をお伝えしますね.

106回国試後の国試受験生アンケート(有効回答:4,061人,全受験生の約半数)によれば,

「QBだけ」を使用した人が86.2%
「QBと他社の問題集の両方」を使用した人を含めると,92.4%の人が「QB」を使用しているという状況でした.

【Q】あなたが使っていた国試過去問題集はどれですか?

(クリックして拡大)

 

この「トップシェア」が『QB』の最大の武器だと思います.

平均合格率90%前後の医師国試の場合,高い順位を目指すことに意味はなく,10人中の1人にいかにならないようにするかということが重要ですよね.

国試では,10人中1人しか正解できない問題を正解するより,
10人中1人しか間違えない問題を間違える方が怖いのです.
『QB』に書いてなかった知識を正解できたけど,『QB』に書いてあったから
周りは正解できた問題を自分だけ知らなくて間違えてしまった…というパターンですね.

『QB』に書いてなかった知識は捨てて,『QB』に書いてあったから周りは正解できた問題を自分も確実に得点するというパターンに持っていきたい.
つまり「多数派に沿う」勉強法が一番ディフェンス力が高いのです.

そういう意味では『QB』には『QB』ならではのメリットがあるといえます.

ちなみに同年度の『QB』を合計5セットをそろえると「QB ONLINE」というWEBサービスが使用可能になります.
「QB ONLINE」では,本の『QB』では疾患順に並んでしまう臨床問題をシャッフルして演習したり,
テーマや国試番号で問題を検索したりと好みに応じた解答が可能となります.
2周目の復習に使えますね.

「多数派に沿う」という文脈で,他の本にも簡単に触れておきます.
『イヤーノート』(YN)はご存じの通りシェア率はほぼ100%です.

また,ここ3年くらい『病気がみえる』が急激に伸びてきています.
昨年に神経が,今年の3月に「腎・泌尿器」が発行され,10巻となりました.今後さらに伸びると思います.

だから,これからの国試対策のスタンダードは,

「QB」+「YN」+「病みえ」

という感じになるのではないでしょうか.

マイナー対策は,「QB」+「レビューブック・マイナー」ですね.
『YN』や『病みえ』の参照ページが充実しているだけでなく,『YN』や『病みえ』から多数の図版を転載しているのも,『QB』の特徴の1つです.

まとめです.

『QB』の特徴

(1)科目別で分冊!

・「塗りつぶした」感覚を持ちやすい.

・勉強会,実習での持ち運びに便利.

・今後出題されうるプール問題,リベンジ問題に対応しやすい.

(2)1周目問題 →スピーディに国試のリンカクがつかめる!

(3)トップシェア!→周りと同じ勉強法が落ちにくい!

(4)5冊そろえると『QB ONLINE』使用可能!

(5)『病気がみえる』『イヤーノート』の参照ページつき

(6)『病気がみえる』『イヤーノート』の図版多数掲載

これまでの『QB』の良さはそのままに,進化し続ける『QB』.
これからも,どうぞご期待下さい.

それでは,今日はここまでにしますね.

4月は国試対策のスタートの時期,
ご検討をお祈り申し上げます.

(編集部 M)

 

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