[新刊]『QB必修問題2013』9月13日 3冊同時発売!必修特集★第2回:「必修落ち」3つの理由
こんにちは.編集部のS木です.
本日9月13日
『クエスチョン・バンクExtra必修問題2013』が
3冊同時に発売されました!!
それに合わせて,必修対策第2弾をお送りします.
前回は,医師としての「基本」を問われる必修問題で,
毎年少なくない受験生が不合格になっている!
ということをお伝えしました.
★第1回:必修問題って何?
http://web-informa.com/books/20120911-2/
さて今回は,106回国試に出題された必修問題をみながら,
「必修落ち」の原因とその対策法を考えていきたいと思います.
★第2回:「必修落ち」3つの理由
必修問題が国試の鬼門といわれる理由は,ズバリ!次の3つです.
1.合格基準は絶対基準で8割
2.普段あまり勉強しないテーマの出題
3.独特の出題傾向
一つずつ詳しくみていきましょう.
1.合格基準は絶対基準で8割
一般問題,臨床問題の合格基準が相対基準で例年65%程度であるのに対し,
必修問題の合格基準は,絶対基準で80%です.
どういうことかというと,
一般問題と臨床問題は,問題が難しければ合格基準は下がりますが,
必修問題はどれだけ難しくても,絶対に8割取れないと合格できないのです.
必修問題の内訳は,
必修一般(1点)×50問と,必修臨床(3点)×50問の合計100問で,
200点満点のうち160点が合格ラインです.
許される失点が40点までということは,
必修臨床のみ間違えるとすると,17問以上の不正解でアウトです.
100問のうち17問の間違いで落ちると考えると,結構厳しいですよね.
また,必修臨床の中では2連問が9つ出題されますが,
この臨床2連問を1つ落としてしまうとマイナス6点と失点が大きく,
連問で苦手分野の疾患が当たった受験生は苦しめられました.
2.普段あまり勉強しないテーマの出題
必修問題のガイドラインには,医療面接,終末期ケア,一般教養など,
普段は勉強する機会の少ない項目が並んでいます.
また,“医師としての基本的姿勢を含めた基本的診療能力”ということで,
診察や検査,治療の手技,ライフステージに伴う変化,生活指導など,
医療についてありとあらゆる角度から知識が問われることが特徴です.
では,実際にはどんな問題なのでしょうか?
[106H9]
成人の歩行において,加齢に伴って増大するのはどれか.
a 歩幅(左右の足の着地点の縦幅)
b 歩隔(左右の足の着地点の横幅)
c 腕を振る角度の大きさ
d 踵を挙上する高さ
e つま先を挙上する高さ
【解説】
答えは「b 歩隔(左右の足の着地点の横幅)」で,正答率は94.1%でした.
お年寄りの歩き方をイメージすれば解ける問題ですが,
なかなか普段考えたことのない視点からの分析で,面白いですよね.
必修ではこの他に106C7でも,高齢者の転倒予防対策について問われました.
超高齢化社会の流れを受け,
これからも高齢者についての問題が狙われることが予想されます.
加齢による身体機能の変化や,
公衆衛生では高齢者の虐待や社会的サポートについてなど,
チェックしておいて下さいね!
次に一般教養のうちの「医学英語」の問題です.
[106C11]
症候と英語表記の組み合わせで誤っているのはどれか.
a 黄疸・・・・・・jaundice
b けいれん・・・・convulsion
c 不整脈・・・・・anorexia
d 脱水・・・・・・dehydration
e 便秘・・・・・・constipation
【解説】
答え(誤っているの)は「c」で,正答率は77.0%でした.
不整脈はarrhythmiaで,anorexiaは食思不振です.
基本的な医学用語は,普段から意識してチェックしておきましょう!
このような,様々な切り口で問われる問題の対策は,
普通に各科の勉強をしたり,各科QBを解くだけでは難しいです.
必修の過去問題と,必修ガイドラインに沿って作成された予想問題を収録した
『QB必修』や,
“必修的”な知識を凝縮した
『RB必修・禁忌』で,
必修に特化した勉強をまとめて行うことが,一番の近道です.
