[3~6年生向け]医師国試 新ガイドライン発表! 第16回:新ワード紹介(その13)
編集部Aです.
4年ぶりに改訂された「医師国家試験出題基準」に
新たに追加された用語を紹介しています.
今日は,大きなテーマをとりあげましょう.
『必修の基本的事項』「死と終末期ケア」の冒頭に追加された『緩和ケアの概念』.
緩和ケアは旧ガイドラインでも網羅されていた内容で,近年出題数も増えています.
今回『概念』が新たに明記されたことを受けて,緩和ケアとは何かを今一度確認しておきましょう.
◆緩和ケア
世界保健機構は,緩和医療とは
「病気のすべての過程で,患者と家族のQOL(生活の質)の改善を図る
積極的な全人的ケア,包括的緩和である」
と定義しています.
このことから,緩和ケアは全ての医療で必要な概念ですが,
最も普及している分野は,終末期医療においてではないでしょうか.
治療は,病気の治癒を目指して行われますが,
残念ながら全ての病気が治癒するわけではありません.
治癒できない状態(主な例はがん)で,治療を目的とした医療
(苦痛や時間の消費を伴いうる)ばかりを続けていて
本当にその患者が幸せなのか? 家族の意思は?
患者と家族の意思を尊重し,
QOLの改善を目的とした医療を提供しようというのが緩和医療です.
患者のQOL低下を起こす苦痛はさまざまな種類のものがあります.
がんによる身体的な痛み,家族のことが心配,
自分は何のために生きていたのだろう(精神的苦痛).
また,患者だけではなく,家族にも苦痛はあるでしょう.
これらの苦痛に対して総合的にアプローチするには,担当医師だけではなく,
疼痛ケア医,精神科医,看護師,メディカルソーシャルワーカーなど,
チームで医療を提供する必要があります.
医師だけではなく,医療現場全体で理解しなければならない概念です.
がん患者数の増加,がん治療の発達による治療期間の延長などから,
重要な概念となっています.
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第3回でもお伝えしたとおり,
『医学総論』においても緩和ケアに関する用語が多数追加され,
緩和ケアに関するさまざまな内容が国試で問われうる状況です.
(第3回の記事はこちら→http://web-informa.com/benkyo/20120607/)
緩和医療は今後も,現場の医師はもちろん,国試受験生にも問われる
大きなトピックのひとつだと考えられますね.
さて,長くお伝えしてきたこの企画,次回が最終回となります.
最後までどうぞお付き合いください.
(編集A)