[Dr.Pの研修医日記]第2回:見逃しが怖かった1例

こんにちは.研修医Pです.
さっそくですが,先日経験した症例です.

50代女性.5日くらい前から風邪のような感じで微熱が続くので心配になった.
連休で近医が閉まっているため当院救急外来受診.
全身倦怠感あり.咽頭痛軽度,咳嗽なし.

救急外来では,わざわざ時間外に病院に来ているので
それだけ心配になるくらいの状態だったと想定し,慎重に診察しなくてはいけません.

とはいえ,3日前から調子が悪い,
特にひどくなったわけじゃないけど…と言いながら
なぜか深夜2時に病院に来たりするおばあちゃんもいるわけです.
(というか,結構そういう人も多いのです…)

でもとにかく,重篤な疾患から除外していきます.
急性喉頭蓋炎:声がくぐもる感じや唾液の飲み込みにくさはないか
髄膜炎:頭痛はないか,項部硬直やJolt accentuationはないか
急性化膿性胆管炎:腹部症状はないか
急性腎盂腎炎:CVA叩打痛はないか

…などを問診・診察します.

また,熱源検索として,
若い人なら膠原病を疑って口腔内や関節もみます.
若い人に限らず,偽痛風でも発熱がみられるので
特に膝関節は熱感,腫脹,圧痛などがないかをチェック.
お年寄りなら誤嚥性肺炎を疑って念入りに聴診します.

以上のようなことを念頭に置いて,一通り一般的な診察をしました.

問診では上記のような重篤な疾患を示唆するエピソードは無く,
身体所見では右のCVAを叩くと少し痛いと言っていましたが,
一週間くらい前に植木を切っていて,手を伸ばした時に右の側腹部をひねってしまい
筋肉痛のような痛みが残っているとのことでした.

診察していても重症感は全くなく,
その日は軽症の症例ばかりが続いていたこともあり,
これもただの風邪かな…と思いました.

が,ここは救急外来.見逃しが怖いので
一応,採血・尿検査とレントゲンをオーダー.
どうせ大丈夫だろうと思って結果を見てみると…

なんとCRPが20近くあり,尿も細菌多数.
上級医にコンサルトして腹部CTをとると,
右の腎臓が明らかに腫大していました.

急性腎盂腎炎
抗菌加療のため入院となりました.

自称 “ひねったことによる側腹部痛” は,
ちゃんとしたCVA叩打痛だったんですね.

患者さんの話をよく聞くことも大切ですが,
鵜呑みにしないことも大切だなと思った一例でした.

(研修医P)

◆◆◆

『Dr.Mの研修医日記』『Dr.Pの研修医日記』は
メディックメディアFacebookページ
随時配信予定です.

 関連コンテンツ

 関連する記事

新着記事カテゴリー


 すべて

 国試

 CBT・OSCE

 動画・アプリ

 マッチング

 実習

 コラム

 その他