[3~6年生向け]医師国試 新ガイドライン発表! 第6回:新ワード紹介(その3)
こんにちは,編集部Aです.
4年ぶりに改訂された「医師国家試験出題基準」に
新たに追加された用語を紹介しています.
今日は,前回のCVポートと同じく
『医学総論』「IX 治療」の「血管系治療」に加わった
「動注リザーバーポート」をご紹介します.
◆動注リザーバーポート
「動注化学療法」の関連用語として登場しました.
抗がん剤を動脈から注入する際に使用される器具です.
抗がん剤治療(化学療法)は,一般的には静脈から薬を注入します.
(静脈に注入するのですから,薬は全身にいきわたるので全身化学療法といいます)
これに対して,動脈に薬を注入(動注)すると,
注入した動脈の先にある組織(狙うべきがん病巣)に
より高濃度の薬が到達します.
動脈に薬を注入するには,動脈にカテーテルを挿入する必要がありますが,
そのためには動脈造影をしながら細い血管にカテーテルを誘導しなければなりません.
毎回これを行うのは大変なので,動脈にカテーテルを留置し,
そのカテーテルとリザーバーを接続し,リザーバーを皮下に埋め込んでおきます
(前回紹介したCVポートと似たようなものです).
動注化学療法は,より高濃度の抗がん剤を病巣に届けることができるわけですから,
全身の副作用を増やすことなく,抗がん効果を高められることが期待されます.
全身化学療法と,動注療法の優劣(生存期間,副作用の程度)に決着はついていませんが,
肝癌や大腸癌の肝転移に対しては,
治療ガイドラインでも動注化学療法の適応が掲載されており,
全身化学療法と比較する臨床研究も進んでいます.
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ポート留置術,目にする機会はますます増えてきそうですね.
(編集A)