[4年生向け]将来につながる,おトクなCBT対策法 (3)
たびたびこんにちは,編集部 A です.
前回は,
○ CBTは実習前の“仮免許”試験
○ CBTで得点するには「しっかり理解」がおトク
ということをお話しました.
今回は,
○ CBTの出題形式を知っておこう!
のコーナーです.
国試にもない,CBTオリジナルの出題形式
「多選択肢連問」や「順次解答連問」には,
先輩方も苦しめられてきています….
この機会に, CBTの問題の感じをつかんでみてくださいね.
◇◇ CBTの時間割
CBTの時間割はこんな感じです↓
ブロック1~6で出題が行われます.正味6時間の長丁場です.
各ブロックの間には,眼精疲労の影響をなくすための休憩があります.
ブロック1~4では「単純5肢択一」,
ブロック5では「多選択肢連問」,
ブロック6では「順次解答連問」が出題されます.
◇◇ 単純5肢択一
スタンダードな5択です.
1ブロックで60問×4ブロック,計240問出題されます.
ブロック内であれば,前の問題に戻って見直しもできます.
実際に出題された問題を見てみましょう.
エクリン汗腺が多く存在しているのはどこか.
a 外 陰
b 肛 囲
c 乳 輪
d 腋 窩
e 手 掌
例は「知っていれば解ける」問題ですが,
実際の問題には,知識だけでなく,解釈や思考を問われるものもあります.
病態発生にかかわる基礎的な原理・病態生理を問う問題や,
基礎・臨床の知識を統合しないと解答できない問題もあります.(正解:e)
◇◇ 多選択肢連問
「多選択肢連問」(通称:2連問)では,
ひとつのテーマについてふたつの問題に解答します.
5肢択一と違い,解答すると前の問題には戻れません.
出題は40問です.
多いのは,同じ症候がみられるふたりの患者さんについて,
たくさんの選択肢の中から,それぞれの診断名を選択する問題です.
症候・病態から疾患を識別する力が問われます.
出題例をみてみましょう.
テーマ:動悸
a 脚 気
b 肝硬変
c 甲状腺機能低下症
d 腎不全
e 偽痛風
f 深部静脈血栓症
g ネフローゼ症候群
h うっ血性心不全
i 薬剤性浮腫
j 特発性浮腫
これが選択肢です.疾患の名前がこれでもかと並んでいますね.
問題をみてみましょう.
(1)
中年男性.1ヵ月前から階段の昇降時に息切れがするようになり,靴下の跡が残ると自覚していた.夜間に呼吸困難によって目覚めたため,来院した.起坐呼吸がみられる.
診断はどれか.
「階段昇降時に息切れ」「靴下の跡が残る」「夜間の呼吸困難」「起座呼吸」
などをヒントに解答(正解:h)すると,もう1問.
(2)
58歳の男性.全身浮腫と黄疸を主訴に来院した.腹部表面に静脈怒張を認め,手掌紅斑,女性化乳房がみられた.腹水も著明である.
診断はどれか.
同じ「動悸を起こしている患者さん」でも,こちらの患者さんの症状は
「全身浮腫」「黄疸」「腹部表面に静脈怒張」「手掌紅班」「女性化乳房」「腹水」.
まったく違う診断名が導き出されるわけですね.(正解:b)
◇◇ 順次解答連問
「順次解答連問」(通称:4連問)では,
ひとりの患者さんについて4つの問題に答えます.
医療面接で聞くべきこと,みられるであろう所見,行うべき検査,診断名,
などが問われます.
こちらも,解答すると前の問題に戻れません.
問題数は40問です.
出題例はこちら.
(1/4)
9歳の男児.昨日突然,赤ブドウ酒を薄めたような尿が出たとのことで母親に連れられて来院した.
医療面接で重要なのはどれか.a 排尿の回数は多かったですか.
b 以前に血尿を指摘されたことがありますか.
c 抗てんかん薬を服用していますか.
d 1~3週間前に発熱しましたか.
e 1~3週間前に腹痛・腰痛はありましたか.
患者さんは血尿の男の子.
どんな疾患を想定して面接を行うかが問われます.
解答すると次の問題に移ります.(正解:d)
(2/4)
9歳の男児.昨日突然,赤ブドウ酒を薄めたような尿が出たとのことで母親に連れられて来院した.2週間前に発熱があった.
この疾患で認められる所見はどれか.a 浮 腫
b 血圧低下
c 著明な体重増加
d 悪心・嘔吐
e 血尿以外には所見がない
問題文の,患者さんの症状に関する記述が増えましたね.
問診の結果をもとに診断のあたりをつけ,
確認すべき所見を述べるよう求められています.(正解:a)
(3/4)
9歳の男児.昨日突然,赤ブドウ酒を薄めたような尿が出たとのことで母親に連れられて来院した.2週間前に発熱があった.眼瞼が腫れぼったく,下腿に浮腫を認めた.
検査所見で正しいのはどれか.a 貧 血
b 高度タンパク尿
c IgA高値
d 血清補体価低値
e 咽頭培養にてβ溶連菌検出
また記述が増えました.
所見が確認され,どんな検査で診断を確定するかが問われています.
(正解:d)
(4/4)
9歳の男児.昨日突然,赤ブドウ酒を薄めたような尿が出たとのことで母親に連れられて来院した.2週間前に発熱があった.眼瞼が腫れぼったく,下腿に浮腫を認めた.血清補体価低値,血清ASO高値であった.
診断はどれか.a 慢性腎炎の急性増悪
b 溶連菌感染後急性糸球体腎炎
c ループス腎炎(SLE腎症)
d 急速進行性糸球体腎炎
e 膜性増殖性糸球体腎炎
診断名を解答すると,4連問1セット分の解答が終了し,
次のセットに移ります.(正解:b)
◇◇ 4連問は暗記では解けない
いかがでしたか?
特に連問は,難しいと思われたのではないでしょうか.
「順次解答連問」の難しさは,
病気の症状を暗記しているだけでは解答できないという点にあります.
さっきの例でいうなら,
「溶連菌感染後急性糸球体腎炎」の症状をどんなに暗記していても,
「男児(=若年者)の血尿」という情報から即座に疑うべき疾患として
頭に浮かばなければ,1問目では正答できないのです.
1問目で正答するためには,
血尿をきたす他の主要疾患についても
すべて知っていなくてはなりません.
血尿をきたす疾患リストを頭の中に持ったうえで,
若年者というヒントから,この状況で疑うべき疾患として
「溶連菌感染後急性糸球体腎炎」を選び出さなくてはならないのです.
でも,そのために疾患を症状別にすべてまとめなおすのは…大変ですよね.
次回は,そんなお悩みにもお答えして
CBTの全範囲を網羅し,症状別の対策もバッチリできる
強力ツールをご紹介します.
(編集部 A)