コラム

USMLEと国試って両立できるの?W合格した先輩の体験談

米国医師資格試験(USMLE:United States Medical Licensing Examination)といえば,医学知識はもちろん英語力も必要なハードルの高い試験.今回はそんな難関試験に国内の医学部在学中に挑み,見事を合格を成し遂げたR.A.さんに自身の体験を語ってもらいました.

R.A.さんはただでさえ難しいSTEP1に加えて,なんとSTEP2 CKにも合格.さらに日本の国試も危なげなくパスされたとのこと.きっと帰国子女で,もともと英語ができたに違いない――.そう思いきや,日本生まれの日本育ちで海外経験が多いわけでもないそうなのです.

「英語の壁はどう乗り越えたの?」「学校の授業や国試と両立できるの?」「どう対策したらいいの?」こんな疑問をもっている方は必見です!


そうだ,USMLE取ろう

鹿児島大学 R.A.


“米は日を兼ねる“

当記事で私が唯一にして最も伝えたいメッセージです.今回は二年以上の生活全てを捧げた挑戦を,たった千数百字にまとめろという無茶振りにお応えしてUSMLE体験記を書かせていただきます.USMLE合格より難しいかもしれません.

元々私は日本生まれ日本育ちで,海外は1ヶ月短期留学したことがある程度です.タイトル通りUSMLEを取ろうと思ったのは極めて軽いノリです.少子化,賃金上昇を伴わない物価上昇など,日本への絶望が自然と意識を海外へと向かわせました.

USMLEの主な対策法

最も参考にしたのは“Dr.セザキング”こと瀬嵜智之先生のブログ・YouTubeです.当時4年生だった私は「在学中に2CKまで取れるじゃん」と安易な目論見を立て,4年生中でのStep1合格を目指し6月に勉強を始めました.

勉強法は『First Aid』という参考書を辞書として使い,『UWorld』という問題集をひたすら解くという,USMLE受験における王道中の王道と言える方法でした.

勉強を始めてすぐに感じました.「とんでもない物に手を出してしまった」と.本番同様60分で40問という設定で解いてみたのですが,記念すべき1セット目,結果は正答率17%.鉛筆を転がした方がマシだったかもしれません.

USMLEの壁

USMLEには大きく3つの壁があると考えます.

①英単語の壁

②難易度の壁

③時間の壁

まず①英“単”語の壁とあえて書いたのは,USMLEの問題文は文法自体は難しくなく,問題は単語だからです.記憶→忘却をひたすら繰り返して少しずつ覚えていきます.

②難易度の壁は読んで字のごとくで,普通に問題として難しいです.どう難しいのかというと,例えば病歴から明らかに関節リウマチの患者さんが出て,いざ問題を見ると「この患者へ治療を開始後,定期的に行わなければいけない検査は?」みたいになってます.つまり,⑴疾患がわかり,⑵治療法(薬)がわかり,⑶その治療の副作用がわからないと解けないという,より深い知識と考察力が問われる構造になっているのです.

そして個人的に最も高い壁だったのが③.USMLEはとにかく問題文が長く,時間が足りない.時間の壁はStep2 CKでも最大の敵でした.

USMLEへの挑戦

無我夢中で時は流れ4年生の3月,1回目のStep1挑戦です.はい,お察しの通り2回目もあります.USMLE初挑戦は見事に散りました.しかし持ち前のガッツで再起し,5年の8月,二度目の挑戦で合格しました.

喜びも束の間,間髪入れず勉強を再開しました.2CKも『UWorld』をひたすら回す作戦でした.紆余曲折経て,6年の7月に今度は一発で合格することができました.

以上私の波乱万丈USMLE奮闘記でしたが,一つ疑問に感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか.

USMLEと国試の両立

「え,国試の勉強は?」

この疑問に一撃で答えるのが冒頭の“米は日を兼ねる“です.

USMLEに本気で取り組み,合格する力をつけた人はそのまま日本の国試を受けても受かる可能性が高いと私は考えます.私の場合2CK終了後,まだ国試は完全無対策の状態で過去問を解いても合格点は越えました.

「国試との両立はどうすれば良い?」とよくご質問いただくのですが,私にはそもそも両立するという発想がありませんでした.USMLEを勉強しているだけで両立になっていると思っていましたし,実際その通りでした.

重要なのは「国試への恐怖に対して鈍感」であることな気がします.

米国臨床留学を志す鈍感な同志が増えることを心より願っております.皆様に負けじと私も鈍感力に磨きをかけていく所存です.


在学中にUSMLE合格.

もしかするとどこか遠い世界の話に思えるかもしれません.R.A.さんのUSMLE合格への道も決して平坦なものではありませんでした.

しかし,しっかり計画を立てて,CBTや国試の対策と同様に参考書を片手に問題集を繰り返し解く――.特別なことはせずとも,着実に勉強を進めれば,不可能な目標ではありません.

この記事が,USMLEに興味をもっている皆さんの参考になれば嬉しく思います!

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