[3~6年生向け]医師国試 新ガイドライン発表! 第5回:新ワード紹介(その2)
こんにちは,編集部Aです.
4年ぶりに改訂された「医師国家試験出題基準」に
新たに追加された用語を紹介しています.
今日は,『医学総論』「IX 治療」の「血管系治療」に加わった
「経皮的中心静脈ポート留置術」をご紹介します.
◆経皮的中心静脈(CV)ポート留置術
CV(中心静脈;central vein)とは
心臓に近い太い静脈(上大静脈,下大静脈)のことです.
点滴といえば主に腕などの静脈(末梢静脈)から薬液を注入しますが,
抗がん剤や高カロリー輸液は血管への負担が強く,
中心静脈からの点滴が望ましいです.
末梢の点滴にくらべ,中心静脈から点滴をするための手技
(CVカテーテル挿入;鎖骨下静脈,内頸静脈,大腿静脈をよく使います)
は手間がかかり,患者,医療者側ともに負担となります.
そこで,中心静脈に留置したカテーテルを
ポートと呼ばれる100円玉くらいの大きさの器具に接続し,
このポートを皮膚の下に埋め込みます.
局所麻酔下で行うちょっとした手術です.
実際に使用する際は,皮膚の上から専用の針をポートに刺し込み
薬液を注入します.
的が大きいので失敗も少なく,痛みも普通の注射くらい,
点滴が終了したら針を抜いておしまいです.
中心静脈点滴を受ける際は入院が原則でしたが,
CVポート留置術では入院が必須ではなく,
外来での化学療法も広まります.
また,栄養摂取が不十分な高齢者などで経鼻経管栄養や胃瘻が不可能な人,
クローン病などの消化器疾患で栄養療法が必要な人も,
在宅で高カロリー点滴が受けられるため,QOLが改善します.
一度留置したポートは時間とともに詰まってしまったり,
感染が起きたりして抜去しなければならないこともありますが,
何度もCVカテーテルを留置することを思えば,非常にメリットの大きい方法です.
近年,在宅医療が推進されていることや,
治療においてQOLが重視されていることからも,
普及が進んでいる技術です.
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CVポートは臨床実習で見たことがある人も多いのではないでしょうか.
実習がこれからの人は,見逃さないよう要チェックです!
(編集A)