[新刊]絶賛発売中!『イヤーノート2014』大改訂の内容とは?(肝胆膵疾患編)
編集Aです.
全国書店で発売中の『イヤーノート2014』,その大改訂情報をお送りしています.
第1回:免疫編 http://web-informa.com/books/20130423-2/
第2回:神経編 http://web-informa.com/books/20130426-3/
今日は,B章(肝胆膵疾患)について,紹介させてください.
全ページにわたって改訂を行いました.
1.『総論』を大幅改訂!
医師国家試験では,総論よりも
各論的知識の出題のほうが圧倒的に多くなっています.
「イヤーノート」は,国試で重視されている内科・外科疾患の各論的知識を一冊にまとめるために
総論をできるだけ簡潔にしています.
しかし最近の国試では,総論的な知識の出題レベルも上がってきました.
これに対応するため,イヤーノートも年々,総論を強化しています.
そして今年は,肝胆膵の総論について,
過去の国試を分析しながら重要事項をまとめ直しました.
例えば,『肝臓総論』の主要症候の一つ「黄疸」.
国試で問われやすい「閉塞性黄疸」に特化したページを作りました.
溶血性,肝細胞性黄疸との鑑別表も新設しました.
(画像はクリックすると拡大します↓)
続いて,「肝機能検査」.
この項では,様々な肝機能検査の項目(AST,ALT,LDH,ChE,…)について
測定の意義や半減期などの情報を一括してまとめています.
これまでのイヤーノートでは,こんな感じです.
(画像はクリックすると拡大します)
このページを,内容の濃さはそのまま(またはそれ以上!)に,
より視覚的にわかりやすくなるよう,項目ごとにまとめ直しました.
この他,
●近年注目されている測定法「アシアロシンチグラフィ」を紹介
●臓器移植法の改正で改めて話題になっている「肝移植」の内容を増量
●『胆道・膵臓総論』を新設(もともと存在したのですが,
新たに項目を設けて内容を大幅に増!
解剖を充実させた他,新たに胆膵機能検査や内視鏡的検査の種類などを掲載.)
などなど,充実した内容になりました.
2.『B型肝炎』『C型肝炎』は常に最新情報!
これは今年のみの改訂ポイントではないのですが,
『イヤーノート』は毎年改訂を行なっているので,
ここ最近,毎年のようにガイドラインが変更になっている『B型肝炎』や『C型肝炎』
についても
常に最新の診断・治療情報を掲載することができています.
『イヤーノート』だからこそ,のメリットです.
3.「NAFLD」「NASH」の情報を拡充!
「NAFLD」および「NASH」は,比較的新しい疾患概念のため,
詳しく書かれた教科書は,実はまだ多くありません.
しかし近年注目度が高まっている重要な疾患なんです.
『イヤーノート』では,「NAFLD」「NASH」を2011年版から掲載していますが,
今回は専門の先生の監修のもと,内容の充実を図りました.
4.肝癌治療アルゴリズムが古くなった?!その真相
実は先日,早くも『イヤーノート2014』を購入してくださった読者Yさんより
以下の様なご指摘をいただきました.
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■『イヤーノート2014』B-55ページ 肝細胞がんの治療ガイドラインについて
イヤーノート2013では最新の治療アルゴリズムが載っていましたが、
イヤーノート2014では一昔前のアルゴリズムに戻っています.
なぜですか?
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ご指摘の通り、昨年のイヤーノート2013では,
肝癌の治療については2010年のアルゴリズム(以下「2010」)を掲載していました.
しかしイヤーノート2014では、編集部で一緒に改訂案を考えてくれる医学生さん、
そして監修の先生との相談の上、
あえて2009年のアルゴリズム(以下「2009」)を掲載しました。
なぜか.
先生のご指導によると、「2010」は
分子標的薬ソラフェニブをアルゴリズム内に組み込むことを主な目的として
作成されたものだと言えます。
ソラフェニブを組み込んだ結果、「2009」とくらべて、
フローが少々煩雑になっています。
一方「2009」は、肝障害度・腫瘍数・腫瘍径に基づく
シンプルなアルゴリズムであり、
依然教育現場や臨床現場でも広く受け入れられているようです。
複数の医学生さんとの協議の結果でも、
「2009のほうが治療フローをとらえやすい!」という結果に.
また「2009」は,「2010」が発表されたからといって
決して古いアルゴリズムなわけではなく、
特に医学生の方々にとっては「2010」よりもわかりやすいので、
イヤーノートでは「2009」をおさえておけばよい、というのが先生のご判断でした。
そこで改訂版では、わかりやすいアルゴリズムである2009を掲載し、
その下に文章でソラフェニブの適応についての一文
『上記アルゴリズムに加え,肝予備能がChild Pugh Aの進行肝癌で,
肝切除・肝動脈塞栓療法・肝動注化学療法不応例に対しては,
分子標的薬ソラフェニブを使用する.』
と記載しました。
ですので安心して、この記載に基づいてご理解ください.
肝癌治療の理解に少しでもお役に立てれば嬉しいです.
また、最新版のアルゴリズム2010のフローチャートや詳細は、
イヤーノート付録の『イヤーノートTOPICS 2013-2014』46ページに記載しています。
主要疾患の最新の動向を知りたい場合には、
『イヤーノートTOPICS』も合わせてご確認ください.
5.その他,下記の項目の大規模な改訂,修正を実施!
●急性肝炎、慢性肝炎
●薬剤性肝障害
●急性肝不全(劇症肝炎改め)
●自己免疫性肝炎
●脂肪肝
●アルコール性肝障害
●胆石症
●急性胆管炎・胆嚢炎
●急性膵炎
●自己免疫性膵炎
●膵癌
等々…すべての疾患を見直し,リニューアルしました.
生まれ変わったB章をぜひ利用してくださいね!
◆◆◆
さて,全3回にわたって,
『イヤーノート2014』の改訂ポイントをお伝えしてきました.
ご紹介したB,F,J章以外にも,
今年はC章(循環器),E章(腎・泌尿器),M章(麻酔)で
全ページ大改訂を行った他,
A(消化管),D(代謝・内分泌),G(血液),I(呼吸器)章でも,一部のページで
大改訂を行いました.
また,毎年のことですが,すべてのページで
最新国試の出題情報の反映(出題内容の青字化,出題内容をふまえた加筆修正)と,
最新の診断基準や治療薬情報の反映を行なっています.
詳細は,先日オープンしたイヤーノートの公式サイトで紹介していますので,
ぜひチェックしてくださいね.
http://www.yearnote.com/latest/
イヤーノート,さすがに毎年買ってくださいとは言えませんが……,
先輩から譲り受けた古いイヤーノートをお持ちの方は,
最新のイヤーノートへの交換を,ぜひご一考ください.
今後も,イヤーノートチームは最新の国試・医療情報を追いかけていきますので,
イヤーノートをよろしくお願いします!
(編集部A)