3.独特の出題傾向
こちらはまず,問題を見てみましょう.
[106H7]
慢性疾患で長期入院中である中学生の療養環境を向上させるために最も重視すべきなのはどれか.
a 学業の支援
b 家族の付添い
c 個室の確保
d 病棟行事の開催
e プレイルームの整備
【解説】
答えは「a 学業の支援」で,正答率は72.7%でした.
現場の先生方からしてみれば,まさに“常識”問題なのでしょうが,
いざ,「最も」重視すべきものは?と聞かれると迷ってしまいませんか?
bの家族の付き添いやcの個室の確保も,
人それぞれの価値観や状態にもよるけど,大事なのでは???
と深く考えはじめてしまうと,
なぜか間違えてしまうのが必修問題です.
もう1問見てみましょう.
[106C23]
C23 58歳の男性.タクシーの運転手.独身.職場の健康診断で検査値の異常を指摘されたため来院した.持参した健康診断の結果はHbA1c 7.2%(基準値4.3~5.8)であった.身長168cm,体重80kg.初診時は,食事の管理と適度の運動とを中心に生活習慣を改善するよう指導した.3ヵ月後の再診時,体重は81kgとなっていた.本人は「生活習慣を改善する努力はしたが,勤務時間が不規則で深夜勤務も多いので,規則的な食生活は無理だ」と言う.
この患者の行動変容を促すための現時点の対応で適切なのはどれか.
a 半年後の目標体重を患者とともに設定する.
b 行動変容ができていないことを強く指摘する.
c 食生活を監督できる家族や知人との同居を勧める.
d 糖尿病性壊疽で足を切断した他の患者の写真を見せる.
e より規則的な勤務体制で就労できる仕事への転職を勧める.
【解説】
答えは「a 半年後の目標体重を患者とともに設定する」で,正答率は76.8%でした.
20%の受験生が,cを選んで不正解となっています.
実はこれ,106回国試後に,ネット上の某掲示板で大論争になっていた問題です.
b,d,eはすぐに外せると思うのですが,
aは「目標設定」するのはよさそうだけど,「半年後」というのは適切なのか?
ということが1つ引っかかると思います.
また,規則的な食生活は無理だと言っているのに,目標設定だけじゃヌルいんじゃないのか?と考える人もいると思います.
対してcは,「58歳男性 独身」との患者背景が与えられており,
さらに再診時ということでそれほど深い患者医師関係も構築されていないと判断される以上,選ぶべきではないのですが,
aに対し疑念を抱き始めてしまうと,迷った末にこちらを選んでしまうかもしれません.
このように必修問題では,
医学的な常識に加え,医療者としての広い意味での常識が問われる問題や,
絶対的な1つの答えがないように思えたり,設問が曖昧なモヤモヤ問題
が出題されることが特徴です.
臨床的常識は,学生のうちに全てを身につけるのはかなり難しいと思います.
モヤモヤ問題はつい深読みをしてしまうと失点し,悔しい思いをすることが多いです.
それでは,攻略するためにはどうしたら良いのでしょうか.
こちらもやはり,必修問題をまとめて演習して,問題慣れをすることです.
問題演習を数多くこなすことにより,
・必修問題では,医療者としてどのような考え方が求められているのか
・どういう答えが正解であることが多いのか
・出題者の意図は何か
のパターンがつかめてきます.
また,
・正解となりそうな選択肢が複数ある場合でも,動揺せずベターな選択肢を選ぶ
・深読みせず,直感を重視してサクサク解く
という,必修問題を解く上で独特な技術が身についてきます.
ざっくり言ってしまうと,必修に多いモヤモヤ問題は,
“必修の空気”を読めるか,が攻略のポイントです.
空気が読めるようになるまで,練習して下さい!
というわけで,第3回では,必修対策に強い味方となってくれる
『QB必修2013』の特徴と使い方をご紹介したいと思います.
では,お楽しみに!
(編集部S木)