〔分析〕データでみる109回国試(その1)今回の合格率・合格基準は?

こんにちは!編集部のM.Tです.

109回国試に合格されたみなさん,おめでとうございます.
研修医生活がスタートして,もう3週間が経ちました.
臨床研修は大変なことも多いと思いますが,
体に気を付けて頑張ってください.応援しています!

さて,新6年生のみなさん.先輩たちが受けた109回が
どんな試験だったのか気になりませんか?
国家試験について詳しく知り,本格的に試験勉強を始めましょう!
このメルマガでは「データでみる109回国試」と題して,
109回医師国試を分析し,今後どう国試対策していくのがよいか,
6回に分けて,これから皆さんと一緒に考えていけたらと思います!

■1985年以降,最高の合格率となった109回

 

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109回国家試験は合格率が昨年と比べて0.6%上昇し,91.2%になりました.
これは医師国家試験が年一回実施となった1985年以降,最高の合格率です.

 

必修問題の合格基準が80%であることは例年と変わらずでしたが,
今年は必修除外となった問題が1問(必修一般)ありました.
必修除外は一般・臨床の除外問題と異なり,
正解した場合は点数に含み,不正解だった場合は含まれません.
つまり109回国試の場合,
除外となった問題が正解だった場合は160/200点以上,
不正解だった場合は160/199点以上が合格基準となります.

また,今年は必修以外の一般問題で,複数正解の問題が2問ありました.

その他の対応として,今年はありませんでしたが,
必修以外の一般・臨床問題でも,除外問題がある場合もあります.
正解・不正解に関わらず採点対象から除外されるもので,
108D13「パーキンソニズムを呈する神経変性疾患の鑑別診断」などが,
受験者レベルでは難しすぎるという理由で除外問題となっています.

そして,一般・臨床問題の合格基準ですが,
こちらは昨年と比べて一般は低下,臨床は上昇しました.
特に一般問題は,難化したと言われた108回からさらに合格基準が低下し,
105回と同じ64.5%となりました.

メディックメディアで毎年行っている
解答速報「TAKEOFF」の登録者全員の成績をみても,
一般問題で点数が足りず不合格となってしまった人の割合が
昨年に比べ高くなっていました.
(不合格者の内訳については,今後のメルマガでさらに詳しく触れていきます.)

それでは,どんな問題でみんなが悩んだのか,
実際の109回国試をみてみましょう.

【109A1】
HTLV-1抗体スクリーニング検査で陽性と判定された初妊婦に対する正しい説明はどれか.
a 「ワクチンを接種しましょう」
b 「診断には精密検査が必要です」
c 「出産後,母乳を与えてはいけません」
d 「スクリーニング検査を再度行いましょう」
e 「お産のやり方は帝王切開がいいでしょう」

109回の第1問を見ていただきました.いかがでしょうか.
解答率は以下の通り.
a 0.2%,b 37.5%,c 60.5%,d 0.6%,e 1.2%
と,cを選んだ受験生が最も多かったです.
正解はbの「診断には精密検査が必要です」で,正答率は37.5%でした.
スクリーニング検査であり,偽陽性の可能性もあることを問われた問題です.

「HTLV-1だから母乳感染するよな」と疾患や病原体だけを考えるのではなく
その時点で必要な検査・処置が何なのか,冷静に判断する必要があります.
普段の皆さんであれば正答できたのに,国家試験初日の第1問ということで緊張もあり,
正答率が37.5%と低いものになったのではないでしょうか.

「初妊婦さんに母乳栄養を禁止するように言うのはつらい…」
と患者さんの気持ちを考えて解いた受験生もいたようです.
患者さんの立場に立ち,身体的・精神的な侵襲性の低いものから行う意識も重要ですね.

また近年,こういった患者さんとの会話を問う形式の問題が増加しています.
また,臨床実習で手技などを学んだか問う問題も増えており,
より臨床的・実践的な知識が必要になってきているのが,
最近の国家試験の特徴と言えます.

では次に類題などのデータについてみてみましょう.

■109回は4割程度が過去問の類似・プール問題

国試の全てが初めての疾患や新傾向の問題というわけではありません.
毎年,過去問の類似問題やプール問題が出題されています.
今回の国試では,500問中188問が過去問の類似問題でした.
前年の500問中108問と比べて非常に増加しており,
「5問のうち2問が,過去問でみたことある」問題だったのです…!
過去問演習がいかに大切か,よくわかるデータですね.

実際の問題を例にみてみましょう.

【108F20】
48歳の男性.意識障害と右片麻痺のため搬入された.自発開眼はなく,呼びかけでも開眼しないが,痛み刺激で開眼する.痛み刺激でうなり声をあげるが,意味のある発語はみられない.また,痛み刺激で右上下肢は全く動きがみられないが,左上下肢は払いのける動作を示す.
Glasgow coma scaleによる評価の合計点として正しいのはどれか.
a  3点
b  6点
c  9点
d 12点
e 15点

108回で出題されたGCSによる評価の問題です.
E:開眼機能,V:言語機能,M:運動機能の3項目を
正確に評価する必要がある問題で,正解はc.
正答率は63.2%,つまり3人に1人は間違えた問題でした.

【109C8】
頭部外傷で救急搬送された患者が,痛み刺激で開眼せず,意味不明の発声があり,疼痛刺激部分からの逃避運動をするとき,Glasgow coma scaleによる評価で正しいのはどれか.
a E2
b V3
c M4
d 合計点9
e 合計点11

こちらは109回の必修問題です.
前年に同様の問題が出題されたこともあり,
E,V,Mについてそれぞれ正確に暗記している受験生が多かったようです.
正答率は92.1%,10人に1人も落とさない問題に変わってしまいました.

こういった類似問題やプール問題は全体的に正答率が高めとなっています.
1度出題されたことはみんな勉強しているので,絶対に落としてはいけない問題となります.
特に近年の過去問の類似問題は,古い過去問の類似問題よりも正答率が高くなります.

 

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過去問(特に近年5回分を解くことは,国試対策では必須となりますね.
「QBonline」「回数別医師国家試験問題解説」
十分に演習をしていきましょう!

今回はここまでとなります.
このように「データで見る109回国試」では,
国試について分析すると同時に,
攻略するための効率のよい勉強法
毎回紹介していきたいと思います.

次回は「選択肢の形式」についてお届けします!
お楽しみに!

(編集部M.T)

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