[3~6年生向け]医師国試 新ガイドライン発表! 最終回:新ワード紹介(その14)
編集部Aです.
4年ぶりに改訂された「医師国家試験出題基準」について
5月から長きに渡ってお伝えしてきましたが,今回が最終回となります.
最後にご紹介するのは,
『医学総論』「IV 生殖,発生,成長・発達,加齢」の「寿命」に追加された
『余命への配慮』です.
高齢者医療,終末期医療のニーズが高まっていることともあわせて
確認しておきましょう.
◆余命への配慮
ますます高齢化が進むなか,
「寿命」に関する出題内容として『余命への配慮』という言葉が明記されました.
例えば,高齢者への胃瘻造設を見直す議論が活発になっていることも,
そのひとつのトピックスでしょう.
日本では経口摂取ができない高齢者に対する胃瘻が普及していますが,
欧米では一般的ではありません.
特に認知症末期患者などへの適応の是非は,近年日本でも議論になっています.
日本老年医学会も2012年1月,
終末期医療に対する基本的な考え方の改訂に乗り出しました.
高齢者の終末期医療・ケアについて,
胃瘻などの人工的な水分・栄養補給や人工呼吸器の装着は慎重に検討し,
「治療の差し控えや中止も選択肢として考慮する」という見解をまとめています.
終末期医療に対する基本的な考え方(「立場表明」)が改訂されたのは11年ぶりのことです.
改訂版では,高齢者の終末期における「最善の医療およびケア」を,
「必ずしも最新もしくは高度の医療やケアの技術すべてを注ぎこむことを意味するものではない」
と明記しています.
医療従事者は患者の意思や価値観を尊重し,最善のケアを目指すべきとしています.
胃瘻だけでなく,高齢者への手術の適応や,癌や難病をどの程度治療すべきかなど,
全身状態やQOLを十分考慮しなければならないケースは数多くあります.
今後も高齢社会の進展にともない,
余命に配慮した医療が拡大することは間違いないでしょう.
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さて,新しく国試ガイドラインに加わった用語を
いくつかピックアップしてご紹介してきましたが,いかがでしたか.
これを機に,国試ガイドラインに興味をもった方は,原本を見てみてくださいね.
「平成25年版医師国家試験出題基準」
厚生労働省のサイトにて,PDFで公開されています.
http://www.mhlw.go.jp/topics/2012/05/tp0510-01.html
なお,公衆衛生に関する用語は,後日改めて
公衆衛生特集の際に紹介します.
記事を毎号読んでくださった方,ありがとうございました.
新しいガイドラインの傾向を知った上で,国試対策にとりくんでくださいね.
(編集A)