【不合格体験記】私が国試に落ちた理由:医学部6年生で知るべき「心」のケア
本日は,第119回医師国家試験で惜しくも不合格となってしまった先輩の体験記をご紹介します.
「不合格の原因は勉強を始めるのが遅かったからだ……」と後悔する方は少なくありません.しかし,今回ご紹介するYさんはなんと4年生の頃から国試を見据え,早期に勉強を開始していました.
周りよりも早くスタートダッシュを切っていたYさんはなぜ不合格となってしまったのか…….そこには思わぬ落とし穴があったのです.
Yさんの体験記から国試に向けた勉強のヒントを見つけ出しましょう!
6年生,気を付けるのは勉強だけじゃない
Yさん
私は4年生の実習が始まった頃から,国試を見据えた勉強をしていました.具体的には実習で回る科のクエスチョン・バンク(QB)を解いたり,苦手意識がある科では少し講義資料を復習したりしていました.
国試を勉強し始めた時期としては,決して遅くはなかったように思います.スタートダッシュは早かったので,問題なく国試に合格できると考えていました.
しかし,このときの私は国試だけではない6年生の過酷なスケジュールをこなすための休息の重要性をわかっていなかったのです.
課題が山積みの4ヶ月間
私の大学では5年生の1月から6年生の7月上旬まで実習があり(春休みなんてありませんでした),同時に,行きたい病院や気になる病院の見学,説明会に参加する必要もありました.さらに6〜8月にはマッチングをする病院に提出するエントリーシートの作成,応募,面接対策練習,試験も…….マッチングの面接は短時間でしたが,緊張からか疲労感が大きかったです.そして,8月には1回目の卒業試験とPost-CC OSCEもあるというなかなかのマルチタスクで,常にハードなスケジュールでした.
このあたりでやる気が出ない時期もあり,少し怪しい雲行きでした.とはいえ,このくらいのモチベーションの上下は,医学部受験や定期試験で経験したことがある程度だったので問題ないだろうと,少しだけ休み,また大量のタスクをこなしていきました.
そして,OSCEは無事合格.
しかし,忙殺されていたからか,1回目の卒業試験に向けた勉強は手薄に…….結果,卒業試験はやや危ない点数でのパスとなりました.
マルチタスク状態が終わり,ようやく落ち着いて勉強ができるようになったのは9,10月のこと.この時期は,2回目の卒業試験に向けて,今までで一番勉強しました.
このように6年生の10月までは,ほぼ休息をとることなく常にONの状態だったのです.
無気力のまま迎えた国試
2回目の卒業試験が終わり,11~12月はさすがに疲れ果て,「もう無理!休む!」と友人と旅行に行ったり,のんびりしたりして休みました.
そして,しばらくして国試に向けて勉強を再開したところ異変が…….
9,10月のような1日8~9時間勉強をするような集中力ややる気が出ず,まるで別人のような感覚だったのです.その時の私は,1日3~5時間くらい勉強するのが精一杯で,環境を変えても変わらなかったので,もう少し休んでみることにしました.休むならしっかり休もうと思い,今までの趣味に取り組んでみたものの,あまり気分が乗らずリフレッシュした感じもしませんでした.
この状態は,1~2月になっても改善しませんでした.とはいえ「さすがに勉強しなくては」と思い机に向かいましたが,9時間勉強できる日もあれば,全く気力がなく2時間も保たない日もあり,調子が安定せず,八方ふさがりの状態でした.
結局,国試の勉強は思ったように進まず不合格となってしまいました.
国試まで燃え尽きず勉強するためには
当時の私は,このようなやる気が全く出ない経験は初めてで,対処法が分からず,戸惑うばかりでした.今になって振り返れば,6年生前半の忙しさを乗り越えたことで,知らず知らずのうちに燃え尽き症候群のような状態になっていたのだと思います.
そして,私のように国試の前に燃え尽きてしまった人は他にもいたようです.
国試勉強は,これまでの医学部受験や定期試験とは異なり,マッチングや実習と並行して進める必要があります.休憩を含め,より計画的に進める必要があるのだと,国試を終えてようやく気づきました.
もともと熱中できる趣味はあったものの,本格的にやる気がでなくなってしまった11月,12月までの間はリフレッシュの時間として意識的に設けることはありませんでした.しかし,大変な時期こそ,計画的に休息の日を作り,長期間頑張れるような状態に作る必要があると思います.疲労感が中程度くらいまでなら問題ないかもしれませんが,本当にやばくなったら,いつもと同じ対処では足りなかったです.
自分は趣味もあるし大丈夫!と思っている人も,聞いてほしいです.本当に疲れてくると,いつもの息抜きだけでは通用しないかもしれません.無気力の状況から他の休息方法を探すのはなかなか難しかったです.
先輩や友人の話などを聞いて,「自分は忙しい方だな」と感じたら燃え尽き症候群にならないよう気をつけた方がよいかもしれません.
たとえ,どんなに忙しい時期でも意識的に休息をとるようにしたほうが,結果的に6年生の過酷なスケジュールを乗り越えられるのではないかと思います.
それぞれ状況は違いますが,余裕がなく切羽詰まっている人や,周囲の人よりも忙しい状況の人こそ,リフレッシュすることを意識して6年生の1年間を過ごしてほしいと思います.
リフレッシュしたつもりでも前向きになれなかったという経験は,みなさんもあるのではないでしょうか.体力を回復するための休息,気力を回復するための休息を体調によって使い分けることが大切ですね.
こまめに気分転換を挟んで,国試に向けて頑張りましょう!
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