〔分析〕データでみる109回国試(その2)
選択肢の形式は?

こんにちは!編集部のM.Tです.
「データでみる109回国試」第2回目の今日は,
「選択肢の形式」についてお話ししたいと思います.

■選択肢の形式
国試で最も多いのはA形式と呼ばれる五肢択一ですが,
101回からはX2形式と呼ばれる“2つ選べ”問題,
103回からはX3形式と呼ばれる“3つ選べ”問題や
“6肢以上の選択肢から選ぶ”多肢選択問題
“数値を組み合わせて解答する”計算問題も出題されています.

ここで,109回国家試験の出題形式の内訳をみてみましょう.

2-300x153

X形式はA形式や多肢選択の問題(つまり正解を1つだけ選ぶ問題)よりも正答率が低くなっていますね
これはどうしてなのか,109回の問題をみながら考えていきましょう.

 

◆A形式◆
【109C4】
6歳児の所見として正常なのはどれか.
a 身長90cm
b 大泉門開存
c 永久歯萌出
d 胸椎骨棘形成
e 大腿骨骨端線閉鎖

小児の正常な発育についての問題で,国試頻出の内容です.
この場合cの「永久歯萌出」が正解になります.
(他の選択肢も重要な内容ですので,「QB小児科」などでぜひ勉強してください!)
これが解答を1つ選ぶ最もスタンダードな問題のA形式です.
必修問題ということもあってか,正答率も94.7%と高かったです.

◆X2,3形式◆
【109G31】
2歳0ヵ月児の発達で正しいのはどれか.2つ選べ.
a 2語文を言う.
b 小走りが出来る.
c 自分の年齢を言う.
d 自分の名前を言う.
e 1人で階段を降りることができる.

109C31と同様に,小児の正常な発達についての問題ですが,
答えはa,bで,正答率は76.2%でした.
aは「1歳1語文,2歳2語文」と覚えていれば容易に選択できますが,
他の4つで迷った受験生がいたようで,正答率があまり伸びなかった問題でした.

このようにX2形式の問題では,
「1つだけならすぐに選べるのに,もう1つがわからない!」
という悔しい思いをすることが多いようです.

X3形式はお察しの通り5択のうち3つ選ぶ形式です.
選ぶものが多い方が難しくなりそうですが、
X3形式は裏を返せば「誤っているものを2つ選べ」ということなので,
実質,X2形式と同じと考えてよいでしょう.

■X2,X3形式問題への対策
1つだけなら正解選択肢を選べるのに,もう1つの正解がわからないから
この問題は点数を落とすかもしれない!
そんなプレッシャーは意外と大きいと思います.

このプレッシャーに打ち勝つためには,
1つ1つの選択肢が正解か不正解か,きちんと考えられることが重要です.

『QB』を解くだけでは1つ1つの選択肢を
ゆっくり吟味することは難しいこともあります.
そこで活用していただきたいのが1問1答形式『データマニュアル』です.
『QB』でうろ覚えだった部分の再確認に使ってみてください.
◆多肢選択◆
【109E31】
高齢者総合機能評価〈CGA〉に含まれない内容はどれか.
a 意欲
b 認知機能
c 手段的日常生活動作〈IADL〉
d バイタルサイン
e 日常生活動作〈ADL〉
f 情緒と気分

CGAは高齢者を「身体機能面」,「精神・心理面」,
「社会・環境面」の3つから評価するものです.
本問では3つに該当しないdの「バイタルサイン」が正解となります.
正答率は83.7%でした.
実質A形式と同様のものですが,勘で選ぶ場合の正解確率は下がりますね.

また,108回で出題された【108G40】「麻疹の臨床経過」は,
3つの症状が出現する順を6通りの中から選択する問題でした.
このように選択肢の都合上,多肢問題となる場合もあるようです.

◆計算問題◆
【109B62】
Na濃度50mEq/Lの液500mLに10%NaCl液20mLを追加したときのNa濃度を求めよ.
ただし,NaCl 1gはNa 17mEqに相当するものとし,追加後の体積は520mLとする.
また,小数点以下の数値が得られた場合には,小数点以下第1位を四捨五入すること.
解答:①②③mEq/L
(① ②③それぞれに0~9までの数字を選んでマークする。)

濃度計算の問題で,答えは113mEq/Lです.正答率は69.2%と意外と低かった問題でした.
109回の計算問題は非常にシンプルで,とにかく「丁寧な計算を要するだけ」のものが2問出題されました.

しかし次を見てください.

【109H35】
27歳の女性.全身倦怠感と嘔吐とを主訴に来院した.
(中略)
検査所見:尿所見:比重1.030,蛋白(-),糖(-).血液所見:赤血球400万,Hb 13.5g/dL,Ht 39%,白血球9,000,血小板20万.血液生化学所見:総蛋白7.0g/dL,アルブミン4.0g/dL,AST 20IU/L,ALT 20IU/L,尿素窒素28mg/dL,クレアチニン0.9mg/dL,血糖90mg/dL,総コレステロール200mg/dL,Na 128mEq/L,K 4.0mEq/L, Cl 92mEq/L.

計算による血漿浸透圧に近い値はどれか.
ただし,計算式におけるNaの係数は2とする.
a 240mOsm/kgH2O
b 255mOsm/kgH2O
c 270mOsm/kgH2O
d 285mOsm/kgH2O
e 300mOsm/kgH2O
(H35,36は2連問であったため,H35の解答に必要な部分のみ掲載しております.)

109H35はこのように「計算を要するA形式の問題」でした.
しかしこの問題は先程のような単純な計算ではなく,
血漿浸透圧の計算式を暗記している必要があります
つまり,「109回の計算問題は2問」と侮るなかれ….
正確に計算できるか,あらゆる数値の計算方法を覚えているか,
国家試験では問われているのです…!

計算問題は授業や実習で使った式をノートにまとめ,
過去問に関連することは確認しておくのが重要になってきますね.
また,『レビューブック必修・禁忌』『QB必修』には
「国試に出る!重要公式」として主な計算式を掲載しています.
式の暗記と計算の練習に,こちらも参考にしてみてください!

それでは今回はここまでです.
次回は「不合格者の内訳」についてです.
お楽しみに!

(編集部M.T)

 関連コンテンツ

 関連する記事

新着記事カテゴリー


 すべて

 国試

 CBT・OSCE

 動画・アプリ

 マッチング

 実習

 コラム

 その他