[3~6年生向け]医師国試 新ガイドライン発表! 第8回:新ワード紹介(その5)

編集部Aです.
4年ぶりに改訂された「医師国家試験出題基準」に
新たに追加された用語を紹介しています.

今日は『医学総論』「IX 治療」の「放射線治療」より.

放射線治療はがん治療において,疼痛緩和などの姑息的手段としてだけでなく
術前術後の補助療法や根治療法の手段として,重要性が高まっています.

近年,さまざまな治療ガイドラインで放射線治療の位置づけが明確化・重要視されています.
そんな中,医師国試ガイドラインでも放射線治療の位置づけが高まり,
直線加速器」や「ブラッグピーク」といった,技術的な用語も明記されました.

 

◆直線加速器

多門照射』の関連用語として明記されました.

放射線治療では,放射線を生み出すための装置が必要です.
その一つが「直線加速器」.一般にリニアックとも呼ばれます.
レントゲンなどの画像診断装置よりも放射線のエネルギーを高めることができ,
治療効果を得ることができます.

 

◆ブラッグピーク

粒子線治療」の関連用語です.

放射線治療を行う際には,
目的臓器(がん組織)には高いエネルギーを照射し治療効果を高め,
周辺正常組織にはなるべく照射しないようにして
副作用を減らす工夫が必要です.

一般に放射線が組織中を通過する際,周囲に与えるエネルギーは進行距離とともに変化します.
この変化をグラフにしたものをブラッグ曲線(Bragg Curve)といいます.

粒子線治療では,重粒子線や陽子線を使います.
これらは組織を通過しながらエネルギーを失い,ある距離で停止しますが,
停止する直前,もっとも大きなエネルギーを失う,つまり周囲にエネルギーを与えます
このときブラッグ曲線上でエネルギーは最大値を示します.この部分を「ブラッグピーク」と呼びます.

粒子線治療では,このブラッグピークの位置,幅を調整することで,
組織に与えるエネルギーをコントロールすることができます.

目的臓器(がん組織)には高いエネルギーを照射し治療効果を高め,
周辺正常組織にはなるべく照射しないようにして副作用を減らす
ことが可能な方法です.

 

—–
粒子線治療はまだ保険適用されていないので,一般的な診療方法とは言えませんが
その効果と副作用の抑制が注目され,
世界的にはこの十年ほどで,普及が一気に加速していると聞きます.
今後の展開が気になりますね.

(編集A)

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