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[5・6年生]医療ニュースから予想する国試第7回:熱中症

こんにちは!編集部S藤です.

いつも寝る前にエアコンのタイマー設定(1時間後に切れる)をしているのですが,
今朝3時くらいに猛烈な暑さで目覚めました.
なぜかエアコンから熱風が!!寝ぼけながらリモコンを探すと,
猫がお腹の下に隠し持っていました.
設定は・・・【暖房 28℃ 強風】・・・

それはさておき,

「医療ニュースから予想する国試」シリーズ第7回は,“熱中症”
国試の過去問で問われたポイントやこれから問われそうな重要事項などなど,
今回もサクッと確認していきましょう.
時間のない方は,◆過去問分析と対策◆だけでも読んでいただけると役に立つと思います.

 
◆1週間で1万人を超える!熱中症搬送者数◆

7月の第2週は,全国的に急激な猛暑に見舞われました.

梅雨明け直後であった東京をはじめ,まだ暑さに身体が慣れていなかった人が多かったこともあり,
非常に多くの人々が熱中症を発症し,
7月8日~14日の1週間に熱中症で救急搬送された人は全国で10,913人に達しました.

その後も毎日のように,熱中症で搬送・死亡,というニュースを耳にしています.
今夏は記録的な暑さとなるという予測もあり,まだまだ油断できない状態です.

研修医になってから出会う疾患の中でも,
熱中症は,健康人であっても致死性となりうるCommon diseaseです.
また,一般の方にも広く存在を知られている疾患で,
最近ではマスコミでもたびたび啓発の特集が組まれています.

つまり,今後の国試で狙われやすいテーマの一つであると言えます.
この機会に,ぜひ押さえておきましょう.

 
◆「高齢者の,室内での日常生活中の熱中症」に注意!◆

熱中症,と聞いてどんな患者さんをイメージしますか?

多くの人が真っ先に思い浮かべるのが,
「炎天下に運動中の生徒・学生が急に倒れる」というイメージではないでしょうか.

もちろん,こういった例も多いのですが,
統計を見てみると,少しイメージが変わります.

〈消防庁の統計データより〉
・熱中症となった場所は,住宅などの室内が最も多い.
・年齢別の熱中症患者数は,65歳以上の高齢者が半分近くを占める.

これは,公衆衛生で出題される可能性もあるので,ぜひ覚えておいて下さいね.

熱中症の3大発生要因・環境は,
1.若年男性のスポーツ時2.中年男性の肉体労働時3.高齢男女の日常生活時 ですが,

高齢者の増加,節電意識の高まり,猛暑化などの要因により高齢者の熱中症患者が増加し,
今シーズン救急搬送されている熱中症患者も,ほぼ半数が65歳以上の高齢者です.

高齢であるほど,重症化や死亡の割合が大きくなることも問題です.
少し元気が無いな,程度に思っていると,知らないうちに慢性的な脱水と暑さによる衰弱が少しずつ進行しており,
おかしいと気付いたときには意識障害が起こるほど重症化している,というようなこともあります.

特に都市部では,夜になっても気温が下がりにくいため,就寝中に熱中症を発症することもあるということです.

「炎天下で水ものまずに運動をしていると,熱中症になる」
という認識は,最近では一般の人々の間でも当たり前になってきましたが,

「高齢者は自宅で熱中症になる危険がある」という認識は,まだまだ足りない状況です.
啓蒙の必要性を踏まえ,今後の国家試験でも関連問題が問われる可能性が高いです.

 
◆過去問分析と対策◆

90回~107回(昨年)の国試で熱中症について出題された11問の内訳をみてみましょう.

1.治療・処置を問う臨床問題が最多
治療・処置を問う臨床問題が6問,症候を問う一般問題2問,発生要因・環境を問う一般問題(公衆衛生)3問,が出題されています.

2.様々なシチュエーションでの熱中症について問われている
小児のレジャー時若者のスポーツ時中年男性の労働時高齢者の日常生活・レジャー時と, 様々な状況での熱中症について出題されています.
102回国試では温暖化と高齢者の熱中症増加について,106回では高齢者の日常生活中に発症した熱中症の治療を問う臨床問題が出題されており,高齢者の熱中症が最近注目されていることが伺えます.

以上より,対策として3つの出題ポイントをまとめます.

(1)最重要!治療・処置
基本は,1.安静 2.体温管理 3.水分・電解質の補給で,
Ⅲ度(重症)熱中症では上記に加え呼吸・循環補助やDIC治療などの集中治療が必要となります.

1.涼しい場所で,横になる.きつい衣類はゆるめます.
2.体温管理は,特にⅢ度(重症)熱中症では予後のために必須であり,あらゆる手段を用いて急速冷却します.
よく行われるのは,脱衣後に常温水や微温湯を全身に噴霧,送風し気化熱で冷却する方法,体表付近の太い動脈(腋窩・鼠径部など)を重点的に冷やす方法などで,
他にICUではより侵襲的な方法(体腔冷却・血液冷却)などが行われることがあります.
3.水分・電解質の補給に関しては,経口摂取が可能な場合には経口で,経口摂取が不可能な場合には乳酸リンゲル液輸液などが行われます.

(2)症候と重症度
熱中症でみられうる症候の理解と,Ⅲ度(重症)を示唆する所見が重要です.
熱中症でみられうる症候は,脱水や末梢血管拡張を伴う循環不全,Na喪失等の主病態を把握しておけば難しくはありません.
重症度は,症候では意識障害やけいれん発作などの中枢神経症状や,発汗の停止著しい高体温ショック,また,検査結果では肝・腎機能障害血液凝固異常があればⅢ度(重症)を疑い,速やかに集中治療を開始する必要があります.
ただし,失神や有痛性筋けいれんはⅠ度熱中症でもみられる症状であることに注意して下さい.

(3)熱中症と社会・環境
高齢者関連の問題のほか,しばしばニュースになる小児の車内放置,熱中症防止のための生活指導などについて問われる可能性があります.ちなみに男女比では男性が多いです(若年・中年層で男性が多いため.高齢者や10歳未満では男女差は少ない.)

 

 

◆発展編:本当に熱中症?◆

実臨床では,熱中症を強く疑う状況下であっても,他疾患との鑑別や併存の有無の確認を忘れてはいけません.

夏は脱水傾向のため,脳梗塞や心筋梗塞が起こりやすく,
糖尿病の薬物治療中の患者では,夏バテのため食事摂取が減り低血糖発作を起こしやすくなります.

熱中症の問題にはカウントしていませんが,105回国試のG65~67では,
「耐糖能異常の既往のない45歳男性が,めまいを熱中症と自己判断してスポーツ飲料を大量に飲んだら,Ⅰ型糖尿病による糖尿病性ケトアシドーシスを発症した.」
という内容の臨床問題が出題されています.

国試では,あまりひねった問題は出ないかもしれませんが,
心の片隅に,覚えておくと将来役に立つかもしれません.


熱中症については,以上です.

まだまだ暑い日が続きそうですが,
勉強やマッチングや思い出作りなど,頑張ってくださいね.

次回の「医療ニュースから予想する国試」は,ついに最終回です.
どうぞお楽しみに!

 
(編集部S)

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