[3~6年生向け]医師国試 新ガイドライン発表! 第10回:新ワード紹介(その7)

編集部Aです.
4年ぶりに改訂された「医師国家試験出題基準」に
新たに追加された用語を紹介しています.

今日は,『医学各論』「IX 神経・運動器疾患」の「外傷の合併症
に新たに追加された「複合性局所疼痛症候群(CRPS)」をご紹介します。

 

◆複合性局所疼痛症候群
(CRPS;complex regional pain syndrome)

重々しい文字並びですが,噛み砕いて言うとこういうことです.
「組織が損傷した部分が,治った後も痛い.原因は様々.」

人が傷口を『痛い』と感じるのは,
そこにある痛み受容体を介して痛覚神経が刺激され,
大脳に『痛い』という情報が届いているからです.

ところが,傷が治った後も痛みが続くことがあります.
それらを総称してCRPSと呼びます.

特に,これまで「カウザルギー」「反射性交感神経性ジストロフィ(RSD)
と呼ばれてきた疾患を包括する名称として
使われるようになりました.
これらの多彩な症状・病態を適切に表現するには,
CRPSという言葉のほうがふさわしいと考えられたのです.

神経損傷の有無は問いません.
神経が明らかに損傷していない,
もしくは損傷が明らかでない場合でも
こうした疼痛は出現する可能性があるからです
(機序は明らかではありません).

CRPSは「判定指標」と呼ばれるもので判断されます.
(痛みがあること,体表の萎縮性変化,関節可動域制限,発汗の変化,浮腫
:このうち2項目以上該当).
「診断基準」ではなく「判定指標」であるのは,
CRPSが疾患ではなく,複数の病態の集合だと考えられているからでしょう.

このためCRPSを理由に訴訟の根拠とはできませんし,
画一した治療方法も決められていませんし,
重症度も決めようがありません.

治療法はさまざまで,
抗炎症薬,ノイロトロピン,抗うつ薬,抗けいれん薬,麻薬性鎮痛薬,
場合によっては外科的な処置も考慮されることがあります.

傷自体の問題だけではなく,
その後の創部の固定や心理的社会的因子も関与してきますので
総合的な判断が必要な病態です.

 

– – – – –
それにしても,CRPSに限らず
総合的な判断が必要な病態」が臨床で重視されてきていることが
国試ガイドラインを見ているだけでも感じられますね.

(編集A)

